数年前に知人の台湾人女性から連絡があって、友達2人を連れて、近く日本へ旅行にやってくるという。
伊豆にも行く予定で、もう温泉のある宿を予約したということなんで、ボクも浜松から車を飛ばして彼女たちと合流して、修善寺や伊東を案内することにした。
それで当日、いろいろ話を聞いていると、泊っている宿でちょっとしたコトがあったという。
その宿には、旅行雑誌や飲み物なんかが置いてある「くつろぎスペース」があって、そこで3人があれこれ話をしていると、「中国人ですか?」と同じ20代ぐらいの中国人男性が話しかけてくる。
すると3人は言葉を中国語から台湾語へスイッチして、彼に話の内容が分からないようにして会話を続けた。
「そしたらね、その中国人は黙って去って行ったんですよー」と笑って話す3人の台湾女子。
でもボクとしては、そこまで露骨な無視をくらった男の心中を察すると、同じ男としてお悔やみを申し上げるしかなく、正直かなり引いた。
中国人も台湾人もどっちも中華民族で漢字を使うし、同じ(ような)料理を食べるし、日本人からすると、中台の関係や違いは分かりにくい。
歴史をたどると、もともと1つだった中国は20世紀前半、毛沢東の率いる共産党と蒋介石率いる国民党に分かれて対立し、中国の統治者の座をめぐる戦いが始まった。
結果、この国共内戦は共産党の勝利に終わる。
負けた蒋介石&国民党は台湾島へ逃げ込み、そこで独自の政権を樹立したことで中国・台湾の分裂は決定的に。
それ以来、中台は別々の歴史を歩んできたから、人々の意識も違ったものとなる。
台湾では特に若者の間で、「台湾は中国とは別で、台湾はあくまで台湾だ」と考える人が多い。
それに対して中国では、「台湾は中国の一部。独立なんて絶対認められぬ」と考えられている。
国連をはじめ国際社会では一般的に、中国政府の主張する原則「ひとつの中国」を支持していて、日本政府も「台湾との関係について非政府間の実務関係として維持してきています」と外務省ホームページにあるように、台湾を一つの国として考えていない。
ただ「非政府間の実務関係」というのがアイマイで、日本と台湾には直接的なやり取りや交流があるから、国民の多くもよく分からなくなる。
さて熱海には、すがる女を男が蹴とばす「貫一お宮の像」というのがある。
その伊豆で、逆バージョンみたいな悲劇(放置プレー)があったのはさっき書いた通りだ。
中国人男性を置き去りにした台湾女子チームは、2019年にアジアで初めて台湾が憲法で同性婚を認めたことを超うれしく思うと言う。
ワケを聞くと、
「これは、台湾が性的マイノリティの人たちの権利を尊重するということです。アジアの中で先進的というのは誇らしいですよ」
ということの他に、こんな彼女たちらしい見方を披露する。
「中国の憲法は同性婚を認めていませんし、共産党が認めることはこれからもないでしょうね。だから、憲法で同性婚を認めたというのは、中国と台湾では価値観や考え方がまったく違うと証明したことになります。だからうれしいのです。」
そんな台湾の同性婚について、昨日こんな動きがあり。
共同通信の記事(2023年1月20日)
台湾が外国人との同性婚を受理 解釈を変更、相手国未承認でも
台湾の内政省は同性婚についての解釈を変えて、相手国が同性婚を認めていなくても、台湾人とその外国人との同性婚を認めることにした。
この決定を受けて、同性婚を支持する台湾の市民団体は「国・地域をまたぐ全ての同性カップルを祝福する」と歓迎の意を表明した。が、「中国は登録手続きの問題で対象外とした」とある。
やっぱり中国と台湾の距離は遠かった。
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