前回、韓国のタクシーについての記事を書いていたときに、日本人向けの韓国旅行サイトをいくつか見た。
その旅行サイトの掲示板には、「韓国でタクシーを利用したらぼられてしまった!」という体験談がけっこうある。
今回は、このこととボクの旅行経験から、海外で起こるトラブルを防止するために役立ちそうな考え方を書いていきたい。
では、韓国での「タクシーぼったくられ体験」にはどんなものがあるか?
具体的な事例を見てみよう。
韓国の旅行サイト「KONEST」には、2016年9月2日の口コミでこのようなものがある。
午前1時半過ぎに東大門のあたりでタクシーを探したけど、乗車拒否の連続でまったく乗れず。
やっと乗れたと思ったら、ドライバーが深夜料金は2万ウォンと言う。
でも交渉して1万ウォンになる。
そのあと、
そしてホテルに着いたので、領収書くださいと言うと領収書は無いとのこと。
理由を聞いても、無いの一点張り。
仕方ないと思いお金を払おうとしたら、急に4000ウォンと言い出しました。
また理由を聞いても、4000ウォンと繰り返すので4000ウォンはらおうとしたら、韓国語で罵ってきました。さすがに腹が立ったので、こっちも韓国語で言い返したあとに、連れにナンバーの写真撮ってって言ったら、払った4000ウォンを投げつけてきて更に罵声を浴びせてきました。
この口コミには「こっちも韓国語で言い返したあとに」と書いてあるから、この人は韓国旅行のリピーターである可能性が高い。
韓国や韓国人のことをある程度知っていることは、間違いないだろう。
さらに「連れにナンバーの写真撮ってって言ったら」ということから、海外旅行にも慣れてそうだ。
それでも、トラブルにあうときはあってしまう。
韓国旅行でいえば、タクシーのドライバーにぼられたくなかったら、一般タクシーではなくてちょっと高くなるけど模範タクシーを使えばいい。
それでも、「100%大丈夫!」なんて保証はできないけど。
ちょうどタイミングよく模範タクシーが捕まるかどうかは、もちろん運しだい。
そのためにも、日ごろから良い行ないをしておきましょう。
ただ、深夜の東大門のあたりだとタクシーを見つけることは難しいだろうな。
さて、ここでの注目ポイントは、ここ。
この日本人旅行者の話を読むと、この場合のタクシーの通常料金は4000(約370円)ウォンだったと思う。
にもかかわらず、ドライバーは最初20000ウォンとふっかけてくる。
この人は、それを10000ウォン(約940円)にまで下げている。
それでもこれは、4000ウォンの2.5倍という「ぼったくり料金」だ。
それを考えても、ボクはこれで良かったと思う。
こういう時は、あえてぼられた方がいい。
今まで海外旅行に行っていて、ぼったくられたり危険な目にあったりしたことは何回かある。
また、トラブルにあったという日本人から話を聞いたり、そんな事例を宿の情報ノートで見たりしたこともある。
それらのトラブルでは、「もうちょっとお金を出していたら、きっと避けられた」というものがけっこうある。
そんなことから、海外で危険を避けるための考え方として「あえてぼられる」ということも大切だと思う。
「肉を切らせて骨を断つ」のような。
いや、この言葉は、使い方が違うか。
肉(にく)を切らせて骨を切る
自分も痛手を受ける代わりに、相手にそれ以上の打撃を与える。捨て身で敵に勝つ。肉を切らせて骨を断つ。
(デジタル大辞泉の解説)
一昔前は、「日本は水と安全はタダ」なんて言われた。
今でも世界から見たら、日本は本当に安全で治安が良い。
でも海外に行ったら、「お金を出して安全を買う」という考え方をした方がいい。
外国に行ったり外国人と話をしたりすると、安全を得るためにお金や手間をかけていることが分かる。
海外では、安全を買うことは常識でもある。
だから、外国人である日本人が海外で安全を確保するためには、あえてぼったくられた方が良い場合もある。
ボクは安全を買わなかったために、危険な目にあったことがある。
インドを旅行中、乗っていた列車が遅れに遅れ、深夜になって目的地に到着してしまった。
ホテルまでのオートリキシャー(三輪タクシー)で行ったのだけど、その途中でトラブルにみまわれた。
オート・リクシャー は、インド文化圏、経済圏で普及している軽便な三輪タクシーで、リクシャーの語源は人力車である。
(ウィキペディア)
深夜であったにもかかわらず、ボクは「ぼられたくない!適正料金で乗る!」という一心で、安い料金を提示したリキシャーに乗ってしまう。
「深夜にもかかわらず通常料金」というのには、それなりのワケがある。
運賃とは別のところで儲けようとするのだ。
今から思えば「そりゃ、そうだろうな」と思ってしまうけど、ボクが言ったホテルとはまったく違う場所に連れて行かれてしまった。
そして、あるホテルの前で停まり、ボクの方を向いてこう言う。
「おまえが言ったホテルは、今はやっていない。ここはオレの知り合いがやっているホテルだから、ここに泊まれ」
深夜のインド、しかもほとんど外灯もない薄暗いところでリキシャーのドライバーと口論するハメになってしまった。
この時は、ホテルからインド人スタッフも出てきて、2人のインド人から「降りろ、ここへ泊まれ!」とすごまれて、かなり怖い思いをした。
「深夜に到着してしまったら、お金を出して安全を買うべき」
このことから、その教訓を胸に刻みつけた。
このときのインド体験でいえば、もう300円ぐらいお金を出していればこの危険を回避できただろう。
それだと「ぼったくり料金」になるかもしれないけど、300円であんなトラブルを防止できるのなら、安いもんだ。
こういう経験があったから、先ほどの日本人が10000ウォンという料金にしたのは、良い判断だと思う。
4000ウォンの2.5倍というぼったくり料金にはなるけど、「運賃+深夜の安全代」と考えたら妥当な値段。
深夜という時間帯を考えれば、トラブル防止のために「ちょっと高いな」と思うぐらいがちょうどいい。
それをケチると、かえって金額以上のイヤな目にあう。
海外旅行でぼられるのは不快だけど、時と場合によっては「あえてぼられて相手に利益を与えて、こちらの安全を買う」という判断も大切だと思う。
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