英語ってむずかしい。
「英語を正確に聞いたり話したりすることがうまくできない」ということだけではなくて、言葉のニュアンスを知らなかったために失敗することもある。
ボクの場合は、「talktive」という言葉でアメリカ人の女性とトラブルになったことがある。
「英辞郎ウェブ」には、「talktive」の意味を「話し好きな、口数の多い、おしゃべりな」と書いてある。
そのアメリカ人は、ニューヨーク出身の20代の女性で話がうまい。
上手に場を盛り上げるし、いろいろなことを知っている。
それで、「You are talktive(あなたは話が好きですね)」と言ったところ、そのアメリカ人が突然激怒。
怒って口をきいてくれなくなる。
このときは自分がどこで地雷を踏んだのか、さっぱり分からない。
そのアメリカ人から「『talktive』という言葉は失礼。本当に腹が立った」と聞いて、地雷は「talktive」だったと気づく。
「あなたの話はおもしろいし、話をすることが好きそうだったから、ほめ言葉として言ったんだ」と弁解しても、耳を貸そうとしない。
そのアメリカ人にとって「talktive」は、「うるさいヤツ」「余計なことを言う人間」といったネガティブな意味になるらしく、悪口にしか聞こえない。
このときの空気の重いこと、深海のごとし。
後でこの話を20代のイギリス人女性にしてみたら、そのイギリス人も驚いていた。
「え?『talktive』で怒ったの?悪い言葉とは思わないけど。わたしなら『You are talktive』って言われても、気にならない」
イギリス人とアメリカ人では、英語のニュアンスが違うのか?
このアメリカ人女性が特別だったのか?
それは今でもよく分からない。
後日、そのアメリカ人から「あなたは話をするのが好きですね」と言いたかったら、「You like talkngと言え」と教わった。
ボクは話が嫌いになった。
韓国で、英国人の発言が「人種差別的」「白人至上主義的だ」と批判される出来事があった。
韓国のバラエティー番組で、3人の英国人が韓国の観光地をめぐる様子を放送していた。
その番組の中で、1人の英国人がパンを食べたときに、韓国のパンの質の高さに驚いて「civilized」と言う。
これが韓国人を怒らせた。
ちなみに、「英辞郎ウェブ」では「civilized」の意味はこうなっている。
1.文明開化した、文明化した
2.礼儀正しい、品のある、上品な、教養のある
「英国人が『civilized』と言った」ということで、韓国のネットには、怒りや批判のコメントが多く書きこまれたという。
レコードチャイナの記事(2018年1月30日)から、そんなコメントをいくつか抜き出してみよう。
「この表現は白人が第三国を弱いものと見る時に使うもの。かつて欧州列強がアフリカやアジアなどを統治する際に『未開の国』を表現した言葉」
「まさかcivilizedという単語が現代の韓国を描写するのに使われるとは…」
「これは明らかな人種差別」
「この番組で悪いイメージを抱いた外国人は初めて」
さて、あなたは英国人が韓国のパンを食べて「civilized」と言ったことは、人種差別や白人至上主義だと思いますか?
個人的には、「civilized(文明化した)」の反対は「未開」や「野蛮」と思っていたから、この言葉は良くないとは思った。
でも、テレビカメラが回っていることを知りながら、このイギリス人はこう言っている。
だから、人種差別の意図はないだろう。
「talktive」のニュアンスを知らなくて失敗して過去があったから、「civilized」にも、ボクが知らない意味があるのかもしれない。
これはイギリス人に聞くのが一番。
ということで、さっそく友人のイギリス人に聞いてみた。
聞かれたイギリス人は困って、「それは『context』によりますね」と言う。
「context」とは、「前後関係、文脈、状況」といった意味。
そのイギリス人がどういう声の調子や表情で「civilized」と言ったのか?
その言葉をつかった前後はどんな状況だったのか?
差別かどうかは、これらのコンテクトによる。
「civilized」という言葉を切り抜いただけでは、理解がむずかしいと言う。
その上でこう話す。
「でも、そういう場面で『civilized』という言葉をつかうのは適切ではない。たぶんそのイギリス人は、味をふくめて想像以上に韓国のパンが良かったから、ほめ言葉としてそう言ったのだと思う。でも、それを聞いた韓国人が『このイギリス人は韓国をバカしている。軽く見ている』と解釈しても仕方ない。人種差別の意味はまったくないと思うけど、不適切な言葉だった」
日本人が外国に行って、現地の人が列にならんでいたり信号を守っていたりするのを見て「みんな、思っていたよりルールやマナーを守っていますね」と言うようなものだろう。
英語ってやっぱりむずかしい。
浜松駅にある標示
「Get Off」だと「降りろ!」という強い意味になる。
アメリカ人はこれを見て、おもしろがっていた。
でも、これをアメリカ人に言ったら、きっと怒られる。
これもアメリカ人がおもしろがっていた。
「free ball」は「パンツをはいていない状態」を意味するらしい。
笑ってこう言う。
「なんでスポーツバーが”フリーボール”なんだよ。あそこに行くときは、パンツを脱いで行けってことか?」
一方イギリスでは、東アジア系の俳優が「イギリスのテレビや舞台では、アジア人への差別や偏見がある」と訴えている。
興味があったら、BBC(2018年02月2日)の記事をご覧ください。
女優のルーシー・シーン氏は、「東アジア系はステレオタイプな役柄に配役されたり、人種差別的な使われ方をすることが多い」と話す。
英国の東アジア系俳優、舞台やテレビ出演で差別と偏見に直面と
コメントを残す