アメリカの慰安婦像問題。無関心が日本人への差別を悪化させる。

 

これは快挙だ。
アメリカのインディ500で日本人が優勝した。

フランスAFPの記事(2017年5月29日)

第6戦インディアナポリス500(Indianapolis 500)の決勝が行われ、アンドレッティ・オートスポーツ(Andretti Auto Sport)の佐藤琢磨(Takuma Sato)が優勝を果たし、日本人ドライバーとして初の快挙を成し遂げた。

佐藤琢磨がインディ500制覇! 日本人初の快挙

 

こういう日本人のがんばりを知ったら、励みになるしうれしく思う。

でもその陰で、海外で苦しんでいる日本人もいる。
そうした日本人がマスコミに取り上げられることはほとんどない。

だから日本にいる日本人はなかなか気がつかないけれど、外国で生活していて差別を受けている日本人もいる。

日本にいる日本人も、そうした海外の日本人にもっと目を向けていい。

 

2015年、日本と韓国が慰安婦問題の解決で合意した。

日韓の最大の外交問題だった慰安婦問題は、国と国との間ではこれでもう終わり。

これによって、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと両政府が確認している。
このことでもう、日本と韓国が話し合うことはない。
だからこれで、「慰安婦問題は終わった」と言っても間違いではない。

でも現実的には、慰安婦問題はまだ終わりではない。
国と国とでは終わったけれど、「日本人への差別」という人権問題としてはまだ続いている。

 

慰安婦問題は海外でも広がりを見せている。

たとえばアメリカでは、現地の韓国人が主体となって慰安婦像を建てようとする動きが止まらない。
2013年には、グレンデール市に慰安婦像が建っている。

アメリカにいる韓国人も本国の韓国人も、「日本=人権蹂躙じゅうりん」といった悪いイメージをアメリカで植えつけている。

なかには、慰安婦問題をナチスのユダヤ人虐殺と同列にあつかうこともある。
いくらなんでもこれはひどい。
でも残念なことに、「慰安婦問題=ホロコースト」という認識が外国人の間で広がっていることは事実。

「日本人は残虐ざんぎゃくだ」というイメージが広く定着してしまうと、現地に住む日本人はどのような影響を受けるのか?

アメリカに住んでいる日本人や日系人の報告がある。

そして現在、何が起こっているか。以下は、米国の学校に子供たちを通わせている日本人、日系人からの報告です。

《日本人は韓国人にひどいことをしたのだからと、学校で「謝れコール」が起こり、子供が泣いて謝るまでコールが続いた》

《クラスメートから「テロリスト」「強姦魔」呼ばわりされ、唾をかけられたりして一時ショックでひきこもりになった》

《バスケットで得点したときのお祝いのハイタッチで、日本人の子供の時だけ手を引っ込める韓国人の子供がいる》

慰安婦プロパガンダ 最前線の悲痛な訴え 執拗な「謝れコール」、「テロリスト」「強姦魔」呼ばわり 海外で犠牲になる日本の子供たち

 

上の報告は2016年の記事だから、過去のものではない。
現在進行形の問題だ。

つい最近も、アメリカで慰安婦像が設置されることが決まった。
5月28日のNHKニュースでそのことを伝えている。

米でまた慰安婦問題象徴の少女像設置へ

アメリカで、慰安婦問題を象徴する少女像が、ロサンゼルス近郊の公園に続いて南部ジョージア州の公園にも設置されることがわかりました。現地の日本総領事館は「残念で、今後も引き続き政府の立場を説明していく」としています。

アメリカでの慰安婦像の問題は、現地の日本人だけの問題ではない。
日本にいる日本人も考えなければいけない人権問題になっている。

本国の日本人の協力がなかったら、解決できるわけがない。
こんな困難な問題を現地の日本人だけに押しつけるわけにもいかないだろう。

 

一番いけないことは無関心でいること。

「韓国との政治問題にはかかわりたくない」
「韓国との歴史認識問題には距離をおきたい」

そう考えてしまう日本人は多いと思う。
でもそうした無関心が状況を悪化させてしまう。

何も声を上げなかったら、アメリカに慰安婦像が次つぎと建ってしまう。
そのことが日本と韓国にとってプラスになるとは思えない。

チマチョゴリを着たりキムチを食べたりすることだけが日韓友好ではない。
時には批判することも必要。

 

言うべきことは言えばいい。
とくにアメリカでの慰安婦像問題は、日本人にとっての人権問題になっている。
慰安婦像を建てることには反対の声をあげるべき。

そうでなかったら、日本の子どもへのこんな差別は終わらない。

日本人は韓国人にひどいことをしたのだからと、学校で「謝れコール」が起こり、子供が泣いて謝るまでコールが続いた

それにこんなことを放っておけば、日本でも嫌韓感情が高まってしまう。
ネットの世界に国境はない。
アメリカで起きたことは日本にもすぐ伝わる。
嫌韓感情が高まったら、これと同じようなことが日本にいる韓国の子どもたちにも起きてしまうかもしれない。

 

無関心ではいけない。
といっても、難しいことや過激なことをする必要はない。

日本政府のように反対の意思を示す。
NHKの報道のように多くの人に伝える。

政府やNHKと同じように、常識的なことをするだけ。
日本にいる日本人も、慰安婦像には反対の声を上げたり多くの人に現状を伝えたりすればいい。

自分のできる範囲でそうしたらいい。
海外で苦しんでいる日本人がいるのに、本国の日本人は無関心で何もしない。
それではあまりに冷たい。

そのためにも、日本のマスコミももっと積極的に伝えてほしい。
海外で活躍する日本人だけではなくて、海外で辛い思いをしている日本人の声も取り上げたべきだと思う。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。