下のこんもりした島は「竹島」といわれている。
日本と韓国で領有権をあらそっている、韓国では「独島(ドクト)」と呼ばれているあの竹島だ。
そんな島で潮干狩りができるはずもなく、これは愛知県にある竹島。
きのうこの島にドイツ人を連れて行った。
そのドイツ人とは初対面で、日本に興味を持ったきっかけを聞いたら、「子供のころに見たアニメ。ワンピースが大好きだったんだ」とでも言うかと思ったら、まさかの「子連れ狼」だった。
この映画を見て、ドイツとは異質な日本の世界観に彼はハマってしまった。
そのとき一緒にいたアメリカ人も「あれは本当にすばらしい」と太鼓判を押す。
調べてみたら「子連れ狼」はクェンティン・タランティーノ氏をはじめ、各国の映画人から高い評価を受けていた。
日本の歴史や伝統に強い興味を持っていた彼は、これから行く島が「バンブーアイランド」と聞くと、そのドイツ人は「マジで!」と目を輝かせてこう言う。
「この前ニュースで、いま日本全国で竹の花が咲いていると知ったんだ。竹島に行けばその花が見られるのか?」
もちろんだ。竹島には竹の花が咲き誇っている、…なんて話は聞いたことないのだが?
それもそのはずで、前回、日本で竹の花が咲いたのは100年以上前という。
「日本で竹の花が咲くのは100年ぶりのことだから、これは何かの前兆だと聞いたんだよ。良いことか悪いことか分からないけど」
マジかよ。
日本ではいま、そんな天変地異の前触れが起こっているのか?
調べたら、FNNニュース(2019年5月18日)でそのことをやっていた。
120年に一度しか咲かない…「竹の花」が開花 “珍現象”を専門家に聞いた
「1000年に一人」というと橋本環奈さんだけど、「120年に一度」といわれているのが竹の花。
竹にくわしい専門家によると、これは「めったに起こらないことが起こっている」というたとえらしい。
人が生きている間に一度見れるかどうかという超激レアの花で、しかも一斉に開花して枯れることから、「不吉の象徴」といわれることがある。
でも、「科学的根拠はありません」と専門家は断言。
つまりは迷信だ。
これが120年に一度の花
このドイツ人は静岡に住んでいるから地震を恐れていた。
100年ぶりに竹の花が咲いたと聞いて、「これから何かあるかも」と思っているらしい。
このあと彼から、日本の迷信は他に何かないか聞かれた。
ということで、子連れ狼や竹の花に興味があるという彼には丙午(ひのえうま)の話をしてみる。
丙午は干支の1つで、「不吉」にかんする日本の迷信ではけっこう有名。
「陰陽五行説」という古代中国の考え方によると,丙(ひのえ)も午(うま)も火の属性を持つ。
それで丙午の年には火事が多く起こるという言い伝えがあった。
さらにこの年に生まれた女は気性が激しくて、夫となった男性を食い殺すといわれていた。
江戸時代の八百屋お七(八百屋の娘で、恋人に会うために放火事件を起こして火刑にされたという少女)が丙午の年に生まれたと信じられていたこともあって、この迷信は日本に広く浸透していた。
八百屋お七
江戸から明治にかわり、太平洋戦争のあとでも、丙午(ひのえうま)の迷信は日本社会に生き続けていた。
「この年に生まれた女の子は不幸になる(させる)」という考え方が日本全国にあって、子づくりを避けたり中絶を行ったりする夫婦がたくさん出てきた。
その結果、昭和の丙午の年(1966年:昭和41年)の出生率(赤線)を見ると、その年だけガタンと落ちていることがわかる。
社会に具体的な影響をあたえるとは。
何という強力な迷信。
迷信の根拠は事実ではなくて不安。
「ひのえうま追放運動」が始まるなど、日本からこの迷信をなくす活動が広がって、令和のいまでは「丙午」の読み方を知らない人も多いだろう。
そういえば皇族の紀子さまも1966年のお生まれだ。
次は2026年だけど、そのころには「丙午?それで?」という日本になっているはずだ。
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