今回の内容
・運動会は必要なの?
・アメリカの「でもしか先生」
・アメリカの先生って?
日本の小中学校で英語を教えているアメリカ人が、生まれて初めて日本の運動会を見た。
前回に続いて、その話の続き。
彼女は、運動会を見るのはいいけど、自分が日本の学校の教員となって計画や準備するのは絶対ににイヤだという。
「運動会は見ていて楽しいけど、学校の先生の仕事は大変よね。日本人の先生の話を聞いてたら、気の毒になっちゃった。何度も会議があったり、計画書を書き直したりしみんな本当に忙しそう。体育の授業で何回も練習して、うまくいっていないところがあったら改善しなきゃいけないし。私なら、ゴメンだわ」
「まあね。運動会の担当になったら、夏休みに学校に来なきゃいけなくなることがあるしね。いろんな計画を立てたり準備をしたりと、やることがたくさんあるから」
「そう!それが分からない。運動会って、そこまでしてやらなきゃいけないことなの?」
運動会をやる意義ねえ。
もし運動会をなくしたら、誰がどのぐらい困んだろう?
そんなことは考えたこともないから、分からんなあ。
彼女の考えでは学校とは学ぶところ。
勉強する場所であって、思い出をつくるところではない。
だから、全校をあげての運動会も入学式も卒業式もする必要はないという。
学校は学ぶところ?
そう言うわりには、彼女の修学旅行はディズニーリゾートで遊びたおしていたはずだけど。
この人たちはどんな運動ができるんだろう?
ミャンマーの首長族。
・アメリカの「でもしか先生」
彼女には、教員があそこまで忙しくなってまで運動会をする理由も意義も分からないらしい。
「アメリカの学校なら、あそこまで教員に負担をかけるようなイベントはできないと思う。きっと教員が仕事を拒否してしまうから。アメリカの教員は、何回も打ち合わせをしたり、夜遅くまで学校に残って準備したりしないわ」
そんなことを話していた。
アメリカの学校で、教員に日本の運動会と同じぐらいの仕事を要求したら、「イヤだね」と簡単に拒否されそう。
「君、万国旗のすべてにアイロンをかけておいてくれたまえ」と言われたら、ブチ切れる人が続出するだろう。
・アメリカの教員って?
彼女から見ると、日本に比べてアメリカの教員にはやる気がない人が多いという。
まあ、夜遅くまで残って仕事をする人が、必ずしも熱心な教員だとは限らないけど。
もちろん、意欲にあふれた教員もいる。
けど、日本の教員ほどには、子どものために時間や労力をかけたくないと考える先生が多いらしい。
それは個人の資質の問題というより、アメリカの社会に責任があるようだ。
そもそもアメリカでは、教員の社会的な地位が日本の教員に比べてかなり低く、給料が安い。
米国では、給与が安いために、教師を辞める率が高い。年平均8%の教師が辞めていく。また、米国の教員採用は、公立学校も含めて学校単位で行われるので、他校への転出を目的とした辞職も含めた辞職率となると、年15%となる。
人気の高い職業ではないから、日本よりは楽に教師になることができるらしい。
昔の日本でいう「でもしか先生」のようなものだ。
1970年代、教師という仕事は人気がなかった。
それで「先生にでもなるか」とか「先生にしか慣れない」とかいうタイプの先生を「でもしか先生」と言った。
確かにネットで調べてみると、アメリカでの教員の待遇は悪いし、社会的な地位も低い。
仕事の条件でみたら、高い意欲をもたせるものではない。
問題は現在、教職にある人たちの多くが教職を“生涯の仕事”と考えていないことである。
今、公立学校教員の3分の1は39才以下の人であるが、30年以上も教職を続けたいと考えている人は少ない。
「アメリカの先生は何で給料が低いのだろう?」
そう思って調べてみたら、夏休みや冬休みといった長期休暇の間は給料が出ないことが多いという。
アメリカの教師は収入の低い仕事の代名詞のように語られることも多く、その理由のひとつに、夏休み、冬休み、春休みの休暇は無給であることが多いそうです。
「夏休み、冬休み、春休みには給料が出ない」
そんなことは、日本の教員には絶対にありえない。
これに加えて保護者の力が強くて、何かあったら訴えられることもある。
これは、個人の問題ではない。
こんな条件のなかで、やる気をもって教員を続けられる人がむしろすごい。
このうえに、「運動会の立案・準備・運営をしろ」なんて言われたら、とてもじゃないけどやってられないのだろう。
おまけ
先ほどの「比べてみると意外…アメリカの教師よりも年収の高い16の職業」には、「犬の散歩」という仕事があって、その時給がなんと50ドル(約5000円)!
それなのに、なんで教員の給料はこんなに安いのか・・・・。
アメリカの先生、カワイソス。
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