「こういうものがあるから、日本はすごいんです」
香港人の友人と一緒に歩いているときに、彼女がこんなことを言う。
「こういうもの」とは何かと思ったら、野菜の無人販売所のことだった。
彼女は、日本人を好きな理由がこうしたことだという。
日本人は、ルールをやマナーを大切に守る。
友人のアメリカ人に聞くと、アメリカでは無人販売所を「honesty box」と言うらしい。
誰も見ていないのだから、盗もうと思ったら簡単に盗むことができる。
「honesty box」には、「それでも、正直にお金を払う」という意味があるのだという。
「こんな無人販売所は、中国にはないの?」
とボクが聞くと、彼女は「あり得ないよ」とあきれた顔をする。
「これは中国では、絶対に絶対にないですね。中国人なら、お金を払わずに全部持って行ってしまいます。それだけじゃないですよ。使えそうな板材があったら、それを外して持って行ってしまいます」
まさか!
「いえ、本当です。あなたは、中国人がどんな人たちかを知らないだけです」
そりゃ、そうだ。
香港人より中国人にくわしいはずがない。
彼女の話だと、本土から来る中国人のマナー違反やルール無視に腹を立てている香港人は多く、「中国人嫌い」の香港人が増えているという。
「マナーやルールを守る」ということを中国人に求めても、難しいものがある。
2007年のAFPのこんな記事を読むと、そのことを強く感じさせる。
中国でこんなことがあった。
政府が生態系を維持するために大量の鯉を川に放したところ、地元の中国人がすぐ下流で待ち受けていて、放流した鯉を次々捕まえてしまった。
生態系保全のため放流されたトラック13台分のコイの多くが、下流の住民1000人らに捕獲され、計画を実行した政府関係者はこの事態に頭を悩ませている。国営通信社・新華社(Xinhua news agency)が7日、報じた。
政府関係者も頭を悩ませているということは、中国人でさえ中国人の行動を予想できなかったことになる。
これはマナー違反やルール無視というより前に、もっと根源的ところに原因があるとしか思えない。
すごい国だ。
中国のお寺では、「悪いことをすると、地獄に落ちてしまう」とを教えているんだけど・・・。
そんな中国人が旅行で日本に来たら、当然問題が起こる。
残念ながら、「中国人が嫌いです」という日本人が増えているらしい。
ネットで「中国人」と入力すると、「嫌い」という言葉が続いて出てくる。
不幸なことだけど、「好きになれ!」と命令するわけにもいかない。
中国人のマナー違反やルール無視については、テレビや雑誌でも誰でも知っているだろう。
最近でも、こんなことがあった。
日本を旅行していた中国人が、宿泊していたトイレの便器を盗んで中国に持ち帰ってしまったというのだ。
2016年10月26日の「サーチナ」の記事が、そのことを伝えている。
どういう論理だ・・・「便器持ち帰り事件」の原因は、全て日本のホテルにある! =中国メディア
先日、愛知県のホテルで中国人観光客が室内に置いてあった便座を勝手に持ち帰り、その後返却して謝罪するというトラブルがあり、日中両国内で話題となった。
日本人も、ホテルのアメニティを持ち帰ることはよくある。
むしろ持ち帰りたくなようなアメニティグッズを用意していることは、ホテルの良さを物語っている。
でも一般に、日本で「持ち帰り可能」とされているアメニティグッズはなんて、石鹸やシャンプー、歯ブラシぐらいなもんだ。
でも、灰皿をタオルを持って行くとアウトらしい。
これが日本の常識。
日本人なら、ホテルの便座を持ち帰ることはない。
そんな行為より前に、そうしようとする発想が生まれてこない。
日本にやってくる中国人が増えて、日本に「爆買い」というメリットをもたらしてくれた。
けど同時に、ホテルの想像をこえたトラブルも起きている。
ホテルの従業員からしたら、「まさか、こんなものまで」と思うようなものまで持って行かれてしまうことは前からあった。
2013年にはこんな記事がある。
飛行機のナイフやフォークを持ち帰ったり、ホテルの朝食バイキングでは、1日分の料理を持ち帰るばかりか、空いたペットボトルにジュースやコーヒーを次々と詰めることもあるという。
お湯を沸かすポットや液晶テレビまで持っていかれたことがあります。県は中国人観光客の誘致に懸命だけど、正直、迷惑だし、下手をすると大赤字です
こうした中国人の宿泊客に対しては、「ホテルの備品は持ち帰らないでください」という警告文だけで対応できるはずがない。
自衛のための「実力行使」に出ているホテルも多いという。
今では中国人のこうした“持ち帰り”に対抗するため、テレビを鎖でつないで防衛しているホテルも少なくない。
ホテルスタッフに、「テレビを鎖でつなぐ」という新しい仕事が増えてしまった。
日本人だけを相手にしていたときには、ありえなかったことだ。
でも、先ほどの「便座持ち出し事件」について、中国の新聞は「日本のホテルに責任がある」というトンデモ理論を展開している。
そのことは次回に。
でも、日本に来る中国人が増えて交流が進むにつれて「中国人が嫌い」という日本人が増えるというのも、皮肉なことだ。
キリスト教のこんな言葉が頭に浮かぶ。
わたしが来たのは、地上を平和にするためだ、などと誤解してはいけません。 平和ではなく、むしろ争いを引き起こすために来たのです。(リビングバイブル)
おまけ
冒頭の「無人販売所」について、中国で実際にこれを試みたという記事があった。
終わりにそのことをのせておく。
お店の前に掲げられた看板には「あなたの誠実さがこの店の幸せです」と書という文字が。実はこのお店、冒頭でも紹介したように無人の販売店です。
結果、お金を入れない人が続出して大赤字。
大学生らは予想を超えた事態に、とても落ち込んでいるという。
「中国で無人販売所を出すのは、無謀なことなのか?」
このことについて、中国の大学教授のコメントがある。
中国における無人販売店について雲南大学の石鵬飛教授は「昆明では自転車を置いておけばすぐに盗まれてしまう。夢を見たい気持ちは分かるが、道徳心がなっていない社会では市民に高いレベルの“誠実さ”を求めてもうまくいかない。
おっしゃるとおり。
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