きょねん12月、静岡の秋葉神社でおこなわれた「火祭り」に外国人を連れて行った。
※「秋葉神社火祭り」をクリックすれば動画に飛ぶ。
その後、彼らに感想を聞いてみると、20代のリトアニア人はこんな話をした。
「『火の祭り』と聞いていたから、正直なところ、もっとワクワクするものがあると思っていたんだ。火を使った踊りとか花火とかね。だから祭りは10点中5点くらいだ。」
するとアメリカ人は、日本の神事に「エンタメ要素」を期待するなとリトアニア人にダメ出しをして、「おまえはこれを読んだ方がいい」とイギリス誌ガーディアンの記事を紹介した。
‘Even monks get impatient’: Buddhist priest sorry for anger at tourist reviews

「わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、 と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ」
イエス=キリストはそんなことを言ったという。
そんな仰々(ぎょうぎょう)しいことではないけれど、日本に来る外国人観光客もメリットとトラブルの両方をもたらす。
神社仏閣といった信仰の場を「レジャーランド」と誤解しているような外国人がいて、ここ数年、問題が起きている。
たとえば和歌山県の高野山だ。空海が開いた高野山には宿坊があって、外国人が宿泊することもできる。ここは基本的に仏道修行をする場所なのに、勝手にホテル並みの快適さを期待し、実際はそうではないことが分かると、批判的なレビューをする外国人が何人も出てきた。
今、それでトラブルになっていると、FNNニュース(2018年8月1日)が伝えている。
高野山の僧侶が”怒り”のコメント 急増する外国人観光客の「宿坊」トラブル
「スタッフの対応が冷たい」という外国人観光客のコメントには、アメリカ出身で高野山で修行している木村ダニエル僧がこう一蹴した。
「Why do we have to be friendly?????」
(なんで我々がフレンドリーに対応しなければならないんだ????)
「質素なベジタリアン料理を提供された」や「仏教僧の生活などについて、英語でほとんど説明してくれなかった」といった不満コメントを書き込む外国人には、「西洋人だからといって特別扱いはしない」、「あなたが日本の文化を理解すればいいだけだ」とダニエル僧は返信する。
ホームページで「宿坊には暖房設備が無い」と伝えているのに、「there was no heating outside the bedroom」と文句を言うバカな外国人もいた。
(後で問題になって、ダニエル僧のコメントは削除された。)
外国人観光客の中には日本の文化を理解しないで、厳しい信仰や修行の場に「エンターテインメント」を期待してやって来る人がいる。ディズニーランドやUSJに行くような気持ちでお寺や神社に行くからトラブルが起こる。
先ほどのアメリカ人は木村ダニエル僧に完全に同意し、「バカな観光客は追い出すべきだ」と言う。
ガーディアンの記事を読んだリトアニア人は、「火祭り」を表面的に見て、必要以上に批判したことを反省し、これからは日本の文化や伝統に敬意をはらし、背景を理解するように心がけるという。
ただし、こういう体験をする人はレアで、たいていの外国人観光客は勝手に期待して一人で失望し、敬意をもつ機会がない。
お客様にはおもてなしが必要だが、寺や神社などの信仰の場では「お客様」にはなることはできない。日本の伝統や文化に敬意をはらわない外国人には、「なんで私たちがフレンドリーにならないといけないのか?」と言い返していい。

タイのアユタヤ遺跡には、首のない仏像がある。以前、白人の旅行者が仏像の後ろに立って、自分の首を出して記念撮影をしているのを見た。
彼らは遊びの感覚でやったのだろうけど、タイだけではなくて、ミャンマーやスリランカでもこれはマナー違反になる。
おまけ
これはベトナムの伝統音楽。
正直言ってタイクツ感はあった。
これは中国の少数民族の踊り。
でも観光客用のショーになっている。
エンターテインメント性はあるけど重みや深みがない。

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