タイと韓国にとって最悪のできごと:アユタヤと大韓帝国の滅亡

 

タイの歴史のなかで、「最悪の事件」とはなにか?

 

それは、アユタヤという国(王朝)がビルマによって滅ぼさたこと。

アユタヤ‐ちょう【アユタヤ朝】

アユタヤを首都としたタイ族の王朝。
1350年建国、1767年、ビルマのアラウンパヤ朝の攻撃により滅亡。山田長政はこの王朝のもとで活躍。

デジタル大辞泉の解説

ビルマとは今のミャンマーのこと。

 

アユタヤがあった期間は、およその目安としてこんな感じ。
室町幕府がはじまった1338年から、江戸時代の天明のききん(1782年)までのあいだ。

 

このアユタヤ滅亡が、タイにとって最悪のできごとになる。

タイの高校生用の歴史教科書は、次のようにかいている。

仏歴2310年、アユッタヤーがビルマに2度目の敗北を喫したことは、タイにとって重要かつ最悪の事件であった。

王国の中心都市が破壊し尽くされただけでなく、各地のムアンも大きな打撃を受けた。多数の人びとが死に、住んでいた場所を追われて捕虜になる者もあった。いくつもの町が廃墟と化した。

「タイの歴史 明石書店」

タイがアユタヤの滅亡を「重要かつ最悪の事件」と、とらえているのは当然のこと。
自分たちの国が地球上から消えてしまったのだから。
しかもアユタヤは、スコータイやチェンマイ王国とは違って、今のタイ国につながりがある国だから。

 

ビルマ軍の攻撃をうけて廃墟となったアユタヤ

 

ミャンマーとタイ。と、おまけの日本。
アユタヤはバンコクのすぐ北にある。

 

タイの教科書にかいてあった「仏暦」とは、仏教での暦のこと。
仏暦から543を引くと西暦になる。

だから仏暦2310年は、西暦1767年になる。
歴史教科書に仏暦をつかっているのは、さすが仏教国のタイ。

 

さっきもかいたけど、この15年後に日本では「天明の飢饉(ききん)」がおきている。
天明の飢饉は、「江戸四大飢饉の1つで、日本の近世では最大の飢饉とされる(ウィキペディア)」といわれるほどの大災害になった。
日本は滅亡することはなかったけど、このときかなり大きな被害をうけている。

 

*「室町幕府はいつから始まったか?」については、別の考え方もある。
この記事での年号は、以下にもとづいている。

学校教育においては、1338年を室町時代の開始とし、1573年までの235年間としている。

(ウィキペディア)

 

タイにとって「最悪のできごと」とは、アユタヤの滅亡だった。

これと同じぐらい「最悪のできごと」が、韓国の歴史にもある。

このことは日本も関係しているから、知っておいていいと思う。
というこで、ここで少し書いておきたい。

韓国にとって「重要かつ最悪の事件」とは、韓国併合(へいごう)。

韓国併合

1910年8月の韓国併合条約で韓国を植民地とした。1909年の伊藤博文暗殺、韓国首相李完用(りかんよう)襲撃事件が契機となる。

「日本史用語集 山川出版」

この併合によって、大韓帝国は滅亡した。

 

韓国併合のことを、韓国では「韓日強制併合」とよんでいる。

上の写真は、韓国旅行で見つけたバス停。
空港バスから降りたのがこのバス停で、いきなり「韓日強制併合」という文字が飛びこんできて一瞬、ギョッとしてしまった。

 

この「強制」という言葉に、韓国人の恨みを感じとることができる。
韓国の中学生用の歴史教科書には、「三千里の美しい山河が地獄となって(躍動する韓国の歴史 明石書店)」とかいてある。

今までに、いくつかの国の歴史教科書を読んだことがあるけれど、「亡国」というできごとは、その国の歴史のなかで「重要かつ最悪の事件」になっている。

 

 

とはいえ、日本には日本の見方があって、韓国には韓国の見方がある。
日本と韓国とは、それぞれ独自の価値観や考え方をもっている。
だから、日韓で見方がちがっているということは、当たり前だし常識的なこと。

 

同じできごとでも、国によって見方はちがっている。
世界の国では、そんなことがよくある。

たとえば、キューバ危機。
キューバ危機について、アメリカとキューバの歴史教科書を読み比べると、それぞれでまったく反対の見方をしていることがわかる。
朝鮮戦争についても、韓国と北朝鮮の見方はまったくちがう。

大切なことは、お互いのちがいをみとめ合うこと。
やってはいけないことは、自分の見方を一方的に相手に押しつけること。
それを「強制」という。

 

キューバ危機については、こちらの記事をどうぞ。

平和について③キューバ危機とデタント・核戦争と核軍縮

 

 

では当時、日本と韓国以外の国は日韓併合をどうみていたのか?

簡単にいったら、日本による韓国併合を問題視してはいない。
国際社会は日本の行為を認めていた。

くわしくは下の記事をみてください。

日本でトマトケチャップが出たころ、韓国は植民地になった。

 

アユタヤ

 

タイ人の友だちは、アユタヤのことを思うと「体が熱くなります」と話していた。

ビルマに攻め滅ぼされたアユタヤのことを考えると、体の底から怒りがわいてくるという。

アユタヤの滅亡という、タイで最悪のできごとは今でもタイ人の考え方に影響をあたえている。
とくにミャンマー(ビルマ)に対する見方では、決定的といえるほどの影響をあたえていると思う。
じっさい、ミャンマーを良く思っていないタイ人は多いという。

 

タイでゲストハウスを経営していた日本人は、こんなことをあたり前のように言っていた。

「そりゃ、タイ人はミャンマーをきらってるよ。やっぱり、アユタヤの影響が大きいんだろうね」

 

 

「タイ人は、ミャンマーをどう思っているんですか?」

今までに、いろいろな人にこの質問をしてみた。
答えは、聞く人によってまちまち。

でも一番多かったのは、「タイ人はミャンマーに対して、悪いイメージをもってますよ」という答えだった。

 

「悪いイメージをもっている」としても、韓国人の反日感情ほどは強くないだろう。
韓国とタイの歴史教科書を読み比べてみると、そう思う。

韓国とタイの歴史教科書では、亡国(アユタヤと大韓帝国)とその後の歴史についての書き方が大きくちがっている。

 

 

 

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2 件のコメント

  • 現在、バンコクに沢山ミャンマーの人達が出稼ぎに来てます。タイの若者の月収の6割くらいの収入らしいです。この記事見て納得しましたが、もの凄くバカにされてました。恨みは恐いですね。

  • そうなんですか。カオサンロードやパンガン島で働いているミャンマー人に話を聞いたことがあります。「タイ人が」というより、その店のオーナーの考え方しだいですね。
    楽しく働いているというミャンマー人がいれば、労働条件を勝手に変えられて怒っている人もいました。隣国というのは、複雑ですね。

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    今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。