海外旅行に行くと、お札にその国の有名人が描かれていることがよくある。
その人物について現地の人に話を聞くことで、話のきっかけになる。
その人物について知ることで、その国の価値観や考え方に触れられる場合もある。
そんなわけでクイズです。
下のお札に描かれている人物はだれか?
ベトナムのお札
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/07/IMG_93391-e1500775454859-300x225-1-300x225.jpg?resize=300%2C225)
ホー・チ・ミン(1890年ー1968年)
初代ベトナム民主共和国の主席で、ベトナム建国の父。
国民からは「ホーおじさん」とも呼ばれている。
中国のお札
毛沢東’(1893年ー1976年)
中華人民共和国を建国し、中国共産党中央委員会の主席をしていた。
ホーチミンと同じく「建国の父」という人。
でも、中国人から「毛おじさん」と呼ばれているのは聞いたことがない。
台湾のお札
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2019/06/65270593_306057396940663_4343616759928979456_n-1.jpg?resize=300%2C225&ssl=1)
蒋介石(1887年ー1975年)
台湾(中華民国)の初代総統。
これらの人物はそれぞれのところで、知らない人はいないというほどの有名人だ。
でも場所が変われば、見方も変わる。
蒋介石の国民党軍と毛沢東の共産党軍は戦っていたから、敵同士の関係になる。
だから、中国と台湾での見方はそれぞれ対照的。
蒋介石は台湾の偉人だけど、中国では嫌われている。
毛沢東は中国の英雄だけど、台湾からは嫌われている。
場所が変われば評価も変わる。
それは仕方がない。
でもそれが自然というか、当たり前。
紙幣に人物を描く理由には、「ニセ札を防止するため」ということがある。
偽造防止の目的から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人物であること。
人間は人の顔というのをよく記憶するらしい。
人間の顔なら少しの違いにも気づくため、ニセ札を見ぬきやすくなる。
これは世界共通の考え方になっているから、世界中の国でお札に人物が描かれているという。
日本のお札の肖像の場合、こんな条件がある。
・日本国民が世界に誇ることができる人物。
・教科書にのっているなど、よく知られている人物。
それと今の日本の紙幣の場合、肖像として選ばれるのは「明治以降に活躍した文化人」と決まっている。
だから天皇が日本のお札に描かれることはない。
くわしくは国立印刷局のホームページを見てください。
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今の日本のお札に描かれている人物はだれか?
一万札の福沢諭吉、五千円札の樋口一葉、千円札の野口英世はわかりやすい。
でも二千円札となるとどうだろう?
二千円札なんてほとんど見ることがない。
二千円札に描かれている人物がわかるだろうか?
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/07/19905023_1424049624340381_2043610551676563175_n-225x300.jpg?resize=225%2C300)
答えは平安時代の紫式部。
源氏物語の作者。
源氏物語
平安時代中期の作で、世界最古の長編小説と言われる。天皇の子・光源氏を主人公に、貴族たちの恋愛と人生を描いた。
朝日新聞掲載「キーワード」の解説
「世界最古の長編小説の作者」ということで、「日本国民が世界に誇ることができる人物」という条件をしっかり満たしている。
もっと日本人に注目されてもいいと思うけど、二千円札じゃね。
最後にいつ見たのかも思い出せないや。
もうツチノコみたいなもので、本当に存在するのかもよく分からない。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/02/16473134_1316441801756320_3096858946665096874_n-225x300.jpg?resize=225%2C300)
ベトナムのお年玉
アメリカドルが入っているのがベトナムっぽい。
ベトナムではアメリカのドル紙幣がふつうに使われている。
日本のお札で初めての肖像に選ばれた人はだれか?
二千円札と同じく日本の女性。
でも、これはかなりむずかしい。
答えは神功皇后(日本書紀では170年~269年)。
古事記や日本書記に出てくる人物。
でも神功皇后には、実在したという説と本当はいなかったという説がある。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/07/Jingu-135x300.jpg?resize=185%2C411)
神功皇后(ウィキペディアから)
女性の神功皇后がなんでこんな鎧をつけているのか?
これは朝鮮半島への出兵をあらわしているのだろう。
神功皇后はみずから軍をひきいて、朝鮮半島へたたかいに出かけている。
いわゆる三韓征伐だ。
神功皇后はこれにより、朝鮮半島の南部にあった国(新羅・百済・高句麗)を日本の服属下においたといわれている。
新羅の国王は恐れおののき、降伏して朝貢することを誓い、百済も従ったとされる。
朝日新聞掲載「キーワード」の解説
ただ、三韓征伐は豊臣秀吉の朝鮮出兵と同じようなもの。
だから、韓国での神功皇后のイメージは悪い。
中国と台湾にとっての毛沢東と蒋介石のようなものだ。
「同じ人物でも、国が変われば評価も変わる」ということは、世界の常識になっている。
どちらかの見方に合わせる必要はないけど、違う見方があるということを知るのは大切。
明治政府は日本初の肖像紙幣に、なんで神功皇后を選んだのか?
この理由がハッキリ分からない。
はじめは明治天皇にしようとしたらしい。
でも、「それでは、あまりにもおそれおおい」ということで神功皇后になったという話もある。
それとこの神功皇后の絵には、一見すると不思議なことがある。
まずは1883年にできたそのお札を見てほしい。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/07/1024px-Jingusatsu_1881.jpg?resize=423%2C224&ssl=1)
ここに描かれている神功皇后を見て、どう思っただろうか?
日本人離れしていて、ボクにはヨーロッパ人の女性のように見えてしまう。
それには理由がある。
この神功皇后は、イタリア人のエドアルド・キヨッソーネが描いたものだから。
紙幣そのものは日本人がつくった日本製。
だけど、図案はこのイタリア人に丸投げしてしまう。
その結果、日本初の肖像画はヨーロッパ人風になってしまった。
「お金と切手の博物館」にその説明がある。
図柄のデザインと原版彫刻はお雇い外国人キヨッソーネによるもので、日本の古代神話に登場する神功(じんぐう)皇后の肖像が描かれており、これが日本初の肖像入りのお札になりました。
「その国で初めてつくられた肖像紙幣の人物は外国人風だった」
独立国でそんな国は、世界で日本だけかもしれない。
![](https://i0.wp.com/yukashikisekai.com/wp-content/uploads/2017/07/IMG_93351-e1500775499693-300x225-1-300x225.jpg?resize=300%2C225)
日本人なら、カンボジアの紙幣に描かれた「キズナ橋」も知っておきたいところ。
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