「パリは燃えているか」というのは、世界的な有名な戦争映画のタイトルだ。
第二次世界大戦のとき、「パリを破壊しろ」というヒトラー総統の命令を無視して、ドイツ軍の将軍が連合国に無条件降伏してパリを守ったという話。
こんなことを言いつつ、ボクはこの映画を見たことないのだけど。
2019年4月15日の夜に燃えていたのは、パリではなくてノートルダム大聖堂だった。
「Notre-Dame」というフランス語は「私たちの貴婦人(Our Lady)」という意味で、 聖母マリアを指している。
ノートルダム大聖堂は世界史の重要な舞台にもなっている。
1804年12月2日、ナポレオン・ボナパルトはここで戴冠式をおこなって皇帝になった。
そんな人類の宝、フランス国民の誇りが2019年に燃え落ちてしまう。
この火災のくわしいことはここをどうぞ。
歴史的建築物である大聖堂が炎上するなか、100人程のパリ市民はその周辺に集まってひざまずき、賛美歌を歌いながら祈り続けた
マクロン仏大統領はノートルダム大聖堂の再建を約束し、国際的な募金活動をおこなうと発表。
崩れ落ちる尖塔や涙を流すパリ市民の様子がくり返しテレビで映されたこともあって、火災から3日ほどで寄付金は8億5000万ユーロ(約1030億円)を越えた。
あまりに多くの金がノートルダム大聖堂の修復に集まった結果、フランス国民からは「人間より石が優先されるのか」という抗議の声が上がってしまう。
それから2か月後、「人より石より、みんなお金が大事」ということがわかってしまった。
フランスAFPのニュース(2019年6月15日)
仏ノートルダム大聖堂、15日に火災後初のミサ 寄付金は1割止まり
8億5000万ユーロ(約1030億円)の寄付の申し出のうち、実際に支払われた寄付金額はこれまでのところ約9%(約97億円)だけ。
炎が鎮火したら熱も下がったらしい。
寄付金の一部しか払わない人や寄付の約束そのものを撤回した人もいるという。
フランクのリーステール文化大臣は、「寄付することを約束し、実際にはおこなわない人もいるでしょう。寄付は作業の進行状況に応じて、提供されてゆくでしょう」とインタビューで述べたとか。
人間は熱しやすくて冷めやすい。
そして何より正直だ。
この記事を見て、ある日本人を思い出した。
焼け落ちる尖塔
その日本人の名前は分からない。
でも、ZOZOTOWNの前澤社長が「100万円×100人、総額1億円のお年玉」プロジェクトをしたときに、幸運にも100万円をゲットした人だ。
でも本当にラッキーなのは、パレスチナの人たちだった。
その日本人は自身のツイッターで、経済的に苦しいパレスチナ難民の音楽教育のために、この100万円を寄付すると宣言する。
「にも」ではなくて、「パレスチナ難民に」というところがすばらしい。
「日本人もまだ捨てたもんじゃない」と日本中で称賛をあびたとき、こんなところから感謝のメッセージが寄せられる。
まさかの当事者登場。
この人は別の意味でまた手が震えたはず。
でも、いまの気持ちを率直に話した。
この純粋で正直な強欲にネットでは失笑の嵐。
・これは恥ずかしすぎる
・その金でパレスチナに行ってギターを弾いてこいよ
・年始から笑わせてくれる
・使いたいだからな
使うとは言ってないからw
・パレスチナ難民「はよ!」
「やらない善よりやる偽善」と言うけど、やらない偽善は最悪。
正義を主張するのはそれだけで気持ちがいいのだから、それをタダでやろうとしてはいけない。
でも、おもしろいといえばかなりおもしろかった。
この人は結局、100万円を何につかったのだろう。
9%ぐらいはパレスチナ難民にわたしてほしいところだ。
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