始めの一言
「私が非常に素晴らしいと思うのは、日本が、最も近代的な面もおいても、最も遠い過去との絆を持続し続けていることができるということです
(レヴィ・ストロース)」
この記事の内容
・新・世界七不思議
・天皇と並び称されるインド人
・超格差社会のインド
・世界三大美建築
アメリカ人女性が、ある国を訪れてこんな感想をもった。
「今世紀最大の謎であり、最も不可解で矛盾に満ちた民族です。」
さて、どこの国の民族のことだろう?
答えは、日本人。
このアメリカ人女性は「シドモア」といい、明治時代に日本に旅行で来ている。
これはそのときの感想。
「シドモア日本紀行 講談社学術文庫」に、そのことが書いてある。
ボクにとって「今世紀最大の謎」だったのがインドという国。
大学時代のボクのインドのイメージは、「カレー・カースト・仏教」の「CCB」ぐらいしなかった。
インド人もインドいう国も未知の世界。
特に旅行で行きたかったのが、「世界で最も美しい墓」と呼ばれるタージマハル。
日本人なら知らない人を探す方が難しいほど、有名な建築物だろう。
2011年には「新・世界七不思議」の一つにもあげられている。 ちなみに、他の6つは、以下のとおり。
中国の「万里の長城」
イタリアの「コロッセオ」
ヨルダンの「古代都市遺跡群ペトラ
ブラジルの「コルコバードのキリスト像」
ペルーのインカ帝国遺跡「マチュ・ピチュ」
メキシコのマヤ遺跡「チチェン・イッツァ」
インド人に友だちに言わせると、「日本人のタージマハル大好き」は、インド人でさえ驚くほどらしい。
インド南部のケララ州で生まれ育った彼女は、タージマハルに行ったことがない。
それを日本人に言うと、「何でインド人なのに、タージマハルに行かないの?」と驚かれることが何回もあるという。
でも、彼女にしたらそれが不思議らしい。
「なんで、インド人はタージマハルに行くと思うんだろうね。ケララからアグラーまでめちゃくちゃ遠いし、そこまでして行きたいとは思わない。日本人はインド人よりタージマハルが好きなんでしょ」
と言う。
ちょっと話はそれて、ここで日本史の復習。
もし、日本でインド人と話す機会があったら、奈良時代に活躍したインド人の「菩提僊那(ぼだいせんな)」のことを話すといい。
そしたら、きっと、そのインド人は喜ぶ。
この菩提僊那という僧は、752年に東大寺の毘盧遮那仏(奈良の大仏)の開眼供養をしている。
開眼供養(かいげんくよう)
新しく彫刻したりあるいは描かれた仏像を供養し,仏眼を開く儀式で,この儀式を行なったのち,霊力をもつ尊像として尊ばれる。天平勝宝4 (752) 年に行われた東大寺大仏の開眼供養の儀式が日本で行われた最初のもの。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)」
この開眼供養をする前は、ただの木造の像にすぎないけれど、この儀式をした後は、「仏像」になることができる。
そしてこの菩提僊那こそ、日本初の開眼供養を行なった僧になる。
菩提僊那は高い尊敬を受けて、聖武天皇と同じく東大寺の「四聖」の一人にもなっている。
「東大寺では大仏創建に力のあった良弁、聖武天皇、行基、菩提僊那を「四聖(ししょう)」と呼んでいる。
(ウィキペディア)」
日本の歴史で、天皇と並び称されるインド人は、菩提僊那だけだろう。
ボクがインド人にこの話をすると、彼らは誇らしく思うらしい。
シーク教徒のインド人は、「feel so good(とても良い気分だ)」とか言ってた。
話をタージマハルとインドに戻す。
タージマハルがお墓だということを知っている日本人は多いと思う。
でも、インドがどんな国かを知っている人は少ないんじゃないかな?
これこそ、タージマハル以上の謎だから。
ということで、今回の記事は、タージマハルの入場料をとおして、インドという国の一面を紹介したい。
タージマハルには、悪名高い外国人料金がある。
前まで「外国人料金」について記事を書いてきたので、ついでタージマハルの外国人料金のことも書いておこうと思いたったワケさ。
もちろん、ここで書くのは、ボクが知っている範囲のインドという国のほんの一面。
さて、タージマハルの入場料は、こんな具合になっている。
「外国人の料金は750ルピー(2011年9月のレートで約1150円)に値上げされた。インド人料金は20インドルピー(約30円)と低額に据え置かれている
(ウィキペディア)」
ボクがタージマハルに行ったときもこの料金(確か)だったし、タージマハルを訪れた日本人はほとんど750ルピーを払ったはず。
なので、これを基準に考える。
これによると、外国人は、インド人の約38倍の金額を払わないといけないことになる。
ボクがタージマハルに行ってまず驚いたのが、タージマハルの入場料の高さより、インド人との金額の差。
インド人の38倍って、ぼったくりレベルじゃないですか。
「インドというのは、国をあげてぼったくってるんじゃないか?」と思ってしまった。
でも、インドの社会を知ると、どうも違う。
インドは、日本とは比べられないような格差社会だ。
金持ちと貧しい人の差があまりに離れている。
それを示す一つの例でとして、インドの納税者数がある。
インドと日本を知りつくした専門家よると、インドはこんな社会らしい。
「インドの税法では、税金義務を負うのは、年間11万ルピー(2007年JETRO資料)、約33万円以上の人々である。現在の納税者数は、全人口に対し約3%。率は増加傾向にあるものの、わずかの人々に集中する、超格差社会である
(日本を救うインド人 島田卓)」
「納税者数は、全人口に対し約3%」ということは、国民の97%は税金を払っていないことになる。
もう、この時点でインドという国がよく分からない。
日本の場合、「日経ビジネス」によれば、2010年の納税者は5500万人になる。
「2010年に2000万円を超える申告をした納税者は31万人で、この年のわが国の納税者数は約5500万人(総務省調べ)」
詳しくはこの記事で↓
この日経ビジネスにある日本の納税者数とさっきのインドの納税者数が、同じ算出方法かは分からないけど、目安にはなる。
平等社会の日本と格差社会のインドというそれぞれのお国事情がよく分かる。
日本では、44%の人が税金を払っていることになる。
インドでは、3%の人だけしか税金を払っていないことになる。
「国民の97%が税金を払ってなかったら、国がつぶれてしまうんじゃないか?」と思ってしまうけど、それでやっていけるのがすごい。
これが「インド・マジック」というか、スーパー格差社会のインドというなんだろう。
とはいえ、ここ最近のインドの経済成長はすごく、2007年よりは金持ちは増ええていると思う。中間層が増えているとも聞く。
でも、納税者の数が急に増えることは考えにくい。
むしろ、金持ちがより金持ちになっただけじゃないのかな?
こんな超格差社会のインドの「値段設定」と、日本での「値段設定」とは、当然、考える基準が違う。
次回は、こんな日本ではあり得ない格差社会に住むインド人の「金銭感覚」について書きたい。
日本とはかけ離れた格差社会に住むインド人の金銭感覚もまた、日本人の金銭感覚とはかけ離れたものになる。
ところで、記事の始めに「新・世界七不思議」を書いたけど、「世界三大建築物」はご存じだろうか?
ギリシャのパルテノン神殿とインドのタージ・マハルと日本の桂離宮になる。
昭和初期、ドイツから日本に亡命した建築家・ブルーノ・タウトが、パルテノン、タージ・マハルとともに世界三大美建築と絶讃した桂離宮。
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