平昌オリンピックが終わって、もうすぐ1ヶ月が過ぎようとしている。
パラリンピック大会は、今おこなわれているけれど。
平昌五輪で日本は「金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4個」という、これまでの冬季オリンピックでは最高の成績を収めることができた。
個人的には、羽生選手や小平選手の金メダルに胸が熱くなったし、カーリングのおもしろさも初めて知った。
それはとても良かったのだけど、日本にとっては残念なこともあった。
平昌五輪とパラリンピック大会では、日本政府が抗議した回数も過去最高を記録した。
もちろん、反日に関係したもので。
ネットでは、2008年の北京オリンピックのときに、日本政府が中国に抗議したという情報が見つからない。
話が少しそれるけど、北京オリンピックでは、意外なことに韓国が中国に抗議している。
北京五輪の閉会式で使われた世界地図に、「日本海」という表記があった。
韓国は「『日本海』は間違った言葉で、正しくは『東海(トンヘ)』だ」と前から主張していた。
それで韓国は中国に抗議をする。
東海ではなく「日本海」という言葉を使ったことに対して、中国外務省の報道官はこう答えた。
レコードチャイナの記事(2008年8月27日)から。
今回の件は五輪組織委員会のミスなのか、それとも中国政府の立場なのかと尋ねられると「日本海の名称は国際的に広く使われている。閉会式で使用した物もそれに従っただけだ」と述べた。
これは、中国外務省を全力支持ですね。
オリンピックなんだから、そこで使われるものは世界基準に合わせなきゃいけない。
話を平昌五輪に戻す。
日本が韓国に抗議したことについて。
五輪が始まる前から、韓国による五輪の”政治利用”はすでに始まっていた。
平昌五輪の公式ホームページ上の地図には、「Dokdo」(独島)が堂々と表記されていた。
さらに、日本海は「East Sea」(東海)になっていた。
日本の外務省が韓国に抗議したのだけど、平昌五輪の組織委員長には相手にされない。
「s-korea」の記事(2017年01月25日)から。
イ・ヒボム平昌五輪組織委員長は「対応する価値もない。話にならない主張」と一蹴している。
組織委員長は日本の抗議を一蹴したのだけど、さすがにこれはマズイと思ったのか、10月ごろには公式ウェブサイトの地図から、「東海」と「独島」は消されていた。
「j-castニュース」の記事(2017/10/03)から。
10月3日現在、表示されていた地図自体が消えて別デザインとなり、結果として両表記も消えている。
ということは、この間ずっと「東海」と「独島」は放置されていたままだったことになる。
もし、中国が韓国に抗議していたら、1週間もしないうちに修正されていたと思う。
ある意味で韓国が「すごいな」と思うのは、世界の注目が集まる平昌五輪で、何とかして韓国の主張を世界にアピールしようとするところだ。
五輪の政治利用をアウトのギリギリまでしてくる。
統一旗はその象徴。
韓国では、独島があるものとないものの2種類の統一旗を用意して、場面に応じてそれを使い分けていた。
独島なしの統一旗
独島つきの統一旗
向かって右側にかすかに島が見える。
独島は東京の日比谷公園とほぼ同じ大きさだから、本来であれば、このサイズの地図で見えることはない。
開会式や競技など五輪の公式行事では、独島が描かれている統一旗は使わない。
これはアウトになるらしい。
でもそれ以外では、”積極的に“独島のある統一旗を使っていた。
たとえば、アイスホッケー女子の韓国と北朝鮮の合同チームが強化試合をおこなったときには、独島のある「統一旗」が使われた。
日本政府は「極めて遺憾」と韓国に抗議する。
そして日本国民は、「いつまでイカンのイですませるつもりなのか?」とネットで政府に遺憾の意をしめす。
また韓国政府は、「観客が選手を応援するときにも独島付きの統一旗を使うことができる」という方針を決めていた。
中央日報の記事(2018.2.5)から。
平昌冬季五輪の開会式など公式行事では独島が抜けた統一旗を掲げるが、観衆は独島が記された統一旗を振ることができるようになり、独島問題に敏感に反応する日本が反発するものと予想されると5日、朝鮮日報が報じた。
独島付きの統一旗は世界中にテレビ中継で流されるのだから、広い意味で「五輪の政治利用」になる。
日本がこれに反発しないわけがない。
五輪ホスト国が参加国を怒らせてどうするのか。
また、女子アイスホッケーのチーム・ユニフォームには独島のない統一旗をつけて、練習用のウェアには独島付きの統一旗をつけていた。
こんな面倒なことをするくらいなら、五輪期間中は独島を忘れたらいいのに。
というのは日本人の発想で、韓国人にとってはこれが大事。
ただ、毎日新聞の報道はこれと違う。
韓国政府は応援のときでも、独島がある統一旗の使用は認めないことにしたという。
「これはマズイ」と思った韓国政府が、後から方針転換したかもしれない。
韓国が五輪を利用して独島や東海をアピールする。
すると、それを見つけた日本政府が抗議する。
このパターンは、今おこなわれているパラリンピック大会でも、まったく変わっていない。
パラリンピック大会の公式ホームページ上にも「独島」と「東海」の表記があることが分かって、日本が韓国政府と大会組織委員会に抗議している。
公式ホームページへの独島と東海の「もぐりこませ方」が意図的というか、いやらしい。
英語版には「東海」と書くけれど、日本語版にはそれを書かない場合もある。
だから、見つけにくい。
産経新聞の記事(2018.3.4)によると、いつの間にか、独島や東海の記述が増えていることもある。
外務省関係者は「問題の個所は一定の程度で残っており、知らないうちに増えていることもある」と話している。
日本の外務省は継続的に公式ホームページをチェックしていて、五輪の政治利用を見つけるたびに、日本政府は韓国に抗議している。
産経新聞の記事には、これまでに「複数回にわたって抗議し」と書いてあるだけで、具体的な回数までは書いていない。
でも、今までの五輪で日本が抗議した回数は、平昌五輪がまちがいなく過去最高のはず。
平昌五輪・パラリンピックの裏では、こんなあきれた「日韓戦」がおこなわれていた。
さっきも書いたけど、五輪期間中ぐらいは独島と東海のアピールは忘れたらいいのに。
平昌五輪の公式ホームページには、「世界的な祝祭の舞台として韓国人の温かい情を完成して行く場です」と書いてある。
そんな場で、日本は何回抗議しなければいけないのか?
逆に考えれば、日本の抗議には、抗議としての意味や力がないのかもしれない。
この点は中国の対韓外交を見習ってもいい。
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