ヨーロッパ人が話す日本人との違い:権利と主張・規律と協調性

 

長い長い「鎖国」の眠りから覚めた明治の日本に、ドイツ人医師のベルツがやってきた。

戸田花子という日本人女性と結婚して、27年にわたって日本人に医学を教えた彼は、花見をする日本人を見てこう思った。

入り乱れて行きかうすべてが、何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしないー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ。

 

これは令和のいまも変わらない。
日本にいる外国人に日本人がどう見えるか聞くと、ルールやきまりをよく守るという意味で「discipline」という言葉を使う人が多い。

 

 

当時の日本には江戸時代までの伝統文化を否定する知識人がいて、ベルツはそういう日本人を嫌った。

「いや、なにもかもすべて野蛮でした」、「われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今、始まるのです」という日本人さえいる。このような現象は急激な変化に対する反動から来ることはわかるが、大変不快なものである。

エルヴィン・フォン・ベルツ

 

さて、このまえロシア人と2人のリトアニア人とご飯を食べたときに、日本人とヨーロッパ人の違いが話題になったから、今回はそのことを書いていこうと思う。
ちなみにロシア人とリトアニア人1人は留学生で日本の大学に通っていて、もう1人のリトアニア人は旅行で日本に滞在している。

日本ではキッザニアのほうが有名だけどリトアニアとは東ヨーロッパの国で、杉原千畝が6000人のユダヤ人を救った「命のビザ」を書いたのがここ。
いまでは日本生まれのカニカマを世界でもっともたくさん作っている。

日本発祥の「カニカマ」海外へ。世界一の生産・消費国はどこ?

 

 

ご飯を食べたのは3月中旬で、新型コロナウイルスの影響がもヨーロッパでも広がりつつあったころだったから、当然その話もでてきた。
リトアニアでの感染者は増えつづけて死者も出て、人びとはスーパーに殺到して商品を買い占めるなど社会がちょっとしたパニック状態になっていた。

でもロシア人に聞いたらロシアではほとんど影響がなくて、「世界的な病気や戦争でロシアが巻き込まれるのは、なぜかいつもロシアが1番遅い」と笑う。

ヨーロッパでは日本を不思議に思う人が多く、フランス・スペイン・イタリアなどの先進国で新型コロナの感染者と死者が爆発的に増加しているなかで、日本ではおどろくほど感染をおさえている。

*参考までに4月16日のデータを見てみよう。

スペインは感染者180,659人で死者は18,812人。
イタリアは感染者165,155人で死者21,645人。
フランスは147,863人と17,167人
ドイツは134,753人と3,804人
イギリスは98,476人と12,868人

これに対して日本では感染者8,626人で死者は178人。

新型コロナウイルスの感染情報はここで確認できるでござる。

info/coronavirus

 

リトアニア人とロシア人の彼らから見て、日本人とヨーロッパ人の大きな違いは「discipline」にあって、日本人は社会のルールをしっかり守るし政府の指示にもよくしたがう。
例えば、と2人のリトアニア人が日本人について最近感心したことを話す。

少しまえの土曜日にサイゼリヤへ行ったら客がほとんどいなかった。なんでだろう?と思ったら、政府から外出自粛要請が出たからと聞いた。
政府の要請期間が過ぎた土曜日にまたサイゼリヤへ行ったら、今度は人で埋まっている。
これは本当にすごいと思う。
ヨーロッパ人なら無理だね。

 

1人のリトアニア人はフランスに旅行して、イタリアとスペインには数か月住んでいたことがあって、その経験からこう話す。

リトアニア人に比べてこの3か国の人たちはとても自由で自分を大切に考えていて、反面、自分勝手でわがまま。
政府の言うことにしたがわないし、社会のきまりは守れるものでも守らない。

でも、それぞれ理由や背景は違っていて、フランス人の場合は個人の権利を重要視するから、政府の要請と自分のやりたい気持ちがぶつかったときは自分を優先してしまう。
フランスはよくストライキを起こすけど、それはヨーロッパの他の国にくらべて自分の権利や自由を守ろうとする意識が強いから。

これについてくわしいことはここをクリック。

フランスなど、労働者の権利意識が特に強い国などを除いては、日本・諸外国とも1990年代以降ストライキの数は非常に少なくなっている

ストライキ

 

たしかにストライキはフランスの“名物”で、友人が新婚旅行でフランスに行ったら、ストでヴェルサイユ宮殿とルーブル美術館が閉まっていて、「いやいやいや、国を代表する観光名所がストライキで閉鎖ってないでしょ~」と帰国後なげいていた。

でも個人の権利意識が高いおかげで、フランス人がヴァカンス(仏語:vacances)を発見したことは人類にとってよかったとリトアニア人は言う。

20世紀になり、フランスでは社会主義系政党が政権を握って以来、一般の労働者層に快適な環境を整える政策を実施してきた。

バカンス

 

イタリアとスペインの場合はそれとは違って、役人や政治家の間でワイロが横行していて国民は政府を信頼していない。
ルールやきまりを守らないのは自分の権利を重視するからというよりも、腐敗した政府への不信感のほうが大きい。

 

*参考までに、公務員と政治家がどの程度汚職しているかをランキングで示した「腐敗認識指数」を見ると、日本は18位でフランスは23位、スペインは36位でイタリアは61位だ。

 

青い国ほどクリーンで、赤いほど腐敗が進んでいる。

 

ロシア人に意見を聞いたら、フランス人のストライキ好きは有名だから納得できるけど、イタリアの事情はよく分からないらしい。
でもこの両国では、ルールや指示を守らない人が多いという意見には賛成で、「彼らは耳で聞いてもきっと何も感じない。身近で誰かが死んでから、『いまはかなりヤバイ』と気づくだろう」と話す。

結論として、このとき3人はヨーロッパ人との違いをこう話す。

ひるがえって日本人を見ると街にはゴミが落ちてないし、電車やバスに乗るときは順番を守って車内でも静かにしている。
政府に言われなくても、マスクをする人が多い。
こうした行動には日本人の協調性や他人への配慮があらわれている。
ほとんどの国民がこうしているのは教育が行き届いている証拠。
何も知らないヨーロッパ人には不思議だろうけど、日本にいれば、この国で新型コロナウイルスの影響が小さい理由はよくわかる。

 

いま旅行中のリトアニア人は訪れた国の様子をブログに書いていて、日本人については「Quiet and respectful people」(静かで礼儀正しい人たち)と表現していた。

「It’s easy to sleep anywhere because people in Japan are quiet and respectful. They move and go on with their day in that way that they would not disturb others. You will never hear somebody shouting, speaking via phone on the bus or listening loudly to the music.」

だから日本ではどこでも寝ることができるし、日本人は他人に迷惑をかけないように行動する。誰かの叫び声を聞くことはないし、バスの車内で携帯電話で話したり大きな音で音楽を聴いている人はいない。
国によって違いはあるけど、この点がヨーロッパとは違うのだろう。

「何という静粛で整然としていることだろう。乱暴な行為もなければ、酔漢の怒鳴り声もしないー行儀の良さが骨の髄までしみこんでいる国民だ」というヨーロッパ人の印象はいまも鉄板だった。

 

これはインドのことだけど、警官が外出自粛要請を守らない国民を容赦なくぶったたいている。
文字はカンボジア語で、これを見たカンボジア人が「インドこええ」とSNSでシェアしていた。

 

こういうのは日本やヨーロッパではない。

 

 

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外国人から見た日本と日本人 15の言葉 「目次」

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ヨーロッパ 目次 ③

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。