ジョージア人も“お気に入り”。悪口「おたんこなす」の由来

 

東京に住んでいた韓国人と話をしていたとき、「日本語って悪口が少ないですね!」とおどろいていた。
韓国語にはバカとかアホとかそんな「おかわいいレベル」を超えた、本当にヒドイ言葉がいっぱいあるらしい。

日韓の「悪口文化」:韓国人いわく、日本語は悪口が少ない

 

東ヨーロッパからジョージア人も同じ思いのようで、ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア臨時代理大使が最近したこんなツイートがちょっとした話題になった。

「日本語には、他の国の言葉のように侮蔑的な用語がないことを知ると、ジョージア人はみんな驚きます。」

 

それでも日本語の悪口を知りたい人がいると、代理大使はこんな言葉を紹介する。


 

インド原産のこの野菜はビルマ(いまのミャンマー)から5世紀ごろに中国へ伝わり、日本には7~8世紀にやってきたという。
奈良時代にはナス(茄子)を食べていたようで、東大寺正倉院にある文書には「天平勝宝二年(750年)茄子進上」という記述がある。
ナスの記録としてはこれが日本最古。

庶民がナスを食べるようになったのは江戸時代からで、初物で人気だったのは魚ならカツオで、野菜ならなんといってもナスだった。

めでたいものを並べてつくった「1富士 2鷹 3茄子」という言葉はいまでも使われるから、新年にこれを聞く機会もあると思う。
これ以上の情報はここで確認してくれ。

江戸時代の『農業全書』に「紫、白、青の三色あり、又丸きあり長きあり」の記述があり、この時代から多くの品種が栽培されていたことがうかがえる。

ナス・歴史

 

人気者でめでたい野菜のはずなのに、外国人からみると日本語には悪口が少ないらしいのだけど、この野菜を使った悪口には「ボケナス」とジョージア大使おススメの「おたんこなす」がある。

土手カボチャ、大根役者、もやしっ子、イモ野郎…などなど、日本語には野菜を使った悪口はあるものの2種類の悪口があるのも珍しい。

「ボケなす」の由来はこの記事で書いたので、今回はジョージア大使お気に入りの方を紹介しよう。

めでたい野菜なのに「ボケなす」と言われる理由

 

のろまな人やぼ~っと間の抜けた人をののしるときに使うのが「おたんこなす」。
ゲームの「ぷよぷよシリーズ」では、ナスグレイブがプレイヤーにこの悪口をぶつける。

この語源は「おたんちん」といわれる。
日本人ならこの響きでうすうす気づくと思うが、これはもともと「おち〇ちん」のことで、江戸の新吉原にいた遊女が嫌な客を「おたんちん」と呼んでいた。
「おたん(御短)+ちん=おたんちん」の方程式が分かれば、それがそのまま「こなす(小ナス)」 にスライドする背景も見えてくるだろう。

金払いが悪いとかいろんな原因から、江戸時代の遊女がムカつく客を「あの小〇ん野郎」とののしる様子は目に浮かぶ。
男性にとっては自信やプライドを粉砕する悪魔のひとこと。
でも丁寧語の「お」を付けたところに、わずかながら品性を感じることができる。

ただこれは「おたんこなす」の語源としてよく言われる話で、ほかにも説はあるし正確な語源は誰も知らない。
でもこれは、男が女に言っても返り討ちにされそうな悪口だ。

 

 

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2 件のコメント

  • >でもこれは、男が女に言っても返り討ちにされそうな悪口だ。

    そうですね。自分がガン治療で入院していた頃、厳しい看護婦さんに「この、おたんこナース!」・・・と言わなくてよかった。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。