海外旅行をしていると、2つの‘南京’よくを見る。
南京錠と南京虫。
同じ南京でもまったくちがう。
南京錠は旅行者の味方で、南京虫は敵。
虫だけど無視できない。
表現が昭和ですね。
南京錠は、泥棒から荷物を守ってくれる頼りになるヤツ。
ボクが初めて海外旅行に出かけたのは、もう20年以上前になる。
その時から比べると、今の荷物はかなり変わった。
当時はトラベラーズ・チェックを持っていたけど、今はカードでの支払いが多い。
今の若いバックパッカーなら、トラベラーズ・チェックを知らない人も多いと思う。
カメラはフィルムカメラから、デジカメになって今ではスマートフォン。
ガイドブックは地球の歩き方を持っているけど、地球の歩き方をSDカード入れている旅行者もいた。
バックパックもパスポートも新しい物に変わっている。
でも南京錠は昔のまま。
形も使い方も変わっていない。
必要性もそのまま。
南京錠なしで外国を旅するなんて考えられない。
これがなかったら、夜行列車やドミトリーで安心して寝られない。
でも南京錠では守り切れない悪いヤツもいる。
エジプトでの宿では、南京錠をしていても物を盗られたという日本人に会った。
その人が寝ているあいだに、だれかがナイフでバッグを切って中の物を盗っていったという。
同じ部屋の人間かもしれないし、宿の従業員かもしれない。
「すぐ横に本人が寝ているのに、よくバッグを切り裂いて物を盗れるもんだな」なんて、その大胆さには感心してしまう。
でも、それに気づいたとしても、自分だったら声を上げられるか?
ナイフを目にしたら、何も言えないかもしれない。
「いつか南京錠がいらなくなる日がくればいいのに」
なんて思ったこともあったけど、どうがんばっても今世紀中はムリ。
当分は、これからも南京錠にがんばってもらう予定。
南京錠はいい。
でも南京虫は旅行者の天敵だ。
南京虫にかまれると、とんでもないかゆさにおそわれるらしい。
ボクはかまれたことがないから、その苦しみが分からない。
けど、南京虫によって「かゆみ地獄」に落とされた人には何度も会ったことがある。
インドで南京虫にかまれたという人は、その後数週間、かゆみとの戦いが続いたという。
「死闘。あの戦いをそう表現しても、大げさではないですね」
らしい。
こういう宿には南京虫がセットになっている。
どのベッドにいるかは、ロシアン・ルーレット。
リボルバー型の拳銃にランダムに弾丸を込めて、自分のこめかみにあてて引き金を引き、生死を賭けるゲーム。ロシアン・ルーレット
青い寝袋の人は韓国人の女の子。
南京虫対策とはいえ、暑いインドで寝袋というのもツライ。
南京虫がいるベッドもそうではないベッドも、同じ宿代。
そんな不条理をかかえながら、インドの夜は過ぎていく。
南京虫がいたのはこの宿。
ところで、今までにこんなことを疑問に思ったことはないですか?
南京錠とか南京虫の南京ってなのか?
南京玉すだれや南京結びなんて言葉もある。
そもそも北京でも上海でもなく、何で南京なのか?
そんなことを思って、調べてみた。
「なんで南京なのか?」
というと、それは外国から伝わったものだから。
むかしの日本人は、外国から日本に伝わったものに「南京」という言葉をつけることがあった。
南京錠の場合は、「外国から来た錠前」ということで南京錠となった。
「レファレンス協同データベース」にこんな説明がある。
外国から渡来したものに、古くは「から(唐・韓)」を冠することが一般的であったが、近世には「南京豆」、「南京虫」、「南京更紗」のように「南京」を冠することが多く、「南京錠」も同様に、外国から渡来した錠前、の意味で命名された。
この意味での南京を英語にすると、「foreign(外国の)」になる。
近世は「日本の場合は,安土桃山,江戸時代をさし(デジタル大辞泉)」とある。
この時代の感覚で南京錠を英語にしたら、「foreign lock」になるんだろう。
ナンキンロックというとプロレスの技みたい。
南京虫についてはウィキペディアにこんな説明がある。
「南京虫」の「南京」とは、江戸時代には海外から伝わってきた小さいもの、珍しいものに付けられる名だった(他の用例として南京錠、南京豆などが挙げられる)。この昆虫は海外からの荷物に付着して伝わってきたと考えられている。
(ウィキペディア)
ちなみに、南京虫を英語で言うとBed bugになる。
ベッドの虫。
たしかにベッドの虫だ。
むかしの日本人は、外国から来たものに「南京」を付けていた。
日本が閉ざされた島国であったことが、言葉からも分かる。
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