韓国の全国紙・朝鮮日報の記事(2020/06/02)の見出しを見て、引っかかる言葉があった。
「李容洙ハルモニは日本軍人と霊魂結婚」…韓国与党支持者らの度が過ぎる人身攻撃
ハルモニとは「おばあさん」のことで、李容洙(イ・ヨンス)さんなど元慰安婦の人たちが韓国ではこう呼ばれいてる。
それは知っていたけど「霊魂結婚ってなんだ?」と思って読み進めると、これは死んだ人同士が結婚することだった。
数は少ないと思うけど、韓国にはこんな文化というか風習がある。
2007年に「神が私を迎えに来た」というメッセージを残して女優のチョン・ダビンさんが26歳で自殺したあと、チョンさんの母親の希望で霊魂結婚式がおこなわれて、全国紙の中央日報が記事(2011.05.23)でこれを報じた。
霊魂結婚式で結ばれた2人は22日、チョン・ダビンさんの遺骸が安置されている京畿道安城(アンソン)に合葬された。
故チョン・ダビンさんの霊魂結婚式…天国で幸せに
「お相手」は2002年に病気で亡くなった男性で、二人の遺骨を掘り起こして結婚式を挙げたあと合葬されたという。
ちなみに本人同士には生前の親交はなく、親同士が話し合ってこれを決めた。
日本人のボクだと「死者の結婚式」には背筋が寒くなる感覚があるけど、これも親が子を想う心から行われる風習なんだろう。
韓国社会では知られた文化のようで、この「霊魂結婚式」の報道を知った人は「天でだけでも安らかにいらっしゃることを」といった追悼コメントを書き込んだとか。
ネットを見ていたら、「霊魂結婚式」の仲介役をつとめた韓国人が対象となる男女の墓を掘り起こして、恐怖を感じながら遺骨を集めたという記録があった。
骨は残らずすべて集めないといけないらしい。
生者が死者の「霊魂結婚式」を挙げる理由には、結婚しないで亡くなった子を親がかわいそうに思ったというのもあるし、若い女性が幽霊(処女鬼神)になることを防ぐというものもある。
結婚できなかったという恨(ハン)を残した女性が、長髪で白い服を着た処女鬼神となってこの世をさまようという考えが韓国にあるらしい。
先ほどの女優チョンさんの場合は首をつって自殺したから、親も娘の「恨」がまだこの世にあって成仏できないと思ったのではないか。
まあ、その人が仏教徒かキリスト教徒か知らないけど。
韓国の情報サイト「もっと!コリア」によるとこの結婚式は真剣そのもの。
両家の家族が会って、結婚の日付を決めて、両家がそれぞれ位牌を作成し、2人の魂を洗う手順を経ます。遺影写真で結婚を行った後、若い男女の人形を生前に使っていたものと一緒に屏風の後ろに一緒に寝かせます。そして、これをすべて燃やします。
中国にも同じように死者の結婚式があったから、これは中国から伝わった文化だろう。
さて話を冒頭の記事「李容洙ハルモニは日本軍人と霊魂結婚」に戻すとしよう。
元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが前に人形2つを持って行って、日本軍の戦死者と結婚させる慰霊祭をしたことから(まあこれもよく分からないのだけど)、イさんが「日本の軍人と霊魂結婚式を挙げた」という話が韓国で出回った。
例外的に生者と死者の「霊魂結婚式」もあるらしい。
でもこれはうそ。
韓国与党のユン・ミヒャン議員が元慰安婦を利用して金と地位を手に入れたとイさんが暴露したことに対し、与党の支持者が激怒して、デマをネットに書き込んだことから元慰安婦へのこんな「人身攻撃」が始まった。
「韓国国民に謝罪しなさい。恥ずかしくないですか」
「日本人でありながらこれまで恩恵を受け、『カプチル』(立場が強い人)として生きてきた」
「すぐ大韓民国から出て行け」
「李容洙さんはボケた」
「老欲は醜い」
他にも出身地を取り上げて、「大邱ばあさん」「実に大邱らしい」といった地域差別のコメントもあったという。
元大学教授で評論家のチン・ジュングォン氏がこの様子を見て、「これが共に民主党のレベル」と記事であきれている。
韓国与党のいう「被害者中心主義」なんてしょせんはこんなものだ。
韓国にはネットでの人身攻撃という悪しき文化もある。
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