中国人の”死後の世界”。火葬はNO!なら、アメリカで土葬を!

 

仏教とヒンドゥー教には共通点がある。

それぞれの信者は死んだ後、火葬されることになっている。

でもその後、日本の仏教徒は遺灰をお墓に入れて、インドのヒンドゥー教徒はガンジス川などの川に流すことが多い。

 

中国人はその反対。
中国では「自分の死後、死体は焼かないで、そのまま土に埋めてほしい」と願う人が多い。

でも、今の中国では土葬が法律で禁止されているから、死んだら火葬されることになっている。
*例外もあるとは思う。

それで中国を旅行中、太原という都市で日本語ガイドからこんな話を聞いた。
ちなみにその人は20代の女性で、共産党員でもある。

「私は火葬でもかまわないのですけど、母がすごくそれを嫌がっています。だから、『法律を無視しても、何とか自分の体を土に埋めてほしい』と何度も言うんです」

この人は法と親孝行の間に立たされて困っていた。
娘だけど共産党員という立場は、なかなかツラいらしい。

 

母親がこの世に自分の体(死体)を残したいと願うのには、2つ理由がある。

・体があることで、死後の世界に行って生活することができる。
・体がなかったら、死の世界からこの世に戻って来ることができなくなってしまう。

母親は死体を焼いて灰にしてしまうと、自分の存在が永遠に消えてしまうとも考えているらしい。

 

「元気があれば、何でもできる」と言ったのはアントニオ猪木。
中国の場合、「お金があったら何でもできます」とガイドが言う。

土葬が法律で禁止されていても、金かコネがあったら何とかできる。
そんな融通が利くのが中国社会。
でも残念ながらそのガイドには両方ないから、法か親のどちらかを選ばないといけないという。

 

 

中国やベトナムなどでは、紙でつくられた「紙銭(しせん)」という紙幣が売られている。

【紙銭】

中国で死者のために焚く紙製の銭。楮銭,冥銭,陰銭,冥票,冥鈔ともいった。新中国の一部地域や台湾では今でも行われている

世界大百科事典内の冥銭の言及

 

この紙銭を燃やすことで、死後の世界にいる人にお金を届けることができると信じられている。
中国には、生きていたときと同じように死者もあの世でお金を使って生活している、という考え方がある。

紙幣だけではなくて、死者があの世で楽しく豊かに過ごせるように、いろいろな物が紙でつくられている。
下の物も燃やして、あの世にいる親や友人などに送ることができるという。

紙でつくられたスマホや家もあった。

 

「自分が死んだら火葬ではなくて、土葬にしてほしい」と願っても、今の中国では法律がそれを許さない。

「じゃ、アメリカに埋めてもらおう!」と考える中国人が最近多いらしい。

レコードチャイナにそんな記事(2018年4月9日)があった。

政府の禁止令で火葬に限られてしまったことから、亡くなったばかりの遺体を米国に運び入れて葬儀を行う例が近年、特に増えていると紹介した。

「米国なら土葬できる」=遺体を運んで埋葬する中国人増加―米華字メディア

 

アメリカでは、墓地さえ用意できれば土葬ができる。
それで中国から遺体を運んで、アメリカの墓地に埋葬するケースが増えているとか。

そのためにいくらかかるか分からないけど、とんでもない金額なのは確実だ。
そこまでして中国人は土葬を望むらしい。

中国共産党の考え方からしたら、火葬が望ましいはず。
やっぱり、人間にとって伝統文化の影響は本当に大きいのだと改めて思う。

 

このニュースにネットの反応は?

・シティハンターエンジェルハートの序盤で、予知能力のある娘に火葬されると言われて狼狽する中国マフィアの親分がいたな
・キョンシー ロス上陸
・火葬が嫌なんか 新幹線は土葬したよね。
・電子マネーの普及も早かったし、わりとドライかと思ってたら、土葬にこだわってんのか
14億人が土葬って、いくら中国が広くても無理だろ
・死人すら逃げ出す国
・日本は洪水、地震で墓地が荒れる。土葬は勘弁してね。
・向こうの人は故郷にとかあんまり気にしないのかな
日本人は代々埋葬されてる地元がいいって人多いんじゃない

日本は早くから火葬の文化にしといて正解だった。

 

中国の映画や物語では、「キョンシー(殭屍)」と呼ばれる妖怪というかゾンビが出てくる。
上の写真は生きている人だけど、キョンシーはこんな死装束を身につけて動きまわる。

これも土葬文化が関係しているはず。

 

おまけ

西安にある兵馬俑。
これは秦の始皇帝の墓にある。

はるか昔、中国では王が死ぬと家来や奴隷を生きたまま埋めていたという。
「それはとても残酷だから、こうした人形を墓に入れるようになりました」とガイドが説明していた。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

中国 「目次」 ①

中国 「目次」 ②

中国 「目次」 ③

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。