これから紹介する国はナウルという、「国民総ニート」と呼べるようなユニークな国。しかし、それはもう過去形だ。
南太平洋に浮かぶ島国、ナウル共和国の誕生はとっても変わっている。
もともとあったサンゴ礁の島に、南半球と北半球を行き来する鳥がフンをして、それがたまり積もって固まって地面になり、人間が住み始めたのがナウルの始まりだ。
そんなナウル共和国とはこんな国。
面積:21.1平方キロメートル
人口:約1.1万人(2014年、アジア開発銀行)
首都:ヤレン
民族:ミクロネシア系(ポリネシア、メラネシアの影響あり)
言語:英語(公用語)の他、ナウル語を使用
宗教:主にキリスト教
略史:
1798年 英国の捕鯨船ナウル島発見
1920年 オーストラリア・ニュージーランド・英国の3国を施政国とする国際連盟の委任統治領
1942年 日本軍による占領
1947年 オーストラリア・ニュージーランド・英国の3国を施政国とする国連信託統治地域
1968年1月31日 独立
以上の数字は、外務省ホームページのナウル共和国(Republic of Nauru) 基礎データから。
東京の港区と同じぐらいの面積に、1.1万人が住んでいる。ナウルは「世界一小さい共和国」だ。
先ほどの略史で、「1968年1月31日 独立」とあった。
そう、今日1月31日はナウルの独立記念日だった。
ナウルはこの日で50歳になる。
そこで現地では、それを祝う記念式典が開かれた。
日本からは外務政務官が式典に参加している。
加山雄三さんのサイン入り色紙やCDを手に持って。
AFPの記事(2018年1月31日)から。
堀井巌外務政務官は30日にワガ大統領と会談。加山雄三さんの代表曲「君といつまでも」を口ずさむという大統領は、加山さんのサイン入り色紙やCDを手渡されると、「大変喜んでいた」(同行筋)という。
なんでナウルの大統領は加山雄三さんのファンなのか?
ネットで調べてみたけれど、理由が分からない。
「1942年 日本軍による占領」ということに関係があるのかもしれない。
さて、日本ではナウルと聞くと、「ニート」という言葉が頭に浮かぶ人が多い。
1980年代、ナウルは世界最高水準の生活を誇っていたが、その後、経済が崩壊してしまう。
頂点からの転げっぷりがすごい。
ナウルではリン鉱石が採れ、それを輸出することで繁栄し、1980年代に黄金期を迎えた。
この時代のナウルはもはやマンガの世界だ。
・税金はなし。
・医療費はタダ。
・教育費もタダ。
・水道代や光熱費もタダ。
・結婚したら、政府が家をプレゼント。
・働く必要もない。
労働と税金がない国、それがナウル共和国だ。
地下に埋まっていたリン鉱石によって、ナウル国民は魔法のような生活をすることができた。
外国人労働者がリン鉱石を採掘していて、国民の9割が無職だったという。
ここから「国民総ニート」という言葉が出てくる。
しかし、リン鉱石を掘りつくしてしまうと同時に、ナウル国民は夢からさめる時が来た。リンの切れ目が金の切れ目で、ボーナスタイムは終わると、国民は厳しい現実と直面した。
「労働と納税がない」というマンガの世界を生きていた人たちは、「働く」ということを知らなかった。労働の概念が分からないという状態だったから、国民のほとんどが失業者になってしまう。一説には、失業率は9割だったという。
日本人からすると、これもマンガの世界の話だ。
ナウルの経済は崩壊し、国民は電力不足や飲料水不足に苦しみ、外国からの援助に頼る国になり果てた。
大統領は加山雄三さんのサインやCDをもらうと「大変喜んでいた」とか言ってたけど、ぶっちゃけナウルはそんな場合じゃないと思う。
働かなくても生活ができる。そんな楽園だったナウルが、これから復活する可能性は今のところ見えない。
初代大統領は「ナカヤマさん」 かつて日本領だったミクロネシア

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