【日本語の旅】身近な女房言葉と「御御御付け」の読み方

 

世界には日本語を学んでいる外国人がたくさんいるから、日本語を教えあうSNS上のグループがいくつもあってそこでは日々、こんな質問が乱れ飛んでいる。

 

 

 

 

ボクもまわりの外国人に日本語を教えることがあるけど、まれに彼らから新しい日本語の知識を得ることもある。
そういう外国人は日本語講座に通ってプロのレッスンを受けていることが多いから、講師から「この言葉はふつうの日本人は知りません。聞いてみてください」というレア言葉を入手したりする。

例えば日本企業の実習生をしていたインドネシア人から、「これを読めますか?」と挑発的に言われて見せられたのがこのことば。

「御御御付け」

「おおおつけ」でも「ごごごつけ」でも「ぎょぎょぎょつけ」でもないし、「おごぎょつけ」でもない。
さあこの日本語の読み方は何だろう?

 

 

 

 

答えは、日本人のソウルスープ「おみおつけ」(御御御付け)。

その漢字は知らないと言うと、「分かりませんか?これで、おみおつけと読むんですよ~」と宇崎花のように勝ち誇るインドネシア人がそこにはいた。
ま、発音はボクのほうが上なんですけどね。

ちなみに味噌汁と御御御付けの違いがよく分からなかったから、ネットをみてたらどっちもほぼ同じで、東京のあたりでは味噌汁を「おみおつけ」と呼ぶことが多いという。

 

さてここからは日本人の時間だ。
なんで「おみおつけ」を「御御御付け」と書くのか?
日本人にドヤ顔するのが目的だったインドネシア人も、その理由までは知らなかった。

この言葉の由来について、よく言われているのは次の2つ。

 

・「付け」に丁寧語の「御」を3つ付けた説

「つけ」というのはお椀に入れた汁もののことで、漢字で書くと「御付」や「御汁」になる。
この「つけ」に女房言葉の丁寧語「お(御)」がついて、「おつけ」の出来上がり。
女房言葉とは室町時代に宮中で仕えていた女房(女性の使用人)が使っていた、優美で上品なことば(とされる)。

「お」がつく女房言葉はほかにも、おかか・おかず・おかき・おさつ・おじや・おでん・おなら・おにぎり・おはぎ・おひや…、と身近なところにも実はたくさんある。
くわしいことは女房言葉をクリック。

この「御付け」をもっと丁寧に表そうと、さらにもうひとつ「御」を付けて「御御付け(みおつけ)」になり、さらにさらに丁寧な表現にするためもう1つ加えて「御御御付け(おみおつけ)」という言葉ができた。

ということで「付け」に、丁寧語の「御」を3つ付けたというのがこの説。
だけど、たしかに「御御足(おみあし」や「御神酒(おみき)」の元となった「御御酒(おみき)」のように、丁寧感をアップさせるために「御御」を2つ付ける例はあるけど、それが3つというのはちょっと他に見当たらない。
それにそもそも、お碗物をそこまで丁寧に表現する理由も見えない。
数々の謎はあるものの、これは語源のひとつになっている。

 

もうひとつがこれだ。

・味噌を丁寧に表現した「御味」に「御付け」が付いたという説。

「付け」の頭に「御御御」が付いたのではなく、味噌を女房言葉で「おみ」と言うから、それに「おつけ」(汁もの)が下にくっ付いて「御御御付け(味噌のおつけ)」という言葉が誕生した。

 

ということで「御御御付け」は「おみおつけ」と読んで、その由来には「御御御」の丁寧語が3つ付いたという説と、「おみ」に「おつけ」が付いたという説がある。

おわかりいただけただろうか。

 

参考資料:漢字文化資料館の「おみおつけ」を漢字で書くと「御御御付」となる、というのは本当ですか?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。