前に、中国人がルールを守らない理由について書いた。
セントレア空港で会った中国人の女性はこうは言う。
「中国にはむかしから人がたくさんいて、貧しかったんです。自分が欲しいものを手に入れることがむずかしかったから、ルールなんて守っていられなかったことが理由だと思いますよ」
中国では人の数に対して物が少ない。
自分がほしいものや必要なものを手に入れることを第一に考えたら、ルールなんて守っていられない。
この中国人は、それが今の中国人のルール無視の理由になっていると話していた。
このときはとは違う中国人からも、その理由を聞いたことがある。
今回はそのことを書いていきたい。
北京のマクドナルド。
列がないから、どこにならんだらいいのかわからなくて困った。
その中国人は日本の大学に留学していて、20歳を少しこえたぐらいの女の子。
日本に来る前から、「日本人はルールをとてもしっかり守る人たちだ」という話は聞いていた。
じっさいに日本に来てみたら、ウワサどおり。
バスや列車に乗るときには、みんなが当たり前のように2つの列をつくっている。
列車の扉が開いたら、中にいた人が出てくるまで両サイドでじっと待つ。
そして最後のひとりが出てきたら、列にならんでいた人たちが列車のなかに静かに入っていく。
中国ではちがう。
とくに混雑しているときの地下鉄はひどい。
列ではなくて、人のかたまりがあるだけ。
車両の扉が開くと、自分の席を確保しようとわれ先になかに突入する。
そのときの中国人の瞬発力は、競馬でパドックが開くと同時に飛び出す馬とおなじぐらい。失礼!
でも、車両の中からは外に出ようとする人もいる。
そうなるともみ合いになる。
日本でいえば、デモ隊が機動隊に突入する場面を想像してもらえばいい。
車両から出る人と中に入ろうとする人が激しくぶつかる。
その子は、あるおばさんが持っていた袋が破れて中のみかんが飛び出したのを見たことがあるという。
そんな中国から来たら、日本人が2列にならんで車両から出てくる人たちを待っている様子はキセキのように見えたらしい。
旧約聖書の「出エジプト」で、海が二つにわれる場面みたいなものだろう。
でも、列をつくったり交通ルールを守ったりする様子は、中国のなかでも差があるという。
たしかに「中国人は」と、13億の人たちをひとくくりにするのはちょっとムリがある。
同じ中国にいる人間でも、行動や考え方はまったくちがう。
年齢によってもちがうし、中国の都市か農村かによってもちがう。
「それに、これでも昔よりはかなりルールやマナーを守る中国人が増えているんですよ」ともいう。
それでも日本人と比べたら、全体的にみれば中国人がルールを守らないのはまちがい。
それは認めていた。
中国を旅行していたとき、地下鉄でこんなものをよく見た。
「扉が閉まったら、開けようとしないで次の車両を待ちましょう」
「列には並びましょう」
そんなルールやマナーを守ることを呼びかけている。
中国ではそれを「文明」というらしい。
中国には、こんなポスターが本当にたくさんある。
でもその中国人に言わせると、そこに書いてあるスローガンの言葉なんて視界に入っても、頭にはまったく入ってこないという。
「子どものころから、学校や街でいろんなスローガンを見てきたからですよ。今ではスローガンを見ても何とも思いませんね。そんなポスターがあっても、気がつかないと思います」
学校にはルールを守るように呼びかけるポスターがあって、街には軍と民衆が協力することを呼びかけるポスターやスローガンがある。
そういうのはたくさんあるんだけど、学校でも街でも大人がそれを守っていなかったという。
「中国人がルールを守らないのは、大人たちが悪いんですよ。学校にいたころは、先生がポスターにある言葉を守っていませんでした。大人になったら、中国の共産党がルールを守っていないことを知りました」
これを聞いたときは、なにも言えなかった。
「中国人はウソばっかりでズルいんす。『ルールを守れ』って言っている人たちがルールを守っていません。それを見ていたら、だれも守らならくなりますよ」
今までに、いろいろな人に「中国人が」ルールを守らない理由」について聞いてきた。
そのなかでも、この子の話にははかなりの説得力がある。
「中国人はウソばっかりでズルいんす」という言葉を中国人の口からきくと、うなづくしかない。
列車のチケットの窓口。
列をつくらせるように人々の良心にうったえることは現実的にムリ。
だから、イヤでもならばせるように鉄柵ができている。
ミャンマーでも同じような鉄柵を見た。
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