ベトナムの招き猫? 金運アップの縁起物「3本足のカエル」

 

カエルの鳴き声といえば「ゲロゲロ」が定番だけど、これからは「ワン!」が加わるかも。

三重の鳥羽水族館で、犬のように鳴くカエルの繁殖に日本で初めて成功していま一般公開している。
と共同通信が報じていましたよ。(2020/10/16)

イヌガエルは背中が茶色く腹部が白いアカガエル科で体長約8cm。中国南部や台湾などの湿地帯に生息している。ワン!と鳴くカエル繁殖に初成功

 

このイヌガエル(仮称)がいるのは日本で鳥羽水族館だけ。
じゃあこんど伊勢神宮に参拝したら、この瑞獣(めでたい生き物)を拝んでいくことにしよう。

 

さて先月、その伊勢神宮にベトナム人と行って天照大御神にコロナ退散を祈願したあと、「おかげ横丁」で名物の伊勢うどんを食って、そこらを歩いていると招き猫を発見。
おかげ横丁は招き猫が有名で、毎年9月29日には「来る福」ということで招き猫まつりが開催されるらしい。

 

招き猫は色によって効果が違う。
よく見る白い招き猫は商売繁盛で、黒い招き猫は『夜でも目が見える』といったことから魔除け・厄除けの意味を持つ。

 

日本に住んでいて、母国に戻ったインドネシア人がこのまえSNSに投稿した写真を見たら、車に招き猫をつけていた。

 

 

招き猫を知らない外国人が「これは何?」とたずねると、そのインドネシア人は「more and more money.the meaning that like the cat of hello money in japan.」と説明する。

 

こういう商売繁盛・金運アップの縁起物はどこの国にもあるだろうと思ってベトナム人に聞いてみたら、「日本の招き猫に似たものは、ベトナムならカエルの置き物ですね」と言う。
なんでもベトナムには3本足のカエルがコインをくわえた縁起物があって、それを置いておくと、事業が成功したり富をもたらしてくれるという信仰がある。

調べてみるとこれは三脚蟾蜍(さんきゃくせんじょ)と呼ばれるカエルで、ベトナムではレストランや商店ならレジの上、金持ちの家なら金庫の上によくあるらしい。
目的は招き猫とだいたい同じだけど使い方が違っていて、昼は財運やお金を吸い込むよう外側に向けていて、夜は昼にためこんだお金を家に放出するよう内側に向ける。
ただこのへんは、自宅の財産が外に出られないように守るといった異説もある。

 

SNSでベトナム人にこのラッキーアイテムについて聞いてみると、

・これは“Thiềm Thừ”(蟾蜍)と呼ばれます。中華とベトナム神話のものです。

・ヒキガエルは、農作物を破壊する多くの種の天敵であるという事実に起因して、肯定的なシンボルで民俗学で言及されています。 ベトナムでは、ヒキガエルの知性を強調した物語があり、それらはおとぎ話「ヒキガエル対天国」に関連付けられています。 したがって民間の考え方では、ベトナムの人々は、ヒキガエルが歯を食いしばるときはいつでも雨が降ると信じているので、「ヒキガエルは天神の祖父」という民俗信仰があり、今まで受け継がれてきました。

・ベトナムでは、ヒキガエルは繁栄、豊かさ、増殖を表しています。したがって、銀のヒキガエル、金のヒキガエルが宝石やお金を持っているとき、それらはすべて富を象徴し、富が増殖し、幸運が訪れます。
一般の家庭だと「3仙(福禄寿)」と一緒に置かれます。

 

これはベトナムに住む日本人のコメント

・カエルは語呂合わせで「むかえる・還る・返る・帰る」となり、「福をむかえる・お金が還る・若返る・無事に帰る」など縁起の良い言葉になります。
その他にもカエルは卵をたくさん産むので「子孫繁栄」、雨が降りそうな時に鳴くことから「天の恵みによる豊作」をもたらすとも言われています。

 

さてこのベトナムの招き猫、縁起物のカエルのルーツをたどると、中国の妖怪であり霊獣であり神でもある「青蛙神」(せいあじ)に行きつく。

家の庭先に青蛙神がでると、その家に金運があり、幸せが訪れるとも言われている。

青蛙神

 

これがベトナムに伝わって、いまでは文化として定着したのだ。
「ワン!」と鳴くカエルより、夜中にバンバンお金を吐き出すカエルのほうがほしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。