違法が“公認”される韓国の国民情緒法、その具体例

 

とてもとても困ったことに、隣国の韓国には「国民感情法」というやっかいなものがある。

もちろんそんな名称の法律はないけど、韓国では国民感情が絶対視されることで、法律や国家間の条約、さらには憲法を上回ってしまうような状態や法を軽視するような風潮を生んでしまう。
それを揶揄(やゆ)した言葉が「国見情緒法」だ。

法の支配や時効や法の不遡及といった近代法の原則すら時に無視され、国民情緒という揺らぎやすい世論に迎合して、いかなる裁定をも下すことができるとされる。

国民情緒法

 

ここでいう国民情緒とは、日本について言えば「反日感情」に他ならない。
そしてこれがままならない。

その具体例としては2年前、韓国の最高裁が日韓請求権協定をひっくり返して、日本企業に元徴用工への賠償を命じたトンデモ判決がある。

すでに日本からお金を受け取っていて、歴代の韓国政権も「解決済み」としていた歴史問題を蒸し返したことで、日本経済新聞は記事(2018/11/1)で「日韓の対立を生み出した」と判決を非難し、背後にある国民感情を指摘した。

韓国では時に「国民情緒」が司法や行政の判断を揺さぶる。終わりの見えない歴史問題リスクに、日本の政府と企業は身構えている。

世論に揺れる韓国司法 歴史問題、再生産やまず

 

日本を代表する新聞が「国民感情法」なんて皮肉は書かないけど、韓国社会では法より国民感情(反日感情)が優先されることをここでは暗に批判している。

ここに書いてあるように、韓国では司法や行政の判断まで世論の動きに流されやすくなるのだ。

たとえばこの中央日報の記事(2020.07.15)ですよ。

大田市長も除幕式に参加したが…市庁前の徴用労働者像「1年間不法」

韓国の大田(テジョン)市で、市庁前の公園に「日帝徴用労働者像が許可手続きの履行もないまま1年近く立っている」という。
市側はこの像について、「不法造形物なので撤去しなくては解決方法がないという結論を下した」ということで、設置した市民団体などに撤去を要請したけれど「反応がない」という状態だ。
市民団体は違法に像を建てて、1年以上も市の撤去要求を一蹴してきた。

 

これが日本なら、情より法が優先されるから、法律にしたがって像は強制撤去されるけど、韓国でそれをすると国民の反日感情を逆なでして「国民情緒法」に引っかかってしまう。
だからこの像は実質的に黙認され、市役所の目の前で1年以上も違法状態がつづいている。
日本の基準ならもう「無法状態」と呼んでいい。

ここまで中央日報の記事を読んできて「相変わらずだな」と思ったら、きょねん8月、この像の除幕式が行われたときの様子を知って、文字通りたまげた。

除幕式には許泰ジョン(ホ・テジョン)市長のほか、キム・ジョンチョン市議会議長らが出席した。(中略)この労働者像は設立当時、自然公園法に違反したことが明らかになった。労働者像を設置するときに、管轄地方自治体である大田市と西区庁の許可を受けなかった。

 

違法の像であることを承知で、市長や市議会議長などが式典に参加したのだ。
でも、「なんつーデタラメ!」という人は韓国社会を分かってない。
国民・市民の反日感情を考慮して「国民情緒法」に基づけば、市長や市議会議長の行動は非の打ち所がないほど正しいのだから。

こういう市民団体は韓国社会で大きく影響力を持っているから、次の選挙で勝つことを考えたら、市長はここで「恩」を売っておいたほうが絶対にいい。
法を守ることと支持を失うことを天秤にかけたら、自然と答えはでてくる。
それに法を守ったかどうかは、解釈しだいで何とかなる。

 

ということで結局この徴用工像は、市長や市議会議長によって「公認された違法の像」というわけのわからない存在となった。
「公認された違法」なんて日本だとアニメで出てくる言葉だけど、情が法を上回る韓国ではそれが現実に起こる。
市民団体の行為は国民感情に基づいているし、市長や議長の後押しもあるのだから、市の撤去要求に応じるはずがない。
しかしまー、市長が除幕式に参加した像に、市が撤去要求を出すというのも漫画のみたいな話だ。

 

法より反日感情が優先されることは韓国ではよくある。

2020年2月2日に放送された「池上彰スペシャル!」でも、今回とまったく同じことが紹介されていた。

 

画像は番組のキャプチャー

ここでは首都ソウルの龍山地区と、先ほどとは場所が違うだけで、市民団体が違法に徴用工像を設置して撤去要求には応じないという構図はほぼ変わらない。
違法の像の除幕式に区長が参加したと聞いても、もう驚かないゾ。何ならソウル市長でも。

 

出演者の「理解不能」といった表情が印象的だった。

 

100%の自信はないけど、「韓国では何でこんなことが起こるのですか?」とビックリして質問した出演者に、池上彰氏が「国民情緒法」を使って答えた気がする。
前々から韓国を知っている人にとっては「またか」のことだけど、韓国の事情をよく知らない人が日本の基準で考えると、この現象は本当に理解に苦しむ。

とはいえ日本人の中にも、日韓関係を「国民情緒法」の考え方でとらえようとする人はいる。
韓国が日本との約束を破っても国際法に違反しても、歴史問題で韓国は“被害者”なのだから日本がゆずって解決するべき、と主張する人がいるから困る。
これだと要求がエスカレートして終わらないから、日韓関係も前に進まない。

「終わりの見えない歴史問題リスクに、日本の政府と企業は身構えている」という日経新聞の記事の意味がおわかりいただけただろうか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。