はじめの一言
「日本人の温厚な親切はごく自然で気持ち良く、それだけでも彼らの他のさまざまな欠点を許してしまうことができる(スエンソン 江戸時代)」
「日本絶賛語録 小学館」
今回の内容
・ホロドモールという「つくられた飢饉(ききん)」
・ナチスによるホロコーストやポルポト派による大虐殺に匹敵
・ホロドモールは、なんで日本で知られていないのか?
・ホロドモールという「つくられた飢饉(ききん)」
1930年代のソ連で、「ホロドモール」という大飢饉(ききん)が起きた。
この飢饉は、とても変わっている。
ふつうの飢饉は、ずっと雨が降らなかったことで起こるといった「天災」。
江戸の三大飢饉がそう。
「享保(きょうほう)の飢饉」、「天明の飢饉」、「天保の飢饉」の3つ。
でも、ソ連で起きたこのホロドモールという飢饉は、ソビエト連邦という国家が計画的につくり出した飢饉。
人工的な飢饉で、まさに「人災」。
ホロドモール
ウクライナ人たちは強制移住により、家畜や農地を奪われたために400万人から1,450万人が死亡した。また、600万人以上の出生が抑制された。
この大飢饉が当時のソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンによる計画的な飢餓ではないかとする議論が長年続いていた。2006年にウクライナ議会は、「ウクライナ人に対するジェノサイド」であると認定した。
(ウィキペディア)
このホロドモールは、ウクライナ(当時はソ連)を飢餓地獄に変えた。
当局に食料を没収された農民たちは、ジャガイモで何とか飢えをしのぐ。
鳥、犬、猫、病死した馬、ドングリサまで口にした。
そして人々は人間の死体を掘り起こして食べるありさま。
でもそのせいで、多数の人間が病死してしまう。
なかには赤ん坊を食べる者さえいたという。
通りには死体が転がり、死臭が漂っていた。
こんな残酷な飢餓(きが)状態を、ソビエト共産党は計画的につくり出した。
なんで国家が意図的に飢餓をつくったのか?
国民が飢えて死んでいても、政府は小麦を国民にはまわさずに海外に輸出していた。
いわゆる「飢餓輸出」をしていたから。
まあくわしくは、この記事を見てほしい↓
ホロドモールのときのソビエト共産党の最高指導者「スターリン」
(ウィキペディア」)
ちなみに、「スターリン」というのは本名ではなくてじつは「鋼鉄の人」という意味のペンネーム。
・ナチスによるホロコーストやポルポト派による大虐殺に匹敵
この「ホロドモール」という出来事は、歴史的にどのくらいの重大なものだと考えられているのか?
驚くことに、ナチス=ドイツによるホロコーストやカンボジアのポルポト派による大虐殺に匹敵するという。
アルメニア人虐殺、ホロコースト、ポル・ポト派による虐殺、ルワンダ虐殺等と並んで20世紀の最大の悲劇の一つである。
(ウィキペディア)
正直、ソ連がこんな大虐殺をしていたとは、まったく知らなかった。
「ホロコースト、ポル・ポト派による虐殺と並ぶ」となると、これは「人類史に残る大虐殺」というレベル。
そんな重大さのわりには、最新版の「世界史用語集 山川出版」にはホロドモールという項目もそれに関する記述もない。
・ホロドモールは、なんで日本で知られていないのか?
なんでこんな世紀の大虐殺が、日本では知られていないんだろう?
と思ったら、日本がホロドモールを認めていないことが原因らしい。
世界の多くの国や機関がジェノサイドもしくは人道に対する罪として承認していますが日本はどちらも承認していません。
ホロドモールを「ジェノサイド(虐殺)」として認めているのは、アメリカ、オーストラリア、カナダなど。
「人道に対する罪」としては、ロシアも認めている。
さらに、国ではなくて団体としては、EU議会や国連が認めている。
欧州連合 欧州議会:2008年10月23日(議会)
国際連合 国際連合:2003年11月7日(65ヶ国)
ユネスコ ユネスコ:2007年11月1日(193ヶ国)(ウィキペディア」)
日本も、この中の「多くの中の1国」として入っているのか?
それとも、「政治的な配慮」で認めていないのか?
どっちにしても、「敵はつくりたくないから、意思ははっきり示しません」という日本らしさを感じる。
○ 今回の復習
・江戸の三大飢饉(ききん)ってなに?
・「赤ん坊さえ食べた」という、ソビエト政府によって起こされた計画的な飢饉をなんという?
・そのことが起きたときのソビエト共産党の最高指導者はだれ?
答え
・「享保(きょうほう)の飢饉」、「天明の飢饉」、「天保の飢饉」の3つ。
・ホロドモール
・スターリン
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