お盆休みのきのうは大雨が降りやがりまして、天気予報を見るとビックリ、これから1週間先まで雨マークが毎日出てやがる。
それで大変なのが甲子園だ。
主催者側としては27日までに決勝戦を行いたいっつーのに、きのう12日につづいて、きょう13日も全試合の雨天順延が決定した。
雨はまだまだ止みそうにないから1日の試合数を増やしたり、休養日にも試合をするとか過密日程になるかもしれないらしい。
となると甲子園球児や関係者の口からは、「悪い天気ばっかじゃん」といった愚痴がこぼれるのは当然。
せっかくのお盆休みだからどっかに出かけようと思っていた人なら、「良い天気こいやー」と言いたくなるのも当たり前。
でも、そういう言葉をテレビやラジオで絶対に言えないのが、天気予報を伝える気象予報士やアナウンサーだ。
彼らにとってそんなセリフはタブーで、視聴者に聞かせてはいけない言葉なのだ。
晴天を前提に外で活動する人と違って、農家にとっては雨は悪者どころか、作物を成長させてくれる神の恵みのようなものだから。
それで昔は天気予報で「明日の天気は悪くなりそうです」といった表現をしたら、「ふざけんな!」と農家から苦情がきたことから、いまでは「天気が崩れそうです」みたいな言い方に変えたという話を聞いたことがある。
気象庁のホームページを見ると、「よい天気(好天)」や「悪い天気(悪天)」は不適切な用語として「✕」にされている。
ほかにも「雲の多い天気」や「不安定な天気」もダメだし、「明日は荒れ模様の天気になりそうです」という表現もNGだ。
農家や雨好きの人もいるだろうけど、日本で「良い天気」と言えば一般的にはよく晴れた日を意味するが、そうでもない国もあるようだ。
これは浜松市に住んでいたインド人から聞いた話。
ある夏の曇りの日、日本語教室の授業で先生が、「今日はどんな日ですか?日本語で言ってください」というお題を出して、教室にいたインド人全員が「今日はとても良い日です」と言う。
すると日本人の先生は不思議そうな顔を浮かべる。
「今日は曇りですよ。しかも、もうすぐ雨が降りそうです」と話すと、「だから良い日じゃないですか」とインド人がそろって当然のように答える。
それを聞いて先生の謎が解けた。
インドでは晴れではなく、曇りの日を「グッド・デイ」と考える人が多いことを知って、「そこが日本人とインド人の感覚の違いなんですね~」と納得。
インドは基本的に暑い国だから、酷暑の4・5月には金属製の部屋ノブに触れると思わず「あつっ」と手を離すほど熱くなるから、雲が太陽をさえぎって暑さをやわらげてくれると一般の人はよろこぶ。
「インドの季節は3つある。ホット・ホッター・ホッテストの3種類だ」と日本人旅行者にネタにされるような暑い国だから、晴天ではなくて曇りの日が「グッドデイ」になるらしい。
日本とインドでは発想の前提が違うのだ。
雨が降ると街全体がシャワーを浴びてキレイになるから、雨天こそ良い日だと言うインド人もいたけど、まぁこれは例外でしょ。
この話から、タージマハールを見て宿に戻ったとき、インド人スタッフに「今日は良い日だ。おまえは運がいい」と言われた理由もわかった。
日本でもひと昔前なら、猛暑のあとに雨が降ると「よいお湿(しめ)りで」とあいさつすることもあった。
「湿り」は雨のことで、辞書(大辞泉)にはこんな説明がある。
時期・降雨量の適当な雨。乾燥した地面を湿らす程度に降る雨。「久しぶりにいいお湿りになった」
インド人が曇りの日を「グッド・デイ」と言うのもこんな感覚だろう。
だからインド人なら、スマホを見てこれから毎日1週間も雨マークが出ていると、「ヤッホーイ!」と歓喜雀躍(かんきじゃくやく)するかもね。
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