日本人はときどき変なことをする。
2015年に千葉県のお寺で、ロボット犬AIBOの”葬式”がしめやかに行われた。
こういう感覚は欧米にはないらしい。
フランスAFPが記事(2015年2月28日)にして世界に伝えている。
もはや生産されていない部品の唯一の調達源は「ドナー」となってくれる他のAIBOだ。「葬儀」が済んだAIBOから、修理を依頼されたAIBOに「移植手術」が行われるという。
イヌ型ロボットAIBOの「合同葬儀」 千葉
これは2017年におこなわれたアイボのお葬式。
ハンカチを用意してからご覧ください。
これを見た外国人は
「Japanese has always been eccentric!(日本人はいつも変)」
「How immensely idiotic…(なんてバカバカしい…)」
なんて反応を見せていた。
なかにはこんな人もいる。
アイボはただのロボットではない。
日本人は、もう使わなくなったおもちゃや生活用品にあんな儀式をする。
それは付喪神(つくもがみ)や妖怪になるのを防ぐため。
それが日本の伝統で生きる伝承だ。
ということらしい。
ここに出てきた付喪神(九十九神)というのは、辞書的にはこんな存在。
「つくもがみ」という言葉、ならびに「付喪神」という漢字表記は、室町時代の御伽草子系の絵巻物『付喪神絵巻』に見られるものである。それによると、道具は100年という年月を経ると精霊を得てこれに変化することが出来るという。
「九十九(つくも)」とは、100年の1年前のこと。
物や道具が長い時間(99年)を過ごすと、付喪神になることができるという。
室町時代の絵。
道具の妖怪で付喪神と考えられている。
ときどきこんな外国人がいる。
日本のアニメやマンガについて日本人よりくわしい人はけっこういるけど、こんなふうに日本の伝統や歴史にスーパーくわしい人がたまにいる。
「付喪神」なんてよく知ってるな。
アイボの葬式より、こんな外国人のほうがすごい。
この人はこんな書き込みもしていた。
arl tools in Japanese folklore that have acquired a spirit. According to Komatsu Kazuhiko, the idea of tsukumogami, or yōkai of tools, spread mostly in the Middle Ages, and declined in more recent generations.
小松 和彦さんは文化人類学者であり民俗学者。
こういう憑(つ)き物や妖怪にくわしい。
興味のある人はここを見てほしい。
憑物伝承について、『憑霊信仰論』でアメリカの経済学者ジョージ・フォスターの「限定された富のイメージ」を援用し、貨幣経済が浸透した近世社会において憑物筋に負のイメージがみられるようになったとした。
以前、中学校で英語を教えていたイギリス人が、「私はもったいないお化けが大好きです」と言っていた。
食べ物を残したり捨ててしまったりすると、もったいないお化けが現れる。
物を大事にする考え方は正しいし、この発想がとても日本人らしいという。
このもったいないお化けは、すでに世界デビューしているのだ。
2004年に環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイが日本語「もったいない」を啓蒙していることが影響し、もったいないお化けも再注目され、環境問題の取り組みやブログ等で多数採り上げられている。
これも付喪神と関連がある。
無宗教でも、こんな宗教観は持っている日本人は多いと思う。
それが外国人には不思議だったり魅力的だったりする。
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