前回、日本に旅行に来る中国人が、ホテルからとんでもない物を持ち出して問題になっているということを書いた。
客室のポットや液晶テレビなんかを持って行ってしまったという例もある。
それでテレビを鉄の鎖でつないでいるホテルあるとか。
でも、ここまで来ると持ち出しではなくて「盗難」だ。
なかには、ホテルの便座を中国まで持ち帰ってしまった人もいる。
中国人が日本のホテルにある物を持ち出すのは、「反日感情」にもとづく一種の「報復行為」と思う人もいるかもしれない。
でも、実際にはヨーロッパでもやっている。
2014年に、フランスのホテルで「枕を持ち帰るな」と中国語で書かれた警告文があって話題になった。
中国人のメンツを守れ!仏ホテルで「枕を持ち帰るな」の中国語警告文撤去求める―中国人ツアー客
中国湖北省武漢市からこのほどフランスを訪れた中国人ツアー客らがパリのホテル内にあった「キーと枕を持ち帰らないで」との中国語の警告文にショックを受け、「中国人のメンツを守ろう」と、この警告文を撤去するようホテルに求めた。
「中国人のメンツ」を守るためなら、まずは中国人が世界のルールや人類の常識を守ってほしいもんだ。
ちなみにこのホテルの話によると、枕を持ち帰ってしまうのは中国人客だけだとか。
この子が大人になるころには、きっと中国人も変わっているはず。
先ほどの「便座持ち帰り事件」が発覚したとき、中国国内のネットでは「中国人の恥」という意見もあったけど、「寧波出身だ」「いや台州出身だ」と出身地のせいにしようとする意見もあったらしい。
匿名で何でも書くことができるネットの意見は、無視してもいい。
でも、中国の新聞で「この盗難事件は日本のホテルに責任がある」と書いているのは見過ごない。
その「トンデモ理論」とはこんなものだ。
その原因が日本のホテルにあるという論理を展開。「日本のホテルがチェックアウト時に部屋を点検しないから、この夫婦は窮地に追いやられたのだ」と主張した。
さっきも書いたけど、これは「持ち帰り」ではなくて正確には「盗難事件」で、警察の捜査の対象だ。
その原因として、「点検しなかったホテルが悪い」としていることには言葉がでない。
無責任なネットの書き込みではなくて、中国の新聞がそう主張している。
中国人らしい発想かもしれない。
でもこの新聞は、日本に対して一方的な悪意をもってこう結論づけたのではない。
じつは、このトンデモ理論の背景には日本への敬意がある。
日本は中国とは違って、互いの信頼で結ばれている社会だからだという。
そして、日本のホテルがチェックアウト時に部屋を「チェック」しない背景には、「1つに客人へのリスペクト、1つにチェックアウト時の待ち時間短縮」というホテル側の配慮があるとした。
一方で、客も自らの行動に責任を持っており、備品を壊した時には自発的に申し出ると説明。
こうした互いの信頼で成り立っているから、日本のホテルではチェックアウトの手続きが早い。
だいたいは客がキーを返して終わり。
つまりこの記事を要約したら、こういうことだろう。
「日本は相互の信頼を前提としている社会だけど、中国人にそれは通じない」
だから盗難防止のために、部屋の液晶テレビを鎖でつなぐという「実力行使」に出ているホテルもある。
このぐらいはいい。
でも、「相手は日本人ではないから、日本人とは違う対応をしよう」と別の対応をすると、「外国人への差別だ!」とマスコミから非難されてホテル側は謝罪に追い込まれてしまう。
国際化の社会では、どうしてもこうしたトラブルをかかえてしまう。
はっきりとは分からないけど、大阪であった韓国人に対してワサビを大盛りした「わさびテロ事件」の背景にも、こうしたことがなかったのではないか?
でも、この報道はバランスを欠いている。
お寿司屋さんでわさびを大盛りにしたら「テロ」になるけど、靖国神社のトイレに殺傷能力のある爆発物をしかけて実際に爆破させたことは「爆発音事件」ですませている。
常識的に考えたら、逆だろう。
それにしても「区別か差別」か?
本当に難しい問題だ。
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