インド人が話す日本とインド、人や社会の違い。平和・宗教観

 

今年10月、知り合いのインド人からこんなメールをもらった。

Need you support
One Indian travel vlogger is coming to Japan I am gonna host him at my place

インド人ブロガーが日本に来て、彼のアパートに滞在する。
それでそのインド人を浜松の観光地に案内してほしい、と。
要するに、車を出せってこと。

友が友を呼んで、結局4人のインド人とエアーパーク(航空自衛隊浜松広報館)に行ってきた。

ということで今回は、在日インド人や旅ブロガーから見た日本とインドの違いについて書いていこうと思う。
インドと比べたら日本は平和な社会で、それは日本人の無宗教から成り立っていた。

 

エアーパーク(航空自衛隊浜松広報館)

 

インド人旅ブロガーにエアーパークを見た感想を聞いたら、「日本はとても平和だね」と言う。

え?ここには迎撃ミサイル、戦闘機、銃なんかが展示されているのに?

「インドでは市民が軍の施設に入ることはできない。年に一度、軍隊によるエキシビジョンがあるから、そのときに戦車や戦闘機などを見ることができる。こうやって外国人観光客でも軍の施設に入って、戦闘機や銃などを見ることができる。これは日本社会が平和な証拠だよ」

 

 

これを聞いた在日インド人が「インドでは展示品じゃなくて、本物の銃を見ることができる」と付け加える。
そういえばインド旅行で、そんな兵士(警察官?)を空港や街中で見たのを思い出す。

 

インドの日常

 

テロを警戒して、空港や鉄道駅での警備が厳重になるのは分かる。
でもこのとき彼らは、「インドでは宗教施設が危ない」と言う。
インドには宗教対立があって、これが大きな問題になっている。最大の社会問題と言っていいと思う。
おもにヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の争いで、本当に多くの犠牲者を出しているのだ。

インドの宗教対立として有名なのが「バーブリー・マスジド破壊事件」。
このマスジド(モスク:イスラーム礼拝所)は
インド北部のアヨーディヤーという都市にある。
でもここはヒンドゥー教の聖地だった。
それで1992年に、暴徒化したヒンドゥー教徒がモスクを破壊してしまう。
これをきっかけに、「ヒンドゥー教徒 vs イスラーム教徒」の戦いがインド全土に広がって1000人を超える死者を出す。

くわしいことはこれを開かれよ。

バーブリー・マスジド破壊事件

 

このとき旅ブロガーがインドのヴァラナシにある「ゴールデン・テンプル」のことを話す。
ゴールデン・テンプルはヒンドゥー教の歴史ある寺院だ。
でもヴァラナシには多くのイスラーム教徒が住んでいる。
過去に、この寺がイスラーム教徒に襲われたこともあるという。

 

彼が言っていたのは、たぶんこの「カーシー・ヴィシュヴァナート寺院」。
シヴァ神をまつっていて、「黄金の寺院」とも呼ばれている。

 

この寺院の警備はとても厳重で、こんな銃を持った兵士が何人(何十人?)も、24時間体制で守っているという。

 

日本には「バーブリー・マスジド破壊事件」みたいな出来事はないし、お寺に武装した兵士もいない。

それで「日本が住みやすいのは、インドのような宗教対立がないから」と在日インド人が指摘。

たしかに日本のお寺や神社は安全だから、子供だけで行ってもOK。
インド人と違ってほとんどの日本人は宗教に関心がない。
だから、「仏教は間違っている」と言われても大して怒らないだろう。

お寺(仏教)と神社(神道)を同じようなものと考える人も多い。
まえに在日イギリス人が「日本人でも、お寺と神社の違いが分からない人がいる」とあきれていた。
でも、その違いが分からなくても生活できてしまうのが日本社会だ。
初詣はその人の気分次第で、どっちに行ってもいい。

でも、インドでこれはあり得ない。
「モスクとヒンドゥー寺院は同じようなもの。だからどっちに行ってもいい」という人は、13憶の人口のうち1人もいないのでは?

 

日本の平和は日本人の無宗教から成り立つ部分もある。
「争いが起こるなら、宗教なんていらない」という人は多いはず。
ある意味、日本人は“平和教”の信者で、その教義は「和をもって貴しとなす」。
神の教えより、社会の安全が重視されるのが日本という国。
この点がインドとは違う。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。