海外旅行でイライラ!でも、外国人は日本の常識で行動しない。

 

今日の一言

個人が共同体のために犠牲になる日本で、各人がまったっく降伏で満足しているように見えることは、驚くべき事実である。(オリファント 江戸時代)」「逝き日の面影 平凡社」

 

海外旅行に行ったら、かなり高い確率で、 不愉快な目に会う。
会わないようにしたって、多分、そういう目に会う。
じゃ、旅で感じるイライラは、どうやったら減らすことができるか?

 

気がつかないうちに、外国人に、日本の常識に従って行動するという、ムリなことを要求していることが、そのイライラのせいかもしれない。
自分の考え方を変えれば、「旅の不快さ」を減ることもある。

日本人の常識はインド人には、通じないことがある。
インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」には、インド人のこんな言葉がある。
商売の取引で、日本人とインド人がもめている。そんなときに、日本人はこう言い出すという。

条件が折り合わず最も揉めているときに、『条件はともかく、われわれは同じ人間ではないか』とやり出すのであるから。

(喪失の国、日本 M・Kシャルマ)

 

ボクは国際ビジネスのことは知らないけど、同じ日本人として、日本人なら「同じ人間じゃないか」と、情に訴えるような気はする。
でも、お金がからんだ外国人相手のビジネスでは、この日本の常識通じそうにない。少なくてもインド人には。

 

ビジネスのことは知らないけど、インドやいろんな国を旅して、店で買い物をした経験ならいっくらでもある。
買い物をしていると、さっきの日本人ビジネスマンの気持ちがよく分かる。
「何で地元の人と同じ値段で売ってくれないんだよ。同じ人間なのに!」

 

でも、外国人の商人と話してみると、彼らの常識は日本の常識とは違っていることが分かってくる。日本と外国とでは、店で物を売るときの「平等」の考え方が違う。
それが分かると、彼らが外国人には高く売りつけることが、必ずしも、ぼったくりとは言えないとも思う。

 

「誰にでも同じ値段で売る」というのは、日本の常識(平等)になる。
日本のお店なら、日本人でも外国人でも、差をつけることなく同じ金額で売る。

 

一方、「金持ちには、高い値段で売る」というのは、外国の常識(平等)になる。
外国では、「外国人=金持ち」という考えが一般的だから、店の人は外国人には地元料金ではなくて、外国人料金で高く売ろうとする。

 

ここでいう「外国」っていのは、東南アジア、南アジア、中東、アフリカの国々のことになる。欧米には行ったことがないから、分からない。
それと、ここでの買い物は、個人商店での話で、近代的なデパートでの買い物ではない。
タイなら、ロビンソンやイオンでは値札の価格が適正価格で、タイ人も外国人も関係なく買うことができる。

 

インドのヴァラナシという街で、インド人の商店のおじさんに聞いたことがある。
「なあ、何でインド人は外国人に高く売りつけようとするんだよ?」
「いや、それは違う」と、おじさんは否定する。
「外国人だけじゃない。インド人でも、値段は違うさ。客が金持ちに見えたり、『欲しい』って気持ちが強いと感じたりしたときは、値段を高くする。」

 

他にも、言葉のアクセントで、客がインドの地方出身者だと分かったら、高い値段をふっかけるという。
「外国人だけじゃないいんだ。同じインド人にも高い値段で売りつけんだ」というのは、ボクには意外な発見だった。

 

インド人の友だちに聞いても、インドはそんなもんだ、と言う。
インドでは、値段が誰にでも同じなんてことはなく、人によって違うことは当たり前。この友だちの場合、同じ物を買うにしても、夫である自分より妻が買った方が安くなるという。
これは、奥さんが交渉上手ということだけど、インドに日本のような「誰でも同じ値段で売る」なんていう常識は通じない。
外国人が相手なら、2倍、3倍になることは常識の範囲内だ。
もちろん、値段交渉次第で最終的な値段は変わってくるけど。

 

インドだけじゃなくて、東南アジア・中東・アフリカでも、人によって値段が違うことは当然のようにある。

 

この辺のことが、旅の経験が浅かったボクには、分かっていなかった。
誰にでも同じ値段で売るということが「平等」と考えていたから。
これは日本の常識じゃなくて、世界で通じる当たり前の考え方だとも思っていた。

 

でも、インドとエジプトの商人に言わせると、「それは、不平等だ」と言う。
彼らは、金持ち(外国人)からは高くとることが「平等」だと考えていた。
相手の収入によって、売る値段が違うことが「平等じゃないか」と。
これは、ボクが話を聞いたインド人とエジプト人が言っていたことで、何かの本で確認したことじゃない。

 

だから、これは彼らの個人的な考えで、これがインドやエジプトの常識だとは言えないかもしれない。
でも、東南アジア・中東・アフリカでは、「外国人(金持ち)には、高い値段で売る」ということは、当たり前のようにある。

 

彼らが実際にやっていることを見ると、「金持ち(外国人)からは高くとって、お金がない現地の人からは少なくとることが平等」と考えてもいても、不自然じゃない。
これらの国では、こっちの平等が常識として通じると思う。
現地人には安く、 外国人には、その数倍の高い値段で売っても、店の人は、それをまったく悪いともと不当だとも思っていない。
「それはおかしい」とボクが言っても、悪びれず、堂々としている。
結局、前回の記事で出た、「累進課税の意味での平等」を正しいと考えているんだろう。
金額ではなくて、負担の平等を重視している。
まあ、一番重視しているのは、「たくさん儲けること」なんだけどね!

 

ボクのように、「500円の物なら、誰にでも500円で売ることが当たり前のことだろ」と考えていたら、現地の人とは合わない。
彼らは、500円の物でも、外国人には800円や1000円で売ることが当然でそれが平等だと考えている。

 

ボクの平等感覚からしたら、これは「ぼったくりだだ!」になる。
でも外国人の平等感覚からしたら、「これは不当なことではなくて、平等だ」ということになる。
日本の常識をインド人やタイ人、エジプト人に当てはめようとしても、さすがにこれはムリだね。彼らが、日本人の価値観を身につけて、日本の常識で行動するはずがない。

 

外国で感じるイライラは、「気がつかないうちに、自分が日本の常識や価値観で相手の言動を判断しているから」ということが多いと思う。
ボクの場合は、これがすごく多かった。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。