少し前の記事で、こんなことを書いた。
サッカーW杯「日本 vs コロンビア戦」を中継していた韓国の解説者が、コロンビア寄りの”反日解説”をしていた。
その解説者とは、元韓国代表のアン・ジョンファン氏。
横浜F・マリノスでプレーをしていたことがあって、日本をよく知っている。
そのアン氏は、コロンビア選手の反則によって日本がPKを決めると、「これはなんという棚ぼたか!」と叫ぶ。
試合は2-1で日本の勝利で終了。
アン氏にはこれが不本意だったらしく、こう話している。
「韓国と比較されることは明らかだが、元サッカー選手としてはとても悔しい。(韓国代表を)侮辱するファンが増えそうでとても心配だ」
あまりに中立性を欠いたアン氏の態度には、韓国国内から「愛国心の強過ぎる解説者はいらない」という批判があがった。
くわしいことはこの記事をどうぞ。
今回の記事で書きたいのは、この逆。
韓国には、日本に批判的な解説者がいれば、心をよせる解説者もいる。
それがパク・チソン氏で、この人はアン・ジョンファン氏と同じく、Jリーグでのプレー経験がある。
パク氏も「日本 vs コロンビア」の一戦を解説していたのだけど、日本人記者が見たパク氏の姿はアン氏とはかなりちがう。
朴 智星(パク・チソン)
まずはパク・チソン氏について、簡単に紹介させてほしい。
パク氏は2000年に京都パープルサンガでデビューする。
プロ・サッカー選手の人生は日本で始まった。
それで、いまでも彼は「自分の原点は京都にある」と話している。
朴氏は日本に親しみを感じて、日本の社会に溶けこもうとしていた。
大阪の大学に通って、日本語もマスターする。
日本を離れても、自分を育ててくれた日本への思いは忘れていない。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の後には、朴は被災者に対して哀悼のメッセージを寄せ、3月15日付で義捐金を支出した事を明らかにした。
日本のサッカーファンもそのことを知っている。
だから、後で見るようなコメントが出てくる。
この数年後、パク氏はイギリスの名門マンチェスター・ユナイテッドに移籍して、そこでも大活躍を見せる。
韓国代表選手だったころは不動の10番で。
現在でも、韓国で「永遠のキャプテン」なんて呼ばれることがある。
そんな韓国サッカー界の英雄が「日本 vs コロンビア戦」の解説をしていた。
この試合は2-1で日本の勝利に終わる。
その直後のパク氏の様子を目撃した日本人記者が、サッカーダイジェストの記事(2018年06月20日)でこう書いている。
自分が記者席を離れるタイミングで彼のほう見た時、ピッチを眺めるパク・チソンの目にはうっすら涙が……。
その心情までは読み取れなかったが、歓喜にわく日本代表をメディア席から眺めるパク・チソンの表情からは温かい何かが確実に感じ取れた。
この記事は「涙が……」「温かい何かが確実に感じ取れた」とポエムのようになっていて、パク氏の涙の意味が確実に読み取れない。
でも、「パクチソンも日本の勝利をよろこんで泣いていた」と理解していいだろう。
これを書いた記者も、「それは知りません。私はそんなことを一言も書いてませんから」なんて無責任なことは言わないはず。
少なくとも、この記事を読んだ日本のネットユーザーはそう理解した。
それでこの記事には、こんなコメントが寄せられている。
・チソンはいい人やから
・アン・ジョンファンとは全く違う奴だな
・パクチソンはマジでいいやつ
・なんでこの人はこんなに大人なの?
・韓国人は皆同じだと思ってる奴が馬鹿だろ
・パクチソンなら素直に喜んでくれたんだろうなと思えるな
・韓国サッカー嫌いだけどパク・チソンは認める
・パクチソンじゃなければ「悔し涙かな?w」と思ってしまうところ
・韓国の良心
ホン・ミョンボ
パク・チソン
チャ・ドゥリ
・この人、一番尊敬してる人がカズだよな
「韓国(サッカー)は嫌いだけど、パク・チソンは別」という反応は前からある。
いわゆる”嫌韓”の日本人でも、「”韓国の良心”は認める」という人はけっこういる。
韓国というと、ネットでは「反日」のイメージが強い。
残念ながら、それはきわめて正しい。
でも、それが全てではない。
韓国社会には別の面もある。
”反日解説”を批判する韓国民がいれば、日本戦の勝利を見て涙を浮かべるパク・チソンのような人もいる。
日本の「韓国嫌い」のなかには、正確には、「韓国ではなくて、反日が嫌い」という人も多い。
パク・チソン氏への日本の反応を見ていると、反日さえなくなったら、日本と韓国はけっこううまくいくと思う。
ただ、その日とワールドカップで日本が優勝する日と、どっちが早く来るかは分からない。
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