はじめの一言
「着色法、彫刻技術、青銅の象眼細工術に関して、日本人は他に追随を許しません。しかし、この偉大な日本金属工芸研究のために、民族美術研究家は個人コレクションや目利きの骨董商の宝を訪ね歩かなくてはなりません。
(シドモア 明治時代)」
前回は、カンボジアのアンコールワットの外国人料金について書いた。
地元のカンボジア人は無料だけど、外国人は1日券なら20ドルになる。
でもそれは、カンボジアの国の事情を知れば必要なことだと思う。
カンボジアはそれでいい。
でも、おまえはどうなんだ?
と言いたくなるのが、ほほ笑みの国「タイ」。
まずは、タイという国について簡単に紹介しようと思う。
・場所
タイは東南アジアの真ん中にある。
日本からは飛行機で6時間ぐらい。
国の形が「象の顔に似ている」とも言われる。
下の地図で見てほしい。
朱印船貿易の時代に、徳川家康と交流があった。
・国名
タイ族に由来する。タイの語源は不明だが、後世、この語は「自由」の意味で解釈されるようになり「自由の国」と意味づけられている。(地名の世界地図 文藝春秋)
ということで、「タイ」とは「自由」という意味らしい。
バンコクのラッタナコーシン歴史展示館にいたタイ人ガイドも「自由という意味です」と言っていた。
「ジム・トンプソンの家」のタイ人ガイドも「自由です」と言う。
でもなぜか、友人のタイ人は「発音は同じですけど、書くと違いますよ。『自由』とは違う意味じゃないんですか?」と話していた。
でも、一番あてにならないのがこの友人だから、タイという国名は「自由」という意味だと思う。
・首都名
外国人は「バンコク」と呼ぶけれど、これは正式な首都の名前ではない。
タイ人はふつう、「バンコク」とは言わない。
正式名称は世界で一番長い首都名になる。
ウィキペディアには、バンコクの正式名称としてこう書いてある。
クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット
・「タイ人」の英語
「日本人」は英語で「ジャパニーズ」と言う。
「アメリカ人」は「アメリカン」。
では、「タイ人」を英語で言うと?
答えは「タイ」。
日本語だと「タイ」は国名だけど、英語だと「タイ人」になる。
英語で「タイ」という国名は「タイ・ランド」になる。
「タイ」と省略しない。
何で日本語では「タイ」だけになるのかは分からない。
そんなタイは、東南アジアの中で経済的にすごく発展してる。
それにもかかわらず、そんなタイにも外国人料金がある。
さっきも書いたけど、まだまだ貧しいカンボジアならこれが分かる。
でも、タイは違う。
東南アジアの優等生で経済大国のタイで外国人料金がなんで必要なのか?
これは今だにわからない。
そんなタイの首都バンコクには、「ワット・プラケオ」という超有名なお寺がある。
タイで最高の地位と格式を誇る仏教寺院である「ワットプラケオ」は、王室の守護寺でもある由緒正しき寺院です。ここを訪れないでバンコクは語れない、といっても過言ではない、“バンコク観光の最大の目玉スポット”です。
(バンコク・ナビのホームページから)
この「目玉スポット」の入場料に、目玉が飛び出そうになった人は多いと思う。
入場料は外国人一人500B(2013年5月現在) です。タイ人は無料です。
500Bは、2016年4月現在で約1520円になる。
「なんでタイは、外国人料金を設定しているの?」
理由を聞くと、聞いたタイ人によって答えが違う。
「だって、まだまだタイ人は外国人よりお金がないよ~」
「ワット・プラケオは、タイ人にとって最も大事なお寺ですから、タイ人なら誰でも入れるようにしないと」
「タイにある物は、すべてタイ人のものですから」
などなど。
つまり、タイに何で外国人料金があるのかは、タイ人でもよく分からないらしい。
中国やベトナムにあった外国人料金には、それなりの理由があった。
「まだこの国は発展途上の国だ。だから、外国人に比べたら貧しいから仕方ない」ということだと聞いた。
そして結果を見たら、そのとおり。
中国とベトナムは、経済発展が進んで国民の所得が増えていった現在では、外国人料金がなくなっている。
この2国での外国人料金は、発展途上国(貧困国?)ではなくなるまでの「一時的な料金」だった。
でも、タイは違う。
ここでタイ人の稼ぎを見てみよう。
「平均年収.jp」によると、「タイの平均年収は日本円にして138万円~140万円です。」で「平均月収は11万円です。」となっている。
これはあくまでも一つの目安。
計算方法によっては別の数字が出ると思う。
でも、タイと日本とは物価が違う。
日本の月収11万円とタイの月収11万円とは、まったく価値が違う。
タイの月収11万円というのは、日本だったら月収いくらに相当するのか?
ということで、タイと日本の物価の差を見てみよう。
タイで10バーツで売っているものは、日本では100円で売っている、という感覚です。(バンコクナビ)
これからすると、タイの物価は日本の物価の約3分の1と考えていい。
これと、さっきの月収をそのまま計算する。
すると、本当におおざっぱな感じだけど、タイ人の月収11万円というのは、日本だと月収33万円になる。
これをバンコク出身で日本に4年間住んでいるタイ人に聞いてみた。
「バンコクなら、大卒のエンジニアで初任給が15000B(約45500円:2016年5月現在)ですから、平均月収なら、8~90000円じゃないですかね。でも、物価は日本の3分の1から4分の1くらいですから、日本だったら33万円でも間違っていないと思いますよ」
ということで、月収33万円に決定。
月に33万円稼いでいるのなら、入場料を無料にする必要はない。
いま日本に旅行に来るタイ人がすごく増えている。
京都の清水寺のあたりでは着物を着た外国人がタイ語を話していたし、白川郷に行ったときは、お土産屋でタイ語が飛び交っていた。
雪を見たことがないタイ人には、北海道が人気のスポットだという。
お金あるじゃん、タイ人のみなさん。
やっぱり、タイに外人料金はいらない。
カンボジア人のタダとタイ人のタダは、ワケが違う。
外国人料金には、「国が発展するまでのもの」ではなくて、別の理由があるかもしれない。
ネットでは、「代わりに、タイ人は布施を出している」というのも見つけた。
でも、お寺だけじゃなくて、タイでは博物館にも外国人料金があった気がする。
いま「バンコク・ナビ」を見たら、料金が載っていない。
「入り口を入って左手にあるチケット購入ブースで、チケットを買います。」
としか書いていない。
旅行情報サイトが料金を載せていないのはおかしい。
つまり、「料金は書きたくない」ということだろう。
タイ国政府観光庁のHPだと、「200B」とある。
でもネットで、タイ人料金は20Bと書いてあるのを見つけてしまった。
やっぱり、料金は書きたくなかったわけだ。
結局、タイの外国人料金はお寺だけではない。
その傾向がどんどん広がっているから、外国人から抗議の声も出ている。
やっぱり、いまのタイで外国人料金はもういらない。
むしろ、外国人料金はタイのイメージを悪くしていると思う。
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