中国人はどんなときに、日本人に親しみを感じるか?
ひとつには、「日本人も漢字を使っていると知ったとき」がある。
中国人の知り合いや日本語ガイドから聞いた話では、「日本人はいまでも漢字を使っている」というのは、中国人的にうれしく誇らしいという。
ボクが中国を旅行をしていて、中国人に親しみを感じたのも漢字。
列車に乗っているとき、中国人の乗客とよく漢字で筆談をしていた。
漢字でコミュニケーションをとっているときには、中国人との距離がぐっと近くなる。
これはトイレ
もちろん、日本と中国の漢字はちがう。
中国語で「手紙」は「テッシュ」、「愛人」は「妻や夫」という意味になる。
「娘」なんて、中国語では「母」という意味になってしまう。
それでも何とか、名前・職業・行先と目的なんかを理解することはできた。
北京行きのチケットを買いたいときは、鉄道駅で職員に「我欲票行北京」と適当な漢字を紙に書いて見せると、意味が通じてチケットを買うこともできた。
西安のゲストハウスの中国人スタッフは、この漢字を見て「『我欲』って、唐の時代の中国語みたい」って笑っていたけれど。
唐の時代というと、日本では奈良・平安時代にあたる。
まさかそんな古い表現を使っているとは、まったく気がつかなかった。
*台湾人に聞いたら、「我想要買去北京的車票」が正しい中国語らしい。
マクドナルドを漢字で書くとこうなる。
日本人はいまでも漢字を使っている。
中国人はそのことに親しみを感じると同時に、疑問にも思うらしい。
「なんで日本だけが漢字を使っているのか?」
ベトナムや朝鮮など、中国の周辺にある国も漢字を使っていた。
でも今では、そんな国は日本だけ。
ベトナムと韓国でも漢字を見かけることはあるけれど、人びとが日常的に使っているわけではない。
日本人や中国人に比べれば、ベトナム・韓国の人たちは漢字の読み書きなんてほとんどできない。
ベトナム人よりは韓国人のほうが漢字を理解できる。
それでも、彼らが生活で困ることがない。
ベトナムと韓国は日常生活で漢字を必要としない社会だから。
その点、日本はちがう。
日本の社会から漢字がなくなったら、大混乱になる。
新聞が「ひらがなとカタカナだけ」になってしまったら、読みづらくてたまらない。
ストローは「吸う管」らしい。
「なんで日本人だけが漢字を使っているのか?」
日本人にとってはあまりに当たり前のことで、そんな疑問を感じることはないと思う。
ボクは韓国やベトナムを旅行して、初めてそんなことを不思議に感じた。
中国人はよくこれを疑問に思うらしい。
先日もレコードチャイナにそんな記事(2018年2月16日)がのっていた。
かつては中国を中心に、ベトナム・朝鮮・日本などで「漢字文化圏」を形成していた。
でも、「漢字文化圏」の国は次々と漢字を廃止してしまう。
近代以降欧米列強のアジア進出などにより約1世紀の間に「漢字文化圏」は解体状態となった。
「プリッツ」を漢字で書くと「百力磁」になる。
今では中国をのぞけば、そんな国は日本しか残っていない。
シンガポールは伝統的な漢字文化圏の国ではない。
ほかの国が漢字をなくしてしまうなかで、日本だけは漢字を捨てない。
レコードチャイナの記事では、中国メディアの「澎湃新聞」がその背景について説明している。
日本でも江戸時代や明治時代に「漢字廃止論」が出たけれど、なんだかんだ言って日本人は漢字をなくさなかった。
でも、漢字廃止の最大の危機は、日本が戦争に負けてアメリカに占領されたときに訪れる。
続きは次回に。
これは静岡県のお寺の壁。
このとき一緒にいた台湾人は「7割ぐらいは読めますね」と言う。
ボクは1割ぐらいしか分からない。
おまけ
中国のバスステーションの様子。
こちらもどうぞ。
コメントを残す