最近アメリカのある州で、新しい法案が成立した。
それによってその州では、5インチ(約14㎝)より長い刀や剣を持ち歩くことができるようになる。
長いヤリを持って外出しても問題はない。
この法案が成立するとどうなるか?
アメリカのメディア「Rated Red」がこう伝えている。
サムライが持っていたような本物の刀を持って街を歩くことができる。
十字軍のような剣もOK。
日本でこんなものを持って街を歩けば、すぐに銃刀法違反で捕まってしまう。
日本人のボクからすると、こんな法案を必要する社会というのがよく分からない。
アメリカ北部のニューヨーク州やイリノイ州がこんな法案を通すとは考えにくい。
やっぱりこんなことをするのは南部のテキサス州だった。
テキサス州では9月から、長いナイフやヤリを持って公共の場に行くことができるようになる。
これがその法案成立を伝えるニュース。
先ほどと同じアメリカ・メディアの「Rated Red」から。
Texans will soon be able to carry swords in public pic.twitter.com/Sw5GtvHxQk
— Rated Red (@realratedred) 2017年7月10日
でも、学校・病院・教会に持ちこむことはダメ。
前に、アメリカの北部と南部の人たちの違いを記事で紹介した。
こんな動画を撮ってよろこんでいるのは南部のテキサスの人たち。
Freedom Hardから。
この動画を見てアメリカ人がこんなコメントをしていた。
このフィルムはどこの州だ?
合法的に花火をぶっ放せる州に行きたいよ。What state was this filmed in?
I want to go to a state where its legal to blow fireworks off.
これに対して、たぶんテキサス州の人がこう答えている。
アメリカでもっとも偉大な国・・・。テキサスだ!
the greatest country in America… Texas!
こう答える可能性が一番高いのは、テキサス州のアメリカ人だ。
ベトナム旅行で会ったテキサス出身のアメリカ人からも「テキサスは州ではなくて国だ」なんて言っていた。
もちろん、テキサスは国ではなくてアメリカのひとつの州にすぎない。
でも、テキサス州のアメリカ人は一般に独立心が強い。
「自分の身は自分で守る」という気概のある人が多い。
先ほどの法案や動画には、きっとこの考え方が影響している。
テキサス州の歴史を知ると、テキサスを州ではなくて「国」と呼ぶ背景が見えてくる。
たしかにテキサスは、もともとは国だった。
テキサスは1836年にメキシコから独立して共和国になっている。
それから9年間、独立国として存在していた。
テキサス共和国(テキサスきょうわこく、Republic of Texas)は、メキシコ合衆国のコアウイラ・イ・テハス州のうち現在の米国テキサス州およびその周囲の地域がテハス州として分離、その後独立して短期間(1836年 – 1845年)存在した共和国。米国への併合により消滅した。
「ウィキペディア」
こんなテキサスの歴史があるから、テキサスを州ではなくて国と呼ぶ人がいるのだろう。
コロラド州の山
でも、他の州の人たちはどう思うのか?
自分の州を「アメリカでもっとも偉大な国だ」と言う人が、他の州の人から好かれるわけがない。
他州のアメリカ人には、「テキサスのアメリカ人といっしょにされたくない」という人は多いと思う。
「テキサスは最低だよ」
「あいつらの考え方はおかしい」
北部のニューヨークとシカゴ出身のアメリカ人の友人はそろってそう言っていた。
これはテキサス州だけではない。
アメリカでは一般的に、北部と南部とでは価値観や考え方に違いがある。
アメリカの北部には自由主義(リベラル)な考え方が広くあって、民主党を支持する人が多い。
それに対して南部では保守的な考え方が根強くあって、共和党の支持者がたくさんいる。
上の赤いところがアメリカ北部(ウィキペディアから)
下の赤いところがアメリカ南部(ウィキペディアから)
*これは「一応の目安」と考えてほしい。情報源によって北部や南部の指す範囲が変わってくるから。
下の地図は南北戦争(1861から1865年)のときの北部(青)と南部(ピンク)。
北部は奴隷制に反対して、南部は奴隷制を支持していた。
南北戦争では北部が勝っている。
北部に負けた恨みは、今でも南部に残っているだろう。
戦争で敗北者となった恨みはなかなか消えないから。
福島県の会津若松市には、今でも戊辰戦争で山口に恨みをもっている人がいる。
Jcastニュース(2007/4/16)から。
「先輩がご迷惑をおかけしたことをおわびしなければいけない」。
安倍晋三首相が2007年4月14日、こう発言した。場所は福島県会津若松市。参院福島補選の応援演説の中で述べた。今から約140年前の幕末期、長州藩(山口県)などの新政府軍と旧幕府軍側の会津藩との戊辰戦争を意識したものだ。
これに対して、元会津若松市長の早川さんはこう言っている。
「長州への恨みは戊辰戦争だけではない」
「明治維新以降も長州閥の高官が会津出身者の登用を妨害するなど長い経緯が積もり積もった問題だ」
こういう思いは、なかなか消えない。
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