文大統領の”自分中心主義”に、日本・韓国国民から批判。

 

去年、韓国の文大統領が2015年の慰安婦合意について、高らかにこう言った。

これは歴史問題の解決において確立された国際社会の普遍的原則に背くだけでなく、何よりも被害の当事者と国民が排除された政治的合意だったという点で極めて遺憾です。

「遺憾です」じゃなくて、こんなことを言うのがイカンのだよ。

それにしても、「国際社会の普遍的原則に背く」って、また大きなブーメランを投げたなあ。

2年前に韓国政府が合意したことを、今になって否定する。
日本の信頼を裏切った人が「国際社会の普遍的原則に背く」と言っても、説得力がない。
約束の時間に遅れた人が「時は金なり。時間は大事なんだぞ」と言うようなもので、聞いてる方は「オマエ、ナニイッテンノ?」となる。

 

文大統領の言葉には、日本のネットで批判が殺到。

「国家間の合意を守ることが、国際社会の普遍的原則だろ」
「それを言う前に、韓国は日本との約束を守れ」

だいたいこんな反応。
今の韓国政府が「国際社会の普遍的原則に背く」と言っても、ブーメランになって自分が傷つくだけ。
韓国国内では、拍手が返ってくるのだろうけど。

「何よりも被害の当事者と国民が排除された政治的合意だった」という部分は、前政権に対する非難だから日本には関係ない。
韓国の国内問題に、日本が口をはさんではいけない。

でも、このときはまったく予想していなかったけれど、この言葉が今、ブーメランとなって文大統領に突き刺さっている。
そこから浮かび上がるのは、文大統領の”自分中心主義”だ。

 

よくねーわ。

 

あと2週間ほどで、平昌オリンピックが開催される。

その平昌オリンピックに急きょ、北朝鮮が参加することになった。
このサプライズに韓国政府は大よろこび。

「南北友好」を世界に見せたい韓国政府は北朝鮮に、「女子アイスホッケーの南北合同チームをつくりませんか?」と提案したことから、韓国・北朝鮮の選手が1つのチームを結成することになった。

なんで女子アイスホッケーになのか?
それは失礼ながら、韓国の女子アイスホッケーは弱いから。
韓国選手がメダルを取れそうな競技には、北朝鮮の選手は入れない。
韓国政府は、メダルを取れそうにないところに北朝鮮を加えてきた。

 

この政治判断に泣いたのが韓国の選手たちだ。

韓国の女子アイスホッケー代表には、飲食店で餃子を作ったり皿を洗ったりして、苦労を重ねながら練習を続けてきた選手もいる。
そして、夢の国家代表の地位をつかんだ。

それ対して、北朝鮮の選手は本来であれば参加資格がない。
政治家の判断でチームに加わることになったのだから、試合に出ることは確約されている。
となると、その分韓国選手はベンチで試合を見ることになる。

 

これを韓国の国民はどう思ったか?

インターネットでのコメントでは、この南北合同チームに対して20~30代が批判的という。
中央日報の記事(2018年01月24日)にそのことが書いてある。
*「2030」とは、20代と30代のこと。

「韓国選手は政治の脇役、北朝鮮選手はタダ乗り」「北朝鮮選手3人を無条件に起用するのが民主主義なのか」などの非難コメントがこれを上回る。

「餃子店アルバイトしながら国家代表になったのに…」 合同チームに声を上げる2030

韓国の選手は実力で入社試験を勝ち抜いてきたけど、北朝鮮の選手は政治家のコネで入社したようなもの。
韓国の若者が怒るのはあたり前だ。

 

 

この間、韓国の選手は蚊帳の外に置かれていた。

「韓国の女子アイスホッケー・チームに北朝鮮が加わる」という話を、韓国の選手はニュースで知ったという。

事前に政府は、何の説明もしていない。
自分たちが勝手に決めたことを、選手や関係者に通知しただけ。

朝鮮日報の記事(2018/01/19)では、担当者の話を聞いてアイスホッケーの選手や関係者はやる気を失っている。

アイスホッケー関係者は「南北合同チームを作ると一方的に通知した後、戦力強化に役立つと説明され、選手たちは力が抜けた」と話した。

平昌五輪:「20年間招致に尽力してきたのに北で前夜祭だなんて」

 

さあ、ここで文大統領が言ったことを思い出してください。

文大統領は慰安婦問題の最大の問題点を、「何よりも被害の当事者と国民が排除された政治的合意だったという点」と言った。

オリンピックの当事者は、競技をおこなう選手であって政治家ではない。
慰安婦問題では「当事者を何より大事にする」と言っておいて、オリンピックでは選手や関係者を無視する。
政府の決定事項を通知するだけ。

先ほどの朝鮮日報の記事では、韓国のスポーツ関係者が平昌オリンピックにこんな違和感を感じている。

ある関係者は「本質的なスポーツや選手の話は消え、『南北』という言葉ばかりになっている」と指摘した。

 

結局、文大統領は慰安婦問題でも平昌オリンピックでも、当事者中心ではない。
自分ファースト、自分中心主義でものごとを進めている。

だから、そのツケが少しずつ回ってきている。

産経新聞の記事(2018.1.20)によると、朝鮮日報が韓国の大学生のこんな声をのせている。

「(慰安婦問題をめぐる)日本との合意を『被害者が排除された』と批判した政府が合同チーム結成では、選手らの同意も求めず、失望した」。

日韓合意は「当事者無視」と批判したのに…南北合同チームでは「選手無視」 文在寅氏の二重基準に憤りの声

 

文大統領の「国際社会の普遍的原則に背く」という発言には、日本からブーメランが投げ返された。
「何よりも被害の当事者と国民が排除された政治的合意だった」というところでは、韓国国民からブーメランが飛んできた。

文大統領は、自分が放った言葉でダメージを受けている。

貝木泥舟(かいきでいしゅう)が見たら、きっとこう言うだろう。

「今回の件でお前が得るべき教訓は、正義を語るときはもっと慎重になれ、ということだ」

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。