最近、浜松に1か月半いたタイ人の大学生が母国に帰っていった。
日本に来る前、彼が絶対にしたいと思っていたのは次の3つ。
・富士山を見ること
・日本料理を死ぬほど食べること
・新幹線に乗ること
日本を離れる3日前、東京へ行った帰りに、彼は3つ目の願いをかなえた。
海外では「bullet train(弾丸列車)」とも呼ばれる新幹線のスピードは並みじゃない。
彼もタイにいたとき、車窓の風景が飛ぶように流れていく様子をSNSでよく目にしたという。
「あれを実際に見てみたい」と思う彼にとって、この体験は日本でマスト。
必ずしないといけない。
でも難点をあげれば、新幹線の運賃は高すぎる。
とくにタイ人にとってはちょっとあり得ない。
タイは貧富の差がすごくて日本とは社会の構造がちがうけど、参考までに例をあげると、バンコク市内のバスなら約20円で乗ることができる。
バンコクを走るBTS(バンコク・スカイトレイン)の最低運賃は約50円だ。
バンコクのBTS
これに対して、東京~浜松間の新幹線チケットは7770円する。
これを知った彼は「777ですか。こりゃ縁起がいいや!」なんてよろこぶわけもなく、「本当ですか?」と固まってしまった。
彼はいまタイの首都バンコクに住んでいるけど、ホームタウンはプーケットにある。
その距離は約850㎞で、東京からだと広島や函館と同じぐらい離れている。
彼がプーケットに帰るときは飛行機をつかっていて、その運賃は時期にもよるけどだいたい2~3000円。
格安キャンペーンのときには、500円で乗ったこともあるという。
日本だと、牛丼に味噌汁をつけるとだいたいそれぐらい。
タイ人の大学生にとって、約250㎞の移動で「7770円」という運賃はクレイジー。
でも、行きはバスをつかうとして、戻りでは絶対に新幹線に乗りたいと言う。
「じゃあ、アレなら彼を救えるかもしれない」と思って、「ぷらっとこだま」の存在を伝える。
これなら東京から浜松まで、ワンドリンク付きで6600円ですむ。
それでもタイなら、「バンコクからプーケットへの飛行機代+豪華な食事」というスペシャル価格なのだけど。
で、東京から戻って来た彼に、初めて新幹線に乗った感想を聞いてみた。
まず、250㎞という長距離を列車で移動したのが超久しぶりだったから、その体験が珍しかった。
彼はタイで生活していて、列車を利用することはめったにない。
バンコク市内を移動するときはBTSか地下鉄、またはバイクタクシーをつかう。
国内を移動するときは飛行機かバス。
だから、列車の窓を眺めて移動するという経験が、彼にとっては新鮮ですごくよかったという。
でもって新幹線の速さは、都市伝説ではなくてウワサどおり。
でも音や振動が想像以上にあって、これには少し驚いた。
乗客のマナーはよくて車内は静かで快適。
タイ人なら周囲を気にすることなくおしゃべりをするし、降りた後には床にゴミが落ちている。
でも、いちばん驚いたのは時間の正確さ!
東京駅から浜松駅まで9つの駅に停まったけど、すべて時間表どおり。
日本は時間厳守の国で電車や地下鉄はその象徴と聞いていたけど、時速250キロ以上で走る新幹線がすべての駅で1分の遅れもなく到着して出発するというのは、実際に体験すると信じられない思いがする。
彼はそんなことを話していた。
ひかりやのぞみには負けるけど、木霊(こだま)の速さもまだまだ「bullet」だ。
おまけ
バンコクを走るBTS
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