在日外国人に聞く日本と海外の警察の違い①熱心だけど冷たい。

 

世界中の国に警察はある。
きっと天国にも、派出所の一つぐらいはあるだろう。

どこの国でも警察の目的や役割はそんなに変わらない。

だから日本に住んでいる外国人なら、日本と母国の警察の違いをイヤでも感じる。
今回は、在日外国人から聞いた日本と海外の警察の話を紹介しようと思う。

 

 

まずはインド人。

旅行で大阪に行ったインド人がたまたま下の交番を見て、心の底から驚く。

 

警察官が膝をかがめて女の子の話を聞いている。

これを見て彼の心は震えた。
その日のうちに、上の写真と次のコメントをフェイスブックに投稿している。

「I’d vote it. the best Police station signage in the world」
インド人の彼にとって、警察署のサインとしてはこれが世界最高らしい。

彼は「インドの警察官はこの正反対。市民に対して、とてもエラそうで高圧的な態度をとる」と話していた。
たしかにインドの警察はひどい。
インドを旅行していた短い期間でも、庶民が警察官から棒で殴られているのを何度か見た。

 

 

20代のインドネシア人女性は「日本の警察はとても仕事熱心で親切。だけど、冷たい」と言う。

「仕事熱心で親切」の理由を聞いたら、そのインドネシア人は「巡回連絡」のことを話していた。
ある日、自分のアパートに警察官が来て「最近、このへんで盗難が増えているんですよ~。だから戸締まりには気をつけてくださいね」と教えてくれた。

警察官が一軒一軒回って防犯を呼びかけることは、インドネシアではあり得ない。
はじめは警察官がやって来たのを見て、死ぬほど驚いたらしいけど。

盗難が起きても、日本の警察はしっかり捜査して犯人を捕まえてくれる。
インドネシアの警察だったら、捜査する代わりにワイロを要求されるかもしれない。

それと、日本の警察官は丁寧に道案内をしてくれる。
そのインドネシア人が日本各地を旅行したとき、どこの交番でも親切に道を教えてくれた。
インドネシアだったら、そのときの警官の気分しだいという。

 

「だけど、冷たい」というのは、例えばこんなことがあった。

街を歩いている警察官と目が合ったから、「仕事がんばってください」の意味でその子が手を振ったのだけど、その警察官は、手を振り返すどころか笑顔ひとつ見せてくれなかった。

これとは別の機会に、パトカーと一緒の写真を撮ろうとしたけど、「それはダメです」と警官に断られた。

インドネシアの警察官は日本の警察官よりもっと自由でフレンドリー。
外国人が「一緒に写真を撮りたい」と言えば、きっと気軽にOKしてくれるという。

 

インドネシアで売られているTシャツ

 

そういえば去年、日本の警察では考えられないことをインドネシアの警察がしている。

あるとき、警察官が無免許運転をしていた人間をつかまえた。
その人の名前は「ポリシ(Polisi)」という。
ポリシとはインドネシア語で「警察」という意味。

AFPの記事(2017年11月23日)によると、この名前のおかげでポリシさんは、無免許運転を見逃してもらっただけではなく、仕事もプレゼントされた。

無免許運転で警察に検挙されたインドネシア人男性が、親からもらった名前が「警察」だったおかげで違反切符を切られずに済んだばかりか、警察に就職させてもらえることになった。

無免許運転で検挙された「警察」さんが警察に就職、インドネシア

インドネシア国民も「イイハナシダナ~」的な受け止め方をしている人が多く、インターネットで「心温まる話」として拡散されたらしい。

日本とインドネシアは警察だけではなくて、社会や人が根本的に違っている。

 

 

20代のタイ人女性も、タイと日本の警察の違いに「ワイロ」を挙げていた。

彼女がタイに戻ったとき、こんなことがあったという。

友だちとバンコクのレストランで食事をしたときのこと。
車で来た友だちがビールを飲み始めたのを見て、彼女がビックリしてこう言う。

「アンタ、帰りも運転するんでしょ?何でお酒飲んでんの?それはダメでしょ」

すると友人はニコニコしながらレストランの名刺を取り出す。

「警察に停められても、これを見せたら大丈夫。このレストランは警察にお金を渡してあるから、このレストランのカードを見せたら、警察は飲酒運転を見逃してくれる」

警察に捕まるとかいう前に、「飲酒運転は危険だからしてはいけない」という意味で彼女は言ったのだけど、友人たちには通じない。
こんなことを言われた。

「ちょっとぐらいなら大丈夫」
「アンタうるさい。心まで日本人になっちゃったの?」

 

これと同じことがチェンマイのレストランでもあったと言う。
レストランが地元の警察にお金を渡す代わりに、そのレストランのカードを見せた客の飲酒運転を見逃してもらう。
そんなシステムができ上がっていたのを知って、彼女は本当に驚いたという。

これでは、場所代を渡す代わりに店を守ってくれるヤクザのようなもの。
「タイの警察は本当にダメになってしまった」と、そのタイ人が嘆いていた。

日本の警察でこんな話を聞いたことがない。

 

 

別のタイ人は日本の警察について、こんなグチをこぼす。

「日本の警察官はアジア人に厳しくて、欧米の白人にはやさしい。ボクが自転車に乗っているとよく職務質問をされるけど、欧米人が自転車に乗っていてもあまり停められない」

インドネシア人もこれと同じことを言っていた。

日本の中学校でALTとして英語を教えていたフィリピン人も同意する。

「日本の警察官は欧米人とフィリピン人とでは対応が違う。フィリピン人が職務質問を受ける確率は、アメリカ人やイギリス人より絶対に高い」と言う。

これが本当かどうか確認のしようがないのだけど、こんな話を何回か聞いた。

 

でも、「タイの警察も、どこの国の人間かによって対応が変わる」という話を聞いたことがある。
バンコクに住んでいた日本人が「タイの警察は日本人やアメリカ人のためなら動くけど、カンボジア人やミャンマー人だったら相手しない」と話していた。

タイ人に聞いても、「その傾向はあると思う」とこれを否定しない。

 

 

とはいえアメリカ人やイギリス人だって、日本の警察官から職務質問を受けるときはある。

彼らのなかには、「日本の警察はレイシスト(人種差別的)だ」と言う人が何人かいた。

次回、そのことについて書いていきます。

 

 

おまけ

最近、広島県警が特殊詐欺への注意をうながす動画がをつくった。

「オレオレ詐欺」と「フラメンコの「オレ」をかけた動画で、メディアに取り上げられて話題になっている。
こんな動画を制作するのも、日本の警察ぐらいだと思う。

 

でも、ネットの反応を見ると、一般国民の関心は別のところにあった。
広島県警ということで、「動画より、あの金は?」といったコメントが多い。

・8500万どうした?
・8,500万の行方を捜査せよ
・8000万はどうすんだよ 先にこっちだろうが
・結局ウヤムヤになったな
・アホな事やるから、また8500万円思い出されて蒸し返されちゃうのにな。
・ユーチューブの広告収入で8,500万円を取り返すけん

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。