日本とタイの関係・天皇と国王の友好の魚「プラー・ニン」

 

日本を1番好きな国はタイだった!

2016年の電通の調査でそんな結果がわかった。

日本のことが好きな国、1位はタイ – 電通調査

 

日本の皇室はタイの王室と交流があって、日本とタイの関係はむかしからとても良い。
とくに、昨年亡くなられたプミポン前国王と天皇陛下とは親交が深かった。
3月5日に、天皇皇后両陛下がプミポン前国王を弔問(ちょうもん)するためにタイを訪問された時には、タイの人たちから、「感激しています」「両陛下が私たちと同じようにプミポン前国王を思ってくださったことを本当にうれしく思います」と大歓迎を受けた。

今回は、両国の友好親善を願って、日本とタイの関係やプミポン前国王と天皇陛下の交流について書いていきたいと思う。

 

日本とタイ(シャム)は、1887年に修好通商条約を結んだから、今年2017年は、両国の外交関係が成立してから130周年という記念すべき年になる。

外務省のHPにそのことが書いてある。

まさにこの時期、日本とタイは正式な国交を開始しました。
すなわち1887年(明治20年)9月26日、「日暹(にちせん)修好通商に関する宣言」(日タイ修好宣言)により、正式に国交が開かれたのです。

日タイ交流の歩み

 

タイのプミポン前国王と天皇陛下との友好を象徴するものは、なんといっても「ナイルティラピア」という魚だろう。
タイではナイルティラピアを「プラー・ニン」と呼んでいる。

話は1965年にさかのぼる。
この年、天皇陛下(当時は皇太子)がタイを公式訪問された。

そのときのタイでは、多くの国民が動物性たんぱく質に不足していて困っていたという。
この問題を解決するために、プミポン前国王がタイの国民のために、育てやすい魚を探しているという話を天皇陛下にされた。

日本に帰国されてから、陛下は50匹のナイルティラピアをプミポン前国王に贈られている。
現在では、そのプラー・ニンはタイ全土に広まっていて、国民から親しまれている。
プラー・ニンは自分で育てて食べることもできるし、人気があるから売ることも可能だ。
そんなことから、日本の天皇に感謝していると話す人もいた。
タイ語のプラー・ニンは、天皇陛下のお名前「明仁(あきひと)」の「仁」に由来するのだ。

 

タイの空港で見たプミポン前国王の絵(写真?)

 

タイでは、国王は神のような存在になっている。
(これは、アンコール時代のカンボジアにあった王権思想の影響が強い。)
タイを旅行していると、空港や駅、ショッピングモールなどで、国王の大きな写真が飾られているのをよく見た。
街中に王族の絵や写真があって、タイ市民の中には、国王の写真に手を合わせ、頭を下げてからショッピングモールに入る人もいた。
タイでは日常の光景のひとつだが、国民と王室の結びつきの深さはとても印象に残った。

 

 

日本とタイは「君主がいる国」という点では同じでも、社会における国王と天皇の「あり方」は大きく違う。
日本では戦後直後、昭和天皇が国民に対して自らの神格を否定した。
いわゆる「人間宣言」を出した。

タイの国王がこんな宣言を発表したという話は聞いたことがない。
こんな宣言を出す必要性の有無に、日本とタイの「君主」に対する見方の違いが表れている。

でも、その前から、日本での天皇とタイでの国王では、その役割がちがっている。
タイのラーマ5世は親政をしたけど、明治天皇はそれはしなかった。
このことは、日本の天皇とタイの国王のちがいをよくあらわしている。

あと、日本とタイの関係で意外なところでは、プミポン前国王の意思をうけてタイ政府の関係者が靖国神社を参拝をしている。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。