ラーメンにみる日本と中国の文化の違い。継承→自覚→別物へ

 

いまの日本には、中国が嫌いな「嫌中」と呼ばれる人がいる。
まあそれはお互いさまなんだけど。

でも頭と舌は別もの。
中国が嫌いだから中国料理も食べない、という人はほとんどいないだろう。
とくにラーメンは。
中国が好きだろうと嫌いだろうとラーメンの味は変わらないし、嫌中でもラーメン好きな人は多いと思う。

その理由はラーメンは日本料理だから。
一説によると、ラーメンが中国から伝わったのは17世紀の江戸時代だ。
いつ日本に伝来したかはおいといて、いまの日本にあるラーメンは中国のものとはまったくちがう。
共通点は「麺料理」ということぐらいか。
カレーと同じで、ラーメンは日本人の好みに合わせて進化・改良された日本料理なのだ。

ということで今回は、「継承→自覚→別物へ」という日本文化の特徴をみていこう。

 

中国のラーメン(蘭州拉麺)

日本とちがってスープが薄味。
中国のラーメンは何度も食べたことがあるけど、あれはうどんに近い。
と書こうと思ったら、ウィキペディアにそんな記述があった。

中国の拉麺は、醤油ベースのスープに麺を入れて野菜や肉を載せた、サッパリした品が多いが、これは日本で言ううどんに相当する。

拉麺

 

中国人の目から見ても日本のラーメンはもはや日本料理だ。

そんなことがサーチナの記事(2019-05-24)に書いてある。

日本人はラーメンに美学を見出した、魂が吹き込まれた日本のラーメンはもはや日本料理=中国

 

中国から伝わったラーメンは、日本で独自の進化をとげていまや別物になった。そしての日本のグルメとして世界中で人気がある。
中国人はラーメンの味にこだわっていたけど、日本ではラーメンに美学を見出し、ひとつの文化にまで昇華したという。
一蘭の味集中スペースもそのひとつだろう。

日本で日本風に変えられたラーメンは、さらにそれぞれの地方で独自の発展を見せている。
中国人が注目したのはその点だ。

日本人はラーメンを発展させるために、新しい食材を積極的に取り入れるなど、様々な試行錯誤を続け、今では日本各地には様々な味のラーメンが存在するようになったと強調。

 

東京の「醤油ラーメン」、九州の「豚骨ラーメン」、札幌の「味噌ラーメン」などご当地ラーメンは数えきれないほどある。
この記事の結論は、「日本の魂が吹き込まれた日本のラーメンはもはや日本料理」になっているということ。
拉麺は中国のもので、ラーメンは日本のものなのだ。

ほかの違いをあげるとすれば、中国の拉麺はとても安い。
ボクが旅行していた10年前は、安ければ一杯100円ぐらいで食べることができた。
いまはどうだろう。

さて、上の記事にネットの反応は?

・ジロリアン「せやな」
・食べ続けると病気になるけどな
・出汁とかスープ、グザイなんかのこだわりはすごいと思う
しかしその元を開発した中国人にこれは純粋に感謝したい
・ラーメン高くなりすぎ、偉くなりすぎ。もはや食べる気しない
・近所のまた値上げして、肉大950円になってたが
行くんだよなぁ、舌を飼いならされた奴隷の一人
・ラーメンと麻婆豆腐を考え出した中華は天才
それだけは認める

中国が好き・嫌いに関係なく、中華料理の偉大さは認めるという人は多いだろう。

 

ニューヨークの一蘭

 

なんだかんだ言って日本の隣にはずっと前から中国があって、古代の中国は日本のはるか先を行く先進国だったわけじゃん?だから日本は政治的にも社会的にも、いろんな影響を受けつつ、ゆっくり進化していったんだよねえ。
でもさあ、中国文化が日本に伝わったとしてもさあ、やっぱりいつか日本風に変わっちゃんだよね。

というようなことを、戦前の日本を代表する東洋学者・内藤湖南先生がおっしゃっている。

支那文化によつて日本文化が形成せられる時代は隨分長きに亙つてゐるので、政治上社會上其の進歩が徐に完成して行つたのである。國民が或る他の文化を繼承しても、或る時代になると自覺を來すのが普通で、

「日本文化とは何ぞや(其一) (内藤 湖南) 」

*支那は中国のこと。いまこれはNG表現。
隨分は随分、亙つてはわたって、社會は社会、國民は国民、繼承は継承、自覺は自覚、來は来。
昭和のはじめごろまでは、こんな漢字(旧字体)を使っていた。

 

外来の文化を使っていても、いつかどこかで「民族の自覚」が生まれてその国独自の文化になる。内藤湖南はそれを文化の独立と呼んだ。
日本の場合、これはラーメンにもカレーにも当てはまるし、食べ物以外のものも同じだ。
ディズニーランドもUSJもアメリカとはいろいろと違う。

中国の文化を継承しても、「或る時代になると自覺を來す」ことによって別物に変えられる。
着物や扇もそうで、中国から伝わって、日本人の好みに合わせて独特のものになった。
中国から伝わった団扇(うちわ)は日本で扇(おうぎ)になった。
これが日本文化の特徴であり本質だ。

 

それにしても、いまの日本には本当にたくさんのご当地ラーメンがある。
青森味噌カレー、牛乳ラーメン、喜多方ラーメン、サンマーメン、横浜家系ラーメン、富山ブラックラーメン、台湾ラーメン、鍋焼きラーメン…
日本人は民族の自覚が生まれすぎ。
この場合は県民性かな。

 

 

中国 「目次」 ①

中国 「目次」 ②

中国 「目次」 ③

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。