薩英戦争②勝敗と海外の反応、「江戸幕府の負け」という謎の結果

今回は日本(薩摩)と英国の話なので、最初に「ウィリアム・アダムス(三浦按針)」の言葉を紹介しよう。

彼は日本に来た最初のイギリス人と言われている人物で、徳川家康に気に入られ、彼の家来となった。
「イギリス出身の武士」という変わった経歴を持つウィリアム・アダムズは、日本人についてこう思った。

「万事静謐にして国民はその統治者、および長上にすこぶる従順なり」

*静謐(せいひつ)とは、静かで落ち着いていることや世の中が穏やかに治まっていること。

日本人は昔から、上(権威)には素直に従っていたらしい。

 

三浦按針

目次

薩英戦争の結果:痛み分けと講和

前回、薩摩藩とイギリスとの間で行われた薩英戦争について書いた。
結果は、薩摩藩もイギリスもダメージを受けて痛み分けに終わる。

双方ともかなりの被害を受け、講和が成立。薩摩は攘夷の無謀を理解し、講和後に両者は接近した。

(日本史用語集 山川出版)

海外の評価:日本は侮れない国へ

海外の反応はというと、日本の評価はむしろ高まった。
世界最強と言われていたイギリス海軍に負けなかったのだから。
ニューヨーク・タイムズ紙は、西洋人は日本を侮(あなど)ってはいけないと警告し、こう書いた。

彼らは勇敢であり西欧式の武器や戦術にも予想外に長けていて、降伏させるのは難しい。英国は増援を送ったにもかかわらず、日本軍の勇猛さをくじくことはできなかった

戦争の意外な結末:敵から友へ

しかし、大事なことは、日本史用語集にあった「講和後に両者は接近した」という部分。つまり、戦争をして、結果的に薩摩藩とイギリスは「仲良し」になったのだ。

「おまえ、なかなかやるな」「おまえもな」というような、マンガみたいな展開があったのか?

 

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イギリスのスーパーで売られている「Satsuma(サツマ)」。
これはミカンのことで、薩摩藩がイギリスにプレゼントしたのが名前の由来という説がある。

最大の敗者は誰か:徳川幕府の負担

戦争によって、薩摩藩とイギリスはそれぞれダメージを受けたが、最終的には「友人」となった。
その争いに巻き込まれ、一方的に損をしたのが江戸幕府だ。

薩摩の島津家は賠償金を払うことに同意したが、2万5000ポンド(6万300両)という巨額の金を用意することはできなかった。
そこで幕府から借りて、イギリス側に支払うことにした。
しかし、薩摩は幕府にその金を返さなかったのだ。

だから、実質的に徳川幕府が払ったことになる。

グラバーの役割:倒幕を支えたイギリス人

この戦争によって、正確には講和交渉を通じて、イギリスは薩摩を高く評価するようになり、両者は近づいていく。
その結果、薩摩藩はイギリスから軍事支援を受けることになった。

その象徴のような人物がスコットランド出身のグラバーだ。
彼は1859年に来日し、長崎に店を開いた。彼は武器商人であり、薩摩や長州に武器を売り、倒幕と明治政府の樹立を後押しした。
現在、彼が住んでいた家(グラバー邸)は長崎の観光名所になっている。

幕府視点で見ると:理不尽すぎる流れ

薩英戦争の前後の流れを幕府側から見たら、きっとこんな感じだろう。

横浜で薩摩藩士がイギリス人を切り殺す生麦事件が発生。
この事件は薩摩藩の人間がしたことで、徳川幕府はかかわっていない。

この事件が原因となって薩英戦争が起こる。
徳川幕府に直接の責任はない。

結果的に薩摩とイギリスは仲良しになる。
賠償金を支払った幕府は蚊帳の外。

最終的には、薩摩藩の西郷隆盛を最高司令官とする新政府軍は、イギリスから買った銃で幕府の新撰組などを蹴散らし、戊辰戦争に勝って徳川幕府を倒してしまう。

というわけで、薩英戦争の結果は「徳川幕府の一人負け」と言っていいだろう。

 

今回の復習

・生麦事件の報復として始まった戦争はなに?
・その戦争によって、薩摩藩は考え方をどう変えた?
・薩長に武器などを売り、新政府成立を側面から援助したイギリス人はだれ?

 

答え

・薩英戦争
・攘夷から開国へと認識を変えた。
・グラバー

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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