きのう日曜日の朝6時ごろ、スマホに届いたメッセージで起こされた。
「敵襲か?」と思ったら知り合いのベトナム人で、こんなことが書いてある。
This is a Vietnamese pagoda in Hamamatsu
Today morning, they celebrate the birthday of Buddha
My friends go there alot
そうか。5月12日はお釈迦さまの誕生日だったか。
それで彼の友だちが浜松にあるベトナム寺院に行ってお祝いをするらしい。
ボクがベトナム文化に興味があるのを知っていたから、こうしてメールをくれたのだけど、休日の朝6時はやめてほしい。
「春眠暁(あかつき)を覚えず(春の寝心地は超気持ちいいから、朝がきてもなかなか目がさめない)」という漢詩はベトナムにもあると思うのだけど。
それはいいとして、お釈迦さまの誕生日なら先月あったばかりじゃないか?と思ったら、ベトナムでは2つのカレンダーがあるのを思いだした。
普通の生活は日本と同じ西暦だけど、伝統行事は旧暦にもとづいて動いているのだった。
だから正月も日本より1か月ほど遅い。
日本で正月気分が完全に抜けたころに、中国・韓国・ベトナムで正月がはじまるというタイムラグには「脱亜入欧」を感じるほかない。
日本でシャカの誕生日は毎年4月8日で、この日は「花まつり」と呼ばれている。
命はかけがえのない大切なものですよ、ということを改めて確認する日だ。
4月8日ごろ全国で「花まつり」のイベントが開かれているのだけど、浜松での知名度はハッキリ言ってサッパリ。ほとんど誰も知らない。
たぶんどこもそんなものだろう。
「ひとりでも多くの方に、お釈迦さまの慈悲と共生の教えに触れていただき、広まることを願っております」と日本仏教会も言っているから、たまには思い出してあげてください。
4月8日はすっかり忘れていて何もしなかったから、きょうはベトナムの仏教寺院に行ってみようかという気になった。
ということで到着。
これが浜松にあるベトナムのお寺「精進寺」
「日本人だけど大丈夫なんだろうか?」とほんの少し不安があったけど、「ベトナム人の友人から、きょうはお釈迦さまの誕生日と聞いて来たのですけど」と言うと、日本語のわかる関西風の、良く言えばとても面倒見のよさそうなおばさんが「よく来てくれました。さあ、なかに入ってください」と言ってくれた。
心配ご無用。
ここは日本にあるベトナム寺院だけど、仏の世界だから国籍や民族は関係なかった。
おシャカさまに手を合わせたいという仏教徒は誰でもウェルカムだった。
まずは本尊の仏像とお地蔵さま(向かって左)に案内される。
「線香をあげてください」と線香を1本もらう。
え?1本?
「仏法僧」をあらわす3は仏教界のマジカルナンバーで、線香は3本じゃなかったっけ?
そんなツッコミを入れたら、「本当は3本ですけど、きょうはたくさん人が来ますから1本です。節約です」と言う。
いやいやいや。この日こそいつも以上に丁寧にしたほうがいいんじゃないの、と思ったけどここは浜松のベトナム。郷に入っては郷に従わないといけない。
仏像とお地蔵さまに手を合わせると、「では、お坊さんにあいさつしてください」とベトナム人僧のところに連れて行かれた。
日本に住んでいるそのお坊さんは、日常会話ぐらいの日本語ができる。
それでこの像についての説明をはじめた。
伝説的人物の誕生が普通じゃつまらない。
約2600年前、ルンビニーというところで、シャカは母親のわきの下から生まれたという。これはシャカのカーストがクシャトリア(王族)だからだろう。
この世に生を受けたシャカは早速ミラクルを起こす。
すぐに7歩あるいて、右手は天、左手は地をさして「天上天下唯我独尊」と言ったとか。
日本では暴走族が好きそうな「天上天下唯我独尊」という言葉は、「天にも地にもただ独り私として尊いのである(日本仏教会)」という意味で、この瞬間、シャカの誕生を祝って地面からは花が咲いて空からは甘露(たぶんアムリタ)の雨が降ったという。
だから日本では「花まつり」と言われていて、この日には仏像に水をかけたり「甘茶(あまちゃ)」がふるまわれたりする。
東大寺の誕生仏
くわしいことは灌仏会をどうぞ。
灌仏会(かんぶつえ)はタイのソンクラーン(正月・水戦争)との関係も指摘されているのだ。
すべての道はインドへ。
誕生仏に手を合わせたあと、下の精進料理をいただいた。
お坊さん自ら食事を運んでくれるというサービスには恐縮至極で、穴があったら入りたい気分だ。←この言葉の使い方は間違い。
ここまで見たり聞いたりしたものは日本の仏教と同じだから、目新しいものはとくになし。
ベトナム僧から聞いた話は日本とはいろいろ違っていた。
そのことは近いうちに書きますよ。
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