【困った時の日本!】ピンチを救われた韓国側の反応は?

 

古代中国の考え方で、人間の基本となる精神に「仁」がある。
これは「他人に対する親愛の情、優しさ」という意味で、性善説に立つ孟子はこんな説明をした。

小さな子供が井戸に落ちそうになっているのを見たら、誰でも思わずかけ寄って助けようとする。その心が仁であると。

 

さいきん日本が示した「仁」の心が韓国メディアで話題となった。
きのうの記事でも触れたことだけど、日本がしたハートウォーミングな話だから、少しお付き合いを願いたい。

急性白血病で韓国人の5歳の女の子がインドの病院に入院していたけど、症状が急に悪化して韓国での治療を受ける必要が出てきた。
でもインド政府は新型コロナウイルスへの対策として、国際線の運航を全面的に中断していた。
さらに、韓国政府はすぐに特別機を手配することができなかった。

この絶体絶命のピンチで、救いの手を差し伸べたのが日本。

インドの日本大使館はコロナのために全職員が自宅勤務の体制をとっていたけど、この女児と家族のために、ビザ担当領事が出勤してビザを即日で発行。
日本政府はいま韓国人に対してビザの発行を制限しているけど、一刻を争う事態なら日本は動く。

インドから日本まで、日本政府が手配したJALの飛行機で女児と家族を運び、日本では入国時の検疫手続きを免除して、できるだけすぐに韓国へ移動できるよう配慮した。

この救出劇は韓国で大きく取り上げられ、例えば中央日報は「共助」と報じた。(2020.05.05)

韓国外交部は、日本に患児とその母親が到着し次第、駐日本韓国大使館が帰国をサポートするだろうと伝えた。

「白血病児の帰国を助けよう」 韓日が共助

 

まーそれはいいのだけど、とても美しい話なのだけど、どこの国でも政府が自国民の保護をしないといけないことになっている。
韓国の憲法でも「国家は法律が定めるところにより、在外国民を保護する義務を負う」と規定されているけど、今回はそれが難しかった。
だから日本が無茶ではないけど、かなりの無理をして女児を安全に送り届けたのだ。

なのに「韓日7200キロメートルの共助」(中央日報)という書き方はイマイチ腑に落ちない。

 

でも、2013年に比べれば、韓国側の反応はかなりマシになった。

この年の12月にスーダンでクーデター未遂事件が発生して、現地で活動していた韓国軍の近くでも戦闘が始まる。
このとき弾薬が不足して困っていた韓国軍に、手を差し伸べたのはまたも日本。
日本は韓国のドラえもんなのか。

「武器輸出三原則」に基づいて、自衛隊が他国の部隊へ武器を提供することは禁止されているけど、「一刻を争う緊急事態であり、緊急性と人道性が極めて高いこと」として安倍首相が決断、韓国軍に銃弾1万発が無償提供されることになった。
このせいで、安倍首相が共産党など野党からぶったたかれたのは言うまでもない。

くわしいことはここをクリック。

自衛隊南スーダン派遣#内戦の発生と大韓民国国軍部隊への銃弾提供

 

「義を見てせざるは勇無きなり」で、“友軍”を見捨てることができなかった日本は「義」を見せたのだ。
現地スーダンでは、「日本隊の協力に感謝する。この銃弾は日本隊と韓国隊の強い絆の象徴だと考えている」と韓国部隊の司令官から感謝の電話が自衛隊側にあったという。

でも韓国には国民情緒、つまり「反日感情」という特殊な事情がある。
日本から「軍事支援」を受けたということで国内で批判が高まると、韓国政府は日本に支援要請をしなかったと言い出す。

恩を仇で返された格好となった日本はこれに反発し、菅義官房長官は記者会見で、在日韓国大使館を通じて韓国政府としての要請があったことを明らかにした。

産経新聞の記事(2013.12.28)に当時の菅官房長官のことばが載っている。

「国連と韓国の要請を受け、政府は人道的、緊急的措置として徹夜で応えた」と不快感を表明した。さらにこう続けた。「危機的状況で緊迫しているとの韓国の要請があった。極めて難しい問題があったが、極めて大事な隣国なので協力した」。

銃弾1万発80万円無償提供 感謝もできない韓国

 

でも、日本に「借り」を作りたくない韓国側はその後、銃弾を返却することにした。

結局このとき韓国政府から感謝の言葉はなし。
産経新聞によると、「韓国メディアは安倍首相が掲げる「積極的平和主義」のアピールだと決めつけている」というありさまだ。

安倍首相は野党の批判を覚悟して韓国のために男気を見せたのに、事態が過ぎると、自分の利益のためにこれを「演出」したと韓国側から批判される。
これを日本語で「踏んだり蹴ったり」という。

今回の「韓日7200キロメートルの共助」のうちインドから日本まで担当した日本と、東京からソウルへ運んだ韓国では内容が全然ちがう。
でも韓国紙には特に感謝のことばはなく、「韓日協力が起こした奇跡」みたいに書いてある。
実際、いまも韓国は日本「借り」をつくりたくないから、国内の反日感情や心理的負担を考えたら、これがギリの表現だろう。

2013年のような曲解や批判は起きてないから、「前進」しているということか?
まあ女の子を助けて叩かれたら、さすがに付き合っていられない。
それにしても日本、グッジョブ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。