3年前まで、中国の広州で友人が働いていた。
そのときは夫婦で広州に住んでいて、子どももそこで生まれた。
彼らは子どもを地元の幼稚園に通わせることにする。
すると、思わぬ問題が発生。
「その幼稚園では毎日中国の国歌を歌うんだよ。だからウチの子は、君が代よりも先に中国の国歌を覚えちゃってさ」
彼は子どもを中国の幼稚園に通わせてはいたけど、その子を中国人にするつもりはない。
「まさかこんなことになるとはね」と苦笑い。
ちなみに中国の国歌(義勇軍行進曲)は、なかなか激しい言葉を使っている。
起て!奴隷となることを望まぬ人びとよ!
我らが血肉で築こう新たな長城を!
中華民族に最大の危機せまる、
一人ひとりが最後の雄叫びをあげる時だ。
起て!起て!起て!
我々すべてが心を一つにして、
敵の砲火をついて進め!
敵の砲火をついて進め!
進め!進め!進め!
幼稚園の子どもが「起て!奴隷となることを望まぬ人びとよ!我らが血肉で築こう新たな長城を!」なんて歌うのか。
でも、そういう勇ましい国歌は他にもあるけど。
そんな中国で、愛国教育がこれからさらに強化される。
公共の場で国歌の替え歌を歌うと、「国歌の侮辱」とみなされて捕まってしまうかもしれない。
時事通信の記事(2017/09/01)から。
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は1日、国歌「義勇軍行進曲」を尊重するよう求める「国歌法」を可決した。公共の場で歌詞を変更するなどして「国歌の侮辱」を行った者に対して、警告または15日以内の拘留を行うと定めている。
替え歌に罰則、愛国強調=中国、「国歌法」を可決
この愛国教育の強化の背景には、2015年に香港で起きたできごとがある。
この年に、サッカー香港代表がワールドカップ(W杯)の予選を戦っていた。
試合前には、香港代表が中国の国歌を歌うことになっている。
だけどこのとき、香港サポーターが中国国歌に対してブーイングをして、大きな騒ぎになった。
くわしくはこの記事を↓
<サッカー>香港市民が中国国歌にブーイング、FIFAが香港サッカー協会に警告―中国メディア
中国指導部からしたら、中国人である香港人が中国の国歌にブーイングをするなんて、絶対に許されない。
それで、国歌への侮辱をした者は厳しく罰することにした。
また、中国の国歌を斉唱するときは起立しなければいけないという。
インドの場合2016年に、映画館で映画が上映される前には、必ずインドの国歌を流すことが法律で決められた。
産経新聞の記事(2016.12.6)の記事から。
世界屈指の映画産業「ボリウッド」を抱えるインドで、最高裁が6日までに全ての映画館で上映前に国歌の演奏を義務付ける命令を出した。愛国心の向上が目的としているが、表現の自由などを巡り波紋が広がっている。
11月30日に発表された決定によると、全ての映画館で上映前に国歌を演奏する。演奏中は出入り口を閉鎖し、スクリーンには国旗を映し観客は起立しなければならない。
インドで働いていた日本人が「日本人とインド人の違いは愛国心です」と言う。
本当にそう思う。
インド人のインド好きは異常なほど。
こんな海外の動きを知ると、「日本とはまったく違うなあ」と思うしかない。
海外を旅行していると、愛国心の強さを感じることはよくある。
ただ日本でも来年から、幼稚園で国歌を歌うことになりそうだ。
朝日新聞の記事(2017年2月15日)にそのことが書いてある。
幼稚園の教育要領改訂案や保育所の保育指針改定案に、国旗や国歌に親しむと明記されたことについて菅義偉官房長官は15日の記者会見で「従来、小中高校において、国歌や国旗の意義を理解させ尊重する態度を育てるよう指導している。小学校教育への円滑な接続を図る点からごく自然なことだ」と評価した。
幼稚園・保育所で国旗・国歌、菅長官「ごく自然なこと」
それでも中国の幼稚園ように国歌を毎日歌うことはないだろうけど、子どもたちが日本の文化や伝統に親しむのはいいことだ。
これが他国の国旗や国歌を尊重することにもつながる。
国際化の時代にこの態度は欠かせない。
それに日本は、今までが異常だった。
中国やインドの学校で、こんな事件が起こるとは考えられない。
1999年(平成11年)には、広島県立世羅高等学校で卒業式当日に校長が自殺し、「君が代」斉唱や日章旗掲揚の文部省通達と、それに反対する現場の日教組教職員との板挟みになっていたことが一因であった。
「ウィキペディア」
今までにアメリカ人・中国人・韓国人に、この事件について話したことがある。
全員が「卒業式で国歌を歌うことがなんで問題になるのか、さっぱりわからない」と驚いていた。
学校で生徒が国歌を歌う。それが原因となって校長が自殺にまで追い込まれた国というのは、世界で日本だけだろう。
この校長が気の毒でならない。
早く世界基準を取り入れたほうがいい。
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