インド旅で出会うフレネミーとは?そして日本人のインド化

 

インドを旅行中、よくフレネミーと会った。

フレネミーという言葉を聞いたことありますか?

フレンド(友)とエネミー(敵)を合わせた言葉で、「友だちのような敵」といった意味になる。
この言葉は辞書にものっている。

frenemy

【名】〈俗〉友人でもあり敵でもある人、友達のふりをした敵◆

【語源】friend + enemy

英次郎 on the WEB

 

ボクがインドを旅行していたとき、このフレネミーによく声をかけられた。
といっても、インドだけではない。
エジプトや中国やカンボジアにもフレネミーはいた。
きっと世界中にいる。

 

ただ、その数の多さと質の悪さではインドが抜けている。
インド旅のこんなときにフレネミーはやってくる。

新しい街に着く。
当然ホテルを探さないといけない。
大きなバックパックを背負いながら、ガイドブックの地図をにらみながら歩いている。

そんな二宮金次郎のようなかっこうをしていると、フレネミーに目をつけられる。
彼らは友だちのような笑顔で旅行者に近づき、こんなことを言う。

「何か困ってませんか?手伝いましょうか?」

ボクが出会ったインド人のフレネミーで、こんな礼儀正しい言い方をする人はごく少数。
だいたいはこんな感じ。

「ハローフレンド!どうした?オレが助けてやるよ。言ってみろよ」

ほとんどのインド人はこんな感じで、強引にせまってくる。

15年ぐらい前にインドを旅していた時は、バックパックを背にして地球の歩き方を持っていれば、ほぼ100%の確率で声をかけられた。

「ヴィシュヌ・ホテルを探しているんです」
とこちらが言うと、「オーケー。ヴィシュヌ・ホテルだな?知ってるから、オレについて来い」と言ってまったく違うホテルに案内する。

それがフレネミーという人たち。

宿泊客を連れて行けば、そのホテルからいくらか紹介料をもらうことができる。
だまされて連れて行かれるようなホテルで、良いホテルなんてない。
と断言していいと思う。

 

この子たちはフレネミーではなく純粋なインドの中学生か高校生。

 

フレネミーとはそんなヤツら。
親切をよそおって旅行者に近づき、だましてお金をかせごうとする。

「~ホテルを探してます」とボクが言うと、フレネミーの口からこんな言葉が出たこともあった。

「そのホテルは今、客でいっぱいだ。結婚式があって、たくさんの人がそのホテルに泊まっているんだよ」

それはホントか?
と思ってこの時はそのインド人を信用しなかった。
彼を無視して歩き出すと、そのインド人もついてくる。

「おい、俺は良いヤツなんだ。信用しろよ」

とかなんとか言いながら、ずっとボクから離れない。
本当に良い人が「オレは良いヤツなんだ」なんて言わないだろう。

 

目的のホテルに着くと、フレネミーは姿を消す。
フロントで「今夜泊れるか?」と聞くと、「ノープロブレム」の一言。
ホテルには空き部屋がいくつもあった。
「そのホテルはフルだ。行ってもムダだ」なんて、やっぱりウソだった。

フロントのインド人に自称・親切なインド人の話をする。

「この辺にはそんなインド人がたくさんいるよ。いいか?インドで声をかけてくるヤツを信用するな。自分が声をかけた人間だけ信用しろ」

この言葉には納得。

 

「祭りがあるから、今そのホテルはいっぱいだ」
「そのホテルは半年前につぶれたぜ」

インドのフレネミーはいろいろなウソを言って、外国人の旅行者を別のホテルに連れて行こうとする。
フレネミーたちは、財布がうるおえば良心は痛まない。

 

そんなインドでシャカは悟りを開いた。
これはその場所に建てられた仏塔。

 

インドを旅行中に出会った旅行者のほとんどが、こんなフレネミー体験をしていた。
日本人の旅行者と会うと、よくインド旅の苦労やトラブルの話になる。

「とにかくインド人は言い訳がすごいよね。その場その場で、いろいろなことを言ってだまそうとする。一体どれだけのウソを持ってんだ?ってぐらいに」

「千のウソを持つ男」なんていうと、まるでミル・マスカラス

「でも、客引きの強引さとかずるさは、さすがインドだよな。日本にも客引きはいるけど、さすがにあんなひどさはない」

インドでそんな話をした記憶がある。

 

 

「その店は客でいっぱいだ。こっちにしろ」

インドのフレネミーは、よくそんなウソをついていたな。

なんて思っていたら、日本でも今そんなことが社会問題になっているらしい。
2017年5月19日の産経新聞にこんな記事がある。

「客取り」ご注意! 入店後トラブル 大手居酒屋店員名乗り「満席です。系列店へ」→実は無関係

 

居酒屋の前で客引きが待ちかまえている。
その居酒屋に来た客に対して、客引きが「ここは今満席です」とウソをついて別の店に連れて行ってしまう。
そんな店は、だいたいがぼったくり。

 

こうした人間は客引きではなくて、「客取り」というらしい。
記事では「こうした客取りは多くの繁華街で問題になっている」と書いてある。
浜松では客取りの話は聞いたことがないけど、東京では多いのだろう。

こうした客取りには大学生に多くいる。
そんなことで警視庁の警察官が大学へ出向き、「客引きをしてはいけません!」と講演をしているという。

客引きの大学生、摘発急増 稼ぎよく退学も

警視庁は今年の新学期の時期に合わせ、20以上の大学で講演し、「キャッチのバイトは違法」と呼びかけるなどしている。

 

ボクが大学生だったときには、こんな出張講演なんて聞いたことがなかった。
小学生や中学生のころに、警察官が学校に来て交通指導をすることはあったけど。時代が変わった。

「ウソをついて別の店に連れて行くなんて、外国だけだよな」
「日本ではないね」

なんて言っていたときがなつかしい。
日本でもこんなことが社会問題になるとは。
日本人がインド化するなんて、まったく想像してなかった。

 

この動画はコルカタの街

こういうところでフレネミーに声をかけられた。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。