先月アメリカで、とっても「らしい日」があった。
ロイター通信(2021年10月12日)
米コロンブスデー、大統領の「先住民の日」認定で二重の記念日に
1492年にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」したことから、その後、多くのヨーロッパ人がこの新大陸へ渡ってきて現在のアメリカ合衆国を建国した。
それを記念する10月11日の「コロンブスデー」の祝日には、ニューヨークやシカゴなどでコロンブスの航海やイタリア系アメリカ人の文化を記念するパレードが行われたという。
でも、「見つかっちゃった」側の先住民にしてみれば、この日からヨーロッパ人に虐殺されたり、奴隷にされるなどの暗黒時代が始まったワケだ。
(もちろん先住民との共存を目指すヨーロッパ移民もいた。)
それで最近のアメリカではコロンブスデーを廃止して「先住民の日」に置き換えたり、先住民に関する新しい祝日をつくる都市や州が出てきている。
11日を「先住民の日」とする布告を出したバイデン大統領は、「何百年にもわたり行われた暴力や強制退去、同化政策、恐怖政治を決して忘れてはならない」と国民に呼びかけた。
日本とアメリカの大きな違いは、多民族国家の米社会では「人種の違い」を理由とする争いや対立という爆弾を常にかかえているところ。
1492年にコロンブスがアメリカ大陸を“発見した”というのは、先住民に対する配慮に欠けた不適切な表現として、いまでは“到達した”という表現が一般的だ。
ことしの夏、野球チームの「インディアンス」が名前を変えると発表したことも、背景にはそんな気遣いがある。
1492年にアメリカ大陸へ到達したコロンブスは「ついにインドへ着いた!」と歓喜のカン違いして、先住民を「インド人」と呼んでしまい、この誤解がヨーロッパで広がって、英語で北米の先住民は「インディアン」と呼ばれるようになる。
現在では先住民を「ネイティブ・アメリカン」や「ファーストネーション」ということが多い。
1915年前に誕生したクリーブランド・インディアンスを、ファンは親しみを込めて「トライブ(部族)」と呼んでいた。(いまもそうかも)
この「インディアン」には先住民への蔑視はまったくなかった。
でも、アメリカ社会で「それは差別的だ!」という批判はとてもパワフルだから、有名な企業や組織がこの圧力をスルーするのは無理。
で球団側は、100年以上の歴史のあるチーム名を変更することにした。
CNNニュース(2021.07.27)
球団名の変更は米国で起きている大規模な文化的な変動の一環。米国では人種差別的な風刺やステレオタイプの名前の使用について再考が進んでいる。
米大リーグ、クリーブランド・インディアンスからガーディアンズに改名
でもそもそも、なんで再考を要する「インディアンス」というチーム名にしたのか?
これは当時、大活躍していたネイティブ・アメリカンの選手にちなんでつけられたものだから、蔑視や差別の反対で、先住民への敬意や親しみが込められている。(くわしくは Cleveland Guardians を)
でも、時代や意識の変化には勝てなかった。
上の『ワフー酋長』のロゴが人種差別騒動を経て、「広島東洋カープ」のように変更された。
The Bro and The Biebs. pic.twitter.com/FhYx94a43k
— Cleveland Guardians (@CleGuardians) November 26, 2021
視点を変えれば光は闇になる。
同じ10月11日の日でも、パレードをして祝ったりかつての迫害や差別を心に刻んだり、またはその両方を同時に行ったりと、ルーツや考え方の違いによってイロイロな過ごし方がある。
「コロンブス・デー」には、多様な価値観・立場の共存を目指すアメリカ社会の苦労や「らしさ」がよく表れる。
首相や天皇が「二重の記念日」を認定するなんて日本じゃ聞いたことない。
ただここ最近のアメリカは、かつて差別されていた側のターンだ。
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