粛清とは②リーダーに必要な資質、小池都知事の良い粛清

 

はじめの一言

「彼らは日本語を人類のしゃべる自然な言葉だと思い、それ以外の言葉があるということを考えてもみないらしい(ベルク 幕末)」
「逝きし日の面影 平凡社」

*ベルクが会った幕末の庶民はそれまで外国人と会ったことがなく、世界中の人間が日本語を話すと思っていた。

 

 

今回の内容

・人類の負の歴史「大粛清」
・良い意味の「粛清」
・リーダーに必要な「粛清」

 

・人類の負の歴史「大粛清」

前回、「粛清(しゅくせい)」ということについて書いた。

今ネットで「粛清」と検索すると、こんな言葉が出てくる。

「粛清とは」「北朝鮮  粛清」「金正恩 粛清」「スターリン 大粛清」
「スターリン 粛清」「ソ連 粛清」「小池百合子 粛清」

 

まさか小池都知事が「金正恩(キム・ジョンウン)」や「スターリン」とならんで出てくるとは。
まったく予想してなかった。
でもこの2人と一緒にされたら、さすがに小池都知事が気の毒だ。

たしかに小池都知事の「粛清」は、今何かと話題になっている。
でも、金正恩やスターリンがした粛清とはまったく種類が違う。

スターリンといば、「粛清の代名詞」のような人物。
1930年代にスターリンがおこなった「大粛清」は、凄惨(せいさん)を極めた。

大粛清

ソビエト連邦共産党内における幹部政治家の粛清に留まらず、一般党員や民衆にまで及んだ大規模な政治的抑圧として悪名高い出来事である。

ロシア連邦国立文書館にある統計資料によれば、最盛期であった1937年から1938年までに、134万4923人が即決裁判で有罪に処され、半数強の68万1692人が死刑判決を受け、63万4820人が強制収容所や刑務所へ送られた

大粛清による死亡者の総数には50万人説から700万人説に至るまで諸説あり、長きにわたり論争になっている。

(ウィキペディア)

 

犠牲者数が700万人となると、これはポルポトやヒトラーの虐殺をも上回ってしまう。
まさに人類の負の歴史だ。

 

 

・良い意味の「粛清」

ところで、「粛清」とはどういう意味なのか?

【粛清】

厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること。特に、独裁政党などで、一体性を保つために反対派を追放すること。「反対派を粛清する」「血の粛清」

(デジタル大辞泉の解説)

 

「粛清(しゅくせい)」というと、スターリンの大粛清のように組織にいる人間を処刑するようなイメージが強いと思う。
でも粛清することのねらいは、誰かの命を奪うということではない。
それによって組織を変えることにある。
組織を引き締めて、新しくすることに重点をおいている。

 

だから粛清には良い意味もある。

「綱紀の粛正をはかる」というのは大切なことだし、組織のリーダーだったらしなければいけない粛清もある。

【綱紀粛正】

国家の規律や秩序、また政治のあり方や政治家・役人の態度を正すこと。

(デジタル大辞泉の解説)

 

小池都知事は、選挙という民主的な手続きによって選ばれている。
そんな小池都知事がする「粛清」は、一党独裁の北朝鮮やソ連粛清とはまったくちがう。

きっと、東京都の「不純・不正なもの」を排除してくれるのだろう。
今の都庁にはそうしたものがたくさんあるらしい。

猪瀬元都知事は、東京都庁を「伏魔殿」と呼んでたくらいだから。
*伏魔殿とは、見かけとは別に、かげでは陰謀や悪事などが絶えずたくらまれているところ。

 

小池都知事がする粛清とは、それまでの都庁にあった悪い部分やうみといった「魔」を明らかにして、それを取りのぞくこと。
そして組織を生まれ変わらせることだろう。
それに期待して都民は票を入れたはず。

スターリンや金正恩がおこなった粛清とはちがうけれど、この粛清にもかなりの力と覚悟が必要となる。
都知事の粛清によって、東京都という組織がどう変わるか見ものですね。

 

ニュースで「粛清」という言葉を見たら、その組織の問題はどのようなもので粛清をすることで組織をどう変えていこうとするのかを考えると、物事の理解が深まると思う。

 

・リーダーに必要な「粛清」

ドラマを見ていると、その存在が会社や組織にとってマイナスになってしまうような「邪魔者」が出てくる。

組織全体の利益のために、そうした人をうまく取り除くこともリーダーに必要な能力になる。
ドラマでは主人公がそうした悪者と対決したり、それらを取りのぞいたりする場面が見どころになる。

 

現実の世界でもこうしたことが必要になる。
自分が組織の上の立場になったら、「組織を良くする」という意味での粛清をする必要にせまられる。

三国志でいえば「泣いて馬謖を斬る」というもの。

 

孔明が馬謖を斬ったのも、一種の綱紀粛正だ。
リーダーとなったら、こういうこともしないといけない。
相手を気の毒に思っても、ときには組織の人たちのために自分や私情を殺さないといけない。

もちろん21世紀の今は、孔明のように斬ってはいけない。
では、どうやればいいか?
その意味でも、小池都知事のこれからのやり方が参考になると思う。

小池都知事がこれからどのように粛清をしていくのか?
ちょっとワクワクしてくる。

 

今回の復習

・見かけとは裏腹に、かげでは陰謀・悪事などが絶えず企(たくら)まれている所をなんという?
・諸葛孔明は、中国のいつの時代の人?
・その孔明が、「重用していた臣下の馬謖が命に従わず魏に大敗したために、泣いて斬罪に処したという」ことから生まれた言葉は?

答え

・伏魔殿
・三国時代
・泣いて馬謖を斬る

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。