・男は大人も子どもも顔や体に入墨をする。
・その地は温暖で、人々は冬も夏も生野菜を食べる。また裸足(はだし)である。
・人が死ぬと十日ほどもがり(喪)をし、その期間は肉を食べない。
喪主は泣き叫び、他の人々は歌舞・飲酒する。
これは「魏志倭人伝」に描かれている3世紀前半ごろの日本人のようす。
日本について伝えるこの最古の書には、「盗みをする者も少なく、訴えごとも少ない」という記述もある。
入れ墨や裸足とか弥生時代と現在の日本ではイロイロと変わったけど、海外からみて盗みをする者が少ないという点は時空を超えて共通している。
「魏志倭人伝」は中国人による記録で、いまの日本を訪れる中国人も日本の治安の良さは素直に認めて賞賛する。
レストランやカフェで荷物で「席キープ」をする、財布を落としても中身そのままで戻ってきた、といった実話は日本を知らない中国人には信じられないようで、理想郷や都市伝説のように思われることもあるらしい。
日本に住んでいて実情を知る中国人はこう話す。
「中国がいまの日本の治安レベルに達するには、100年以上かけて国民をしっかり教育するか、街じゅう至る所に監視カメラを設置するしかないですね」
いまの中国政府を見ると、どうやら後者を選択したらしい。
2年ぐらい前に知人の香港人女性が日本へやって来た。
「中国旅行?コワくて行けませんよ」というほど治安の良い香港でも、日本とは比べ物にならない。
「これがその証拠です」と彼女は持っていたバッグ(下の写真)を見せる。
日本は治安がいいから、上部が空いているバッグを持って女性が街を歩いても問題ナシ。
でも香港の街でそれをするとスリにねらわれて危険だから、彼女はファスナー付きのバッグを持ち歩いている。
ファスナーのあるバッグは好きじゃないけど、「盗難防止機能」のないバッグに貴重品を入れて外出するほどのチャレンジ精神はないから、このダサさは受け入れるしかない。
日本のお店でカワイイ&オシャレなバッグを見つけても、香港の治安を考えるとあきらめるしかないのが残念と言う。
5年ぐらい前、中国旅行でお世話になった上海の日本語ガイド(女性)はソレで失敗した。
日本旅行に行ったとき、中国では手に入らないようなハイセンスのバッグを見つけて、「今でしょ!」と迷わず購入。
日本円で5万円以上するそのバッグは、当時の中国では通行人の目を引くような「レベチ」の一品だった。
当然気を付けてはいたけれど、上海駅かその近くの人混みの多いところで、いつの間にかスリに財布を盗まれしまった。
「地方から来た人間はよく人の物を盗むんです。」とやや差別的に話すガイドは、いまでは仕事に行くときは中国で買ったファスナー付きのバッグを使い、場所と時間帯を選んで日本のバッグを持って行くようにしているという。
その上海人から見ると「危険防止機能」なしで、オシャレと使いやすさに特化した日本のバッグは魅力的だし、それを持って自由に出歩ける日本の治安の良さはもはやうらやましい。
同じことを知人の香港人も言っていた。
さて本日10月7日は「トウ・ナン」の語呂合せで盗難防止の日だ。
日本でも盗難やスリはあるし、平和ボケなんてしていられる治安ではない。
でもいまのところはバッグにファスナーはいらないし、「盗みをする者も少なく」という弥生時代からの伝統は守られている。
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