ベトナム人の日本旅行④日本との関係・日本人が英語を話せない理由

 

はじめの一言

「まことに桂離宮は、およそ文化を有する世界に冠絶した唯一の奇跡である
(ブルーノ・タウト 昭和)」

「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

 

今回の内容

・日本との関係
・日本人は英語を話せませんね
・中国との争いについて
・その他

 

・日本との関係

ベトナム人の友人が旅行で日本に来た!
ということで、前回に続いてその子から聞いた「ベトナム人が見た日本」を書いていきます。

 

でもその前に、日本とベトナムの関係について書かせてほしいことがある。
ベトナムのお金は「ドン(đồng)」とよばれている。

じつはこれ、日本語の「銅」という言葉が語源になったという説がある。

 

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ベトナムの中部に「ホイアン」という町がある。
ここはベトナムを代表する観光地。
古い街並みが残っていて世界遺産にもなっている。

このホイアンには、かつてたくさんの日本人が住む「日本人町」があったという。

16世紀末以降、ポルトガル人、オランダ人、中国人、日本人が来航し国際貿易港として繁栄した。
1601年には広南阮氏は、徳川家康に書簡を送って正式な国交を求め、江戸幕府との取り引きが急速に拡大した。

(ウィキペディア)

この朱印船貿易で、日本はベトナムから香木(こうぼく)を輸入していた。
そして日本は香木の代金を銅で払っていた。

 

このときの「銅」が、現在のベトナムの通貨「ドン」になったという。
ウィキペディアを見ると、確かに「ドン」は漢字だと「銅」になっている。
「ベトナム雑記帳」というベトナムの情報サイトにも、同じことが書いてある。

ベトナムの公式通貨はベトナムドン(VND)です。
ドンとは銅のことで、チャム族が興したチャンバ王国時代はホイアンの港から広く交易を行っていたことで知ら
れ、日本とも幅広く貿易が行われ、エジプトとの仲介にこのチャンバが果たしていたとも言われている。この時
に広く用いられた銅が貨幣のドンの元とも言われる。

ベトナムの通貨

 

さて、ここからが「ベトナム人が見た日本」です。

・日本人は英語を話せませんね

「日本人には英語を話す人が少ないですね。これが不思議でした。道をたずねても英語だとなかなか通じません。旅行中に新幹線に乗りましたけど、新幹線は本当にすごいです。日本人はとても優れた技術力をもっています。とても優秀だと思うのですが、英語が話せないのは変ですね」

日本人は英語が話せないだと?
それは正解。
観光旅行に来てすぐ分かるレベルだったとは。

 

彼女の場合、日本は新幹線をつくり出すような先進国なのに、首都の東京であまり英語が通じなかったことが意外だったという。

彼女はその理由を、日本に10年住んでいるベトナム人の知り合いに聞いている。
これがその人の意見。

「日本人が英語を話せない理由は、そもそも英語を話す必要がないからだろう。日本には、日本語だけでできる仕事がたくさんあるし給料もいい。英語を話せなくても生活ができるから、話せなくて困ることがないんだろう」

 

このへんの事情がベトナムの社会とは違うらしい。

ベトナム語だけでできる仕事は、給料や社会的な評価が低いものが多い。
良い生活をしたいなら、良い会社に入らないといけない。
そのためには英語を話すということは、最低限必要だという。
だからベトナムの場合、英語を話せるか話せないかで生活がかなり変わってくるらしい。

 

たしかに日本なら、英語を話せる人と話せない人とで生活が大きく違うことはない。
「日本は経済大国だから、日本語だけでできる仕事がたくさんある。だから英語力を身につける必要性が少ない」

日本人が英語を話せない理由のひとつに、これはあると思う。

 

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メコン川クルーズ

 

・中国との争いについて

*ベトナムは今、中国と南シナ海の領有権問題で対立している。

「フィリピンが中国を相手に、国際裁判を起こしましたよね?とても良いことだと思います。あれで中国が負けて、ベトナム人はすごく喜んでいますよ。でも、ベトナムは中国を提訴することはないでしょうね。ベトナム政府は中国を敵にしたくないでしょうし。ベトナムでは、中国に対して小さな抗議デモをするのが精いっぱいですよ」

まあ日本も、中国とは尖閣諸島の問題をかかえているけどね。

尖閣諸島問題(せんかくしょとうもんだい) 日本が実効支配する尖閣諸島に1970年代から台湾(中華民国)と中国(中華人民共和国)が領有権を主張している問題。

(ウィキペディア)

でも彼女に言わせると、日本はベトナムより「まし」らしい。

「日本はビッグカントリー(大国)だからまだいいじゃないですか。日本なら中国を敵にしても対抗する力があります。でも、ベトナムは違います。小さい国だから、中国を怒らせると経済的な打撃がすごく大きいんですよ。貿易で嫌がらせもされるだろうし。ベトナムは日本みたいに力がある国じゃないんですよ」

 

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ベトナムの伝統衣装「アオザイ」

 

・その他

「北海道には、ヨーロッパみたいな建物がなんであんなにたくさんあるんですか?でも、小樽には風鈴がたくさある通りがあってそこはとても日本的でした。日本のものと西洋のものとがバランスよく合わさっていますね」

「大阪の人はオープンでフレンドリーですね。ベトナム人みたい」

「日本のカフェで『ベトナムコーヒー』があったのはうれしかった!でも、日本の旅行で見たベトナムのものはそれだけです」

「京都のお寺の中では、金閣寺が一番好きです。あんなにきれいなお寺はベトナムにはないですね」

 

彼女からもらったお土産
使い方が分からない。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。