はじめの一言
「愛くるしい日本国民の微笑、比類なき礼節、上品で果てしないお辞儀と明るく優美な表情には、はるかに心よさを覚えます。(シドモア 明治時代)」
・イギリスはEUから出るの?
・日本とヨーロッパの違いは?
・イギリスはEUから出るの?
前回の記事では、ロンドンを中心とする南部が豊かで北部が貧しいという、イギリスの「南北問題」について書いてきた。
ロンドン一極集中批判
イギリスにおける「1人あたりの域内総生産(GDP)の首都と地方の格差」は1位のロシア(163%)に次ぐ2位(69%)であり、一極集中は顕著である(日本は14%)。
ロンドンの人口は国内の13%にとどまる一方、1997年から2010年に国内で創出された雇用の43%はロンドンである。また2010年から2012年に政府系雇用がロンドンで6万6300人増加したのに対し、エディンバラでは3000人の雇用が失われた。
(ウィキペディア)
この記述にあるように、ロンドンでは雇用が増えていて、仕事を見つけやすい。
こうなると、イギリス国内の地方にいるイギリス人だけではなくて、EU全体からロンドンに人が集まってくる。
イギリス人に話を聞くと、今のイギリスでは、こうした移民にどう対応するかが、最大の関心ごとになっているらしい。
2016年6月23日に、イギリスがEUから抜けるべきか、EUにとどまるかを決める国民投票が行われる。
この選挙では、イギリスへの移民問題が大きな争点になっている。
NHK(6月7日)ニュースによると、現時点では、「イギリスは、EUから出るべき」と考えているイギリス人がやや多いらしい。
今月23日にイギリスで行われるEUからの離脱の賛否を問う国民投票について、先週行われたインターネットによる2つの世論調査の結果が6日公表され、いずれも「離脱」が「残留」を僅かに上回りました。
このうち、今月1日から2日間にわたって行われた世論調査では「離脱」が45%、「残留」が41%となっています。英国民投票 世論調査 「EU離脱」が僅かに上回る
日本人のボクからしたら、「何でイギリスはEUにいたくないのか?」と素朴に思ってしまう。
EUができたときには、「これは、すごいことが起きた」なんて思ったものだ。
「ヨーロッパが一つになって、すべての人がヨーロッパ人になる」なんて、まさに理想的!に見えた。
当時の日本のマスコミでも「国境がなくなって、人びとが一つになる」ということは、素晴らしいことだと賞賛していた。
でも現実には、そう甘くはなかったみたい。
中にはEUに対してこんな見方もある。
元ロンドン市長ボリス・ジョンソンは、EUの目的は本質的にはアドルフ・ヒトラーと同じであるとし
(ウィキペディア)
EUが目指すところとヒトラーが目指すところが同じ。
これには驚いた。
ボクは遠く離れた日本から眺めていただけだから、EUの良いところしか見えていなかったのかもしれない。
・日本とヨーロッパの違いは?
最近、ロンドンに住んでいるイギリス人の友人と話す機会があった。
彼女の話では、去年のパリでのテロ事件があってから、ロンドンの空気は変わったという。
あのときは、ベルギーにいたテロリストがパリへ入ってテロを起こした。
EUの中にいる人間が、EUの国々を自由に移動できる状態であれば、いつテロリストがいつイギリスに入ってくるか分からない。
そのことを不安視するイギリス人は多く、そのことからも、「イギリスは、EUから離脱するべき」という考えに支持が集まっているという。
「テロリストと移民は違う。ヨーロッパはテロリストと移民を同一視してはいけない。ヨーロッパは、寛容の精神で移民を受け入れるべきだ」
という意見は、そのとおりだと思う。
でも、遠く離れた島国に住む日本人から、そう言われて喜ぶヨーロッパ人はいないだろう。
「ヨーロッパは、受け入れた移民を孤立させてはいけない。地域に溶け込ませることを考えるべきだ」という意見を耳にしたことがある。
だけど、ニューズウィークを読む限りでは、そんなことは日本人に言われるまでもなくフランスはやっていたように思う。
それでも、テロは起きてしまった。
「いや、ヨーロッパは、まだ努力が足りない」なんて、ボクにはとても言えない。
日本とヨーロッパの主要国は、先進国で自由民主主義という価値観も共有している。キリスト教という宗教を除けば、日本との大きな違いは、移民の存在だと思う。
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