明治の日本にやってきたドイツ人の医師ベルツは、花見をする日本人の様子を見てこう感心した。
「入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしない ー 行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ。」
現在のドイツに日本の花見のような習慣はないけど、サッカーの試合などのイベントが終わったあと若者が大暴れすることはわりとあるらしい。
明治時代のドイツ人も似たようなものだったのでは?
ただベルツは、過去を否定する当時の日本の知識人には違和感をもった。
不思議なことに、今の日本人は自分自身の過去についてはなにも知りたくないのだ。それどころか、教養人たちはそれを恥じてさえいる。
ベルツ(1849年 – 1913年)
さて、きょう11月16日は「幼稚園記念日」。
日本の会社で働いていたタイ人に日本について驚いたことをきいたら、「何十人もの幼稚園児が手をつないでに2列になって、静かに整然と歩いているのを見てビックリしました」と言う。
遠足か何かをおこなっている最中だろう。
日本中で見られるこの光景にそのタイ人はすっかり感心して、“敗北感”すらおぼえたらしい。
「タイであんなにキレイに並んで歩いているのは軍隊ぐらいですよ。タイ人は子どもにメチャクチャ甘くて、無作法や乱暴なことも「かわいい」で許してしまうんです。何十人もの幼稚園児が秩序を守って行動するのは無理ですね」
これは彼の個人的な意見だけど、このときいた別のタイ人も「日本人がルールや秩序を守って行動するのは、子どものころからの教育のおかげです。日本に来てから、タイ人は子どもに甘すぎるとよく思います」と同意していたから、タイ人の常識的な見方と大きくずれてはいないと思う。
まぁどんなに愛国心の強いタイ人でも、秩序と規律の厳格さで日本人に勝てると思う人はいないはずだ。
幼稚園は19世紀のドイツの幼児教育者フレーベル(上の人物)が設立した、小学校に上がる前の子どものための学校が始まりとなった。
*幼児教育のための学校はこれよりも先にあったけど、現在の幼稚園とは関係ない。
フレーベルは自身が作った学校を「kindergarten」と名付け、(これはフレーベルの造語で「子供達の庭」「子供の国」といった意味)、これが幼稚園を表す「キンガーガーデン」という英語の語源となる。
幼稚園(Kindergarten)という言葉は、彼の造語で、その功績に感謝して、世界の多くの国々で幼児教育のための学校は、Kindergarten、Kindergarden と呼ばれている。
日本では1876年(明治9年)11月16日に、初の官立幼稚園である東京女子師範学校附属幼稚園(現在のお茶の水女子大学附属幼稚園)が開園したことで、この日はいまでは「幼稚園記念日」になっている。
ドイツ語のキンガー・ガルデンの訳語である「幼稚園」を名乗った学び舎は、日本ではきっとここが初めてだ。
ドイツに起源をもつ幼稚園は完全に日本化され、日本社会に完全フィットするような人間が育てられた結果、「軍隊並みですね」とタイ人を驚かせたり、「何という静粛で整然としていることだろう。ー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ」とドイツ人を感心させることとなったのだ。
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