中国の教育から消える文化大革命。愛国・親共産党ですか?

 

過去は戻らないし、変わらない。

でも、過去とは違って歴史はよく変わる。
歴史教科書の中身は、時代によってどんどん変わっている。

ボクが中学生のころは「イイクニ(1192年)つくろう鎌倉幕府」で覚えたけれど、それはもう昔話。

手元の「日本史用語集 (山川出版)」を見ても、鎌倉幕府の成立には、1180年・1183年・1184年・1185年・1190年・1192年といった6つの説が紹介されている。
もう、「鎌倉幕府ができたのは12世紀後半」で覚えた方がいい。

 

このほかに、「士農工商」や「鎖国」といった言葉も歴史教科書から消えつつある。

以前、家庭教師のバイトをしていたとき、教えていた中学生の歴史教科書からインドの「カースト制度」が消えていたことには驚いた。
実際、「バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ」の4つは、カーストではなくてヴァルナだから仕方ないけど。

 

さらに去年の年末には、「坂本龍馬・吉田松陰・高杉晋作・上杉謙信・武田信玄といった人物が、これからの歴史教科書からカットされてしまうかもしれない!」と話題になった。

くわしいことは、産経新聞の記事(2017.12.11)を見てくださいな。

「坂本龍馬」が消えたナゾ 「高校歴史用語案」を読み解く 「厩戸王(聖徳太子)」も議論必至

 

すると何か?
「坂本龍馬ってアニメのキャラですか?『龍』って強そうですね」なんていう日本人が出てくるわけか?
そんなことを言われたら、若い人たちと話ができなくなってしまう。
教科書から竜馬を消すのはやめてほしい。

士農工商や鎖国については、buzzfeedの記事(2016/11/23)をどうぞ。

あなたの常識、古くないですか? 消えゆく「鎖国」「士農工商」……

 

 

「歴史教科書から有名な言葉が消えてしまう」ということは、中国でも話題になっている。

朝日新聞にこんな記事があった。

「中国の教科書「文化大革命」を削除へ ネット流出で騒動」

 

「文化大革命ってなに?革命的な芸術家が現れたってこと?」と思った人は、文化大革命をクリックしてほしい。
文化大革命(1966年~77年)とは、毛沢東が権力を取り戻すために起こした権力闘争のこと。
このとき中国社会は大混乱におちいった。

日本の学校ではこう習う。

全国的に社会機能は混乱し、流血の武闘によって数百万人の死傷者が出たとされる。(中略)80年、中国共産党による歴史決議で文化大革命の路線は完全に否定された。

「世界史用語集 (山川出版)」

「流血の武闘によって数百万人の死傷者が出たとされる」と、ここには書いてある。

でも、文化大革命って謎。
このとき中国で何があったのかは、誰も正確には分からない。

文化大革命での死者は40万人から1000万人以上といろいろな説があるし、「これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらした(ウィキペディア)」というほど規模の大きい出来事だったから。

 

中国建国の父・毛沢東

 

この重大事件についての記述が、中国の歴史教科書から消えてしまうらしい。

文化大革命の考え方は、1980年に中国共産党の歴史決議で「完全に否定」されている。
文化大革命についての清算は終わったのかと思ったけど、今の共産党は「毛沢東が間違ったことをした」ということを子どもたちに教えたくないらしい。

朝日新聞の記事にはこう書いてある。

新たな教科書では、愛国意識を養い、共産党が国を発展させた歴史を詳しく教えることに重点を置いている。

これから中国では、「中国大好き!」「共産党ってすばらしいんだね!」という子どもたちを育てていきたいようだ。
中学生の教科書から文化大革命の記述が消えることも、この考え方にそったものだ。

ちょっと前の中国の歴史教科書にはこう書いてあった。

私たちは今、社会主義の祖国の大地で幸せな生活を送っている。

「中学校歴史教科書 (明石書店)」

「幸せな社会主義の祖国」をつくったのは共産党だ。
まあ実際には、中国的社会主義で幸せになるためには「金持ちの家に生まれたかどうか?」ってことが重要だけど。

とにかくこれから中国では、「我愛中国!」「感謝共産党!」の傾向が強くなっていくのだろう。
文化大革命の「造反有理!」よりはいい。
でも、「愛国(反日)無罪!」にはならないでね。

 

このニュースに対して、日本のネットではこんな反応があがっている。

・無かった事にするための第一歩
・日本に対しては歴史問題を過大にしてののしり、自身の歴史問題は無かった事にする
さすがは中国様
・今まで教えてたのか
・今まで記述してたんだな驚き
・皆、よく見ておくんだ。 これが本当の「歴史修正主義」だ。
・なんでも埋める国だな

 

 

中国が愛国心や共産党への感謝の心を育てるのはいいけど、尖閣諸島に来るのはマジ勘弁。
朝日新聞の記事(2018年1月11日)みたいなことはノーサンキュー。

日本政府は11日、日本と中国が領有権を主張する尖閣諸島(中国名:釣魚島)の接続水域に中国軍のフリゲート艦が入ったとして、中国側に抗議した。

中国軍艦が尖閣の接続水域を航行、日本は抗議

でも、中国で愛国教育が強くなっていくと、いずれ日本とぶつかるようになると思う。

 

 

文化大革命では、毛沢東が主導して紅衛兵(こうえいへい)を動かしていたことで、中国全土に混乱が広がった。
紅衛兵とは、中国の中学生・高校生・大学生などでつくられた組織のこと。

中国の歴史教科書には書かないと思うけど、この青少年が「中国(毛沢東)の敵」を見つけ出しては、拷問をしたり殺したりしていた。

 

天安門広場に集まる紅衛兵(1966年・ウィキペディアから)
ポル=ポト政権による虐殺がおこなわれていた1970年のカンボジアでも、紅衛兵のような中学生が大人を拷問・虐殺していた。
カンボジア人のガイドは「ポルポト・チルドレン」と呼んでいた。

ポル­=ポト政権

1975年にカンボジアで成立したポル=ポト(?~1998)の急進左派政権。都市から農村への強制移住、通貨の廃止、反対者の大量虐殺などをおこなった。文化大革命の影響を受けて中国に接近し、隣国のベトナム・ラオスとは対立した

「世界史用語集 山川出版」

この時代、150万人以上が殺されたと言われている。

 

今では中国人でも想像できないと思うけど、文化大革命のときには、中学生が教師を殺してその肉を食べてしまうこともあったという。

大紀元の記事(2017年10月07日)にそのことが書いてある。

中学校で生徒らは数名の教員を囲んで暴行した。まもなく呉樹芳という教員は死亡した。造反派のリーダーは「肝臓は体に良い」と言って、肝臓を取り出し、持ち帰った。肉も一部切り取って、生徒17人で調理して食べた。学校中、血痕だらけ、血のにおいが充満していた。

くわしいことは、この記事をご覧ください。

ソ連・日本・中国の人肉食。ホロドモール、天明の飢饉、文化大革命。

文革時の中国では、「リアル東京グール」の世界があったらしい。
ちなみに「北斗の拳」の世界観は、ポル=ポト時代のカンボジアに由来している。

 

 

ところで、「中国の教科書から文化大革命が消えた」と報じた朝日新聞は、社説(2017年10月17日)でこう言っていた。

安倍政権がないがしろにしてきたもの。そのひとつに、国民の「知る権利」がある。

「衆院選 知る権利 民主主義の明日を占う」

中国国民の「知る権利」については、どうお考えですか?

 

おまけ

中国・桂林の景色

 

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中国 目次 ②

中国人から見た日本 「日本は、理想的な社会主義の国です」

ナチスとポルポトの虐殺は知ってた。でもソ連の「ホロドモール」とは何?

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。